「落ち込みすぎて意欲ゼロ」から立ち直る脳科学的方法があった。

落ち込んだときの脳科学的メンタル回復術01

仕事を頑張れば頑張るほど、成果が出なかったり、ミスをして怒られたりしたときのショックは大きいですよね。

真面目に外回りの営業を頑張っているのに、全然契約がとれない。苦労して作り上げた新商品案を上司に提出したら、致命的な欠点を指摘された。努力が報われなかったとき、私たちは深く落ち込み、なかなか立ち直れないでしょう。

では、深く落ち込んでしまったとき、再びやる気と明るさを取り戻すには、どうすればいいのでしょうか。効果が脳科学的に証明されている「メンタル回復術」を3つ、ご紹介します

1. 新しい刺激をつくって「ネオフィリア」を満足させる

脳科学者の茂木健一郎氏によると、人の脳には新しいものを好む「ネオフィリア」という性質があるのだそうです。

正常な脳であれば、何も新しいことをしない状況を、「成長が止まっている」として退屈と感じます。そして、自ら何かに挑戦したり、色々なことに手を伸ばしたりして、ネオフィリアを満足させるのです。

一方、落ち込んで無気力になり、毎日を作業的に過ごすことに退屈を感じなくなったら危険信号だと茂木氏は述べています。脳は退屈になると、ネガティブなことや余計なことを考えてしまう癖があります。そして、退屈に気づかず、ネオフィリアの性質が弱った脳は、成長が止まってしまうのだそうです。

茂木氏は、ネオフィリアが弱って落ち込み状態になったとき、自分で新しい刺激をつくることが、立ち直るために必要であり効果的だと解説しています。

音楽や映画、本でもよいですし、あまり会っていない人と久しぶりに語らうのも効果的。何かにトライする元気がなくても、普段聴いていない音楽を探して再生するだけで、新しい刺激を得ることができます。また、他人との会話は常に予想ができず、全く退屈しないどころか、ネオフィリアを満足させる刺激であふれています。

無理して気分転換をする必要はなく、自分の好きな物事の未知の部分に触れることが大切です。ネオフィリアを呼び覚まして、再び新しいことに挑戦したいという気持ちが持てれば、落ち込む前の意欲や明るさが取り戻せるでしょう。

落ち込んだときの脳科学的メンタル回復術02

2. 深煎りのコーヒーを飲む

気持ちが沈んで本当に何もできないというときには、気分転換や心身のケアをしようという意欲すら出ないかもしれません。

かといって、極度に気分が沈んだ状態を放置するのは危険。そこで、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏が提唱する、とにかく手軽にできるメンタル回復術を試してはいかがでしょうか。

手軽なメンタル回復術とは、「深煎りのコーヒーを飲む」ことです。杏林大学医学部精神神経科教授の古賀良彦氏らの研究によって、コーヒーの香りに高いリラックス効果があることがわかっています。

コーヒーの香りをかぐと、人の脳はアルファ波を多く発し、リラックスするとのこと。特に香りの強い深煎りのコーヒーを飲むだけでなく香りをかぐことで、ストレスによる緊張状態が和らぎ、リラックス効果を得られるというのです。

コーヒーを飲んでカフェインを摂取することも、落ち込み状態から回復するために効果的です。カフェインにより、落ち込んでぼーっとしている脳を覚醒させることができ、集中力が高まります

また、カフェインにはストレスを軽減する作用もあるのだそう。中村大学栄養科学科の青峰正裕教授などによる研究では、脳がストレスを受けると放出する神経伝達物質が、カフェインによって66%も減ったという結果が出ています。

何もやる気が起きないほどに落ち込んだときには、とりあえず深煎りのコーヒーを、ゆっくり香りをかぎながら飲んでみるのがよいでしょう。

落ち込んだときの脳科学的メンタル回復術03

3. 「マインドフルネス呼吸法」を実践する

深く落ち込んだとき、もう立ち直れないと疲れきったように感じたとき、できることがあとひとつあります。心を落ち着かせるための「瞑想」を脳科学に基づいて改良した「マインドフルネス呼吸法」です。

医学博士で、臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ久賀谷亮氏は、次のように述べています。

マインドフルネスを継続すれば、いまある疲れを取り除けるだけでなく、疲労が蓄積しづらい状態をつくることができます。

空になったバッテリーを充電することは、本当の休息ではありません。あなた自身の脳を変えて、高度な集中力を手に入れることが、「最高の休息法」の真の目的です。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|脳が疲れやすい人に共通する「休み=充電」の思い込み-「疲れ→回復→疲れ…」のスパイラルから抜け出すには?

「心の疲労」について研究をする医師のひとりに、ロチェスター大学(アメリカ)の臨床医学教授で、マインドフルネスによるストレス治療の最前線に立つマイケル・クラスナー氏がいます。クラスナー氏の報告では、マインドフルネスによって感情的疲労の症状が25%改善したそうです。

マインドフルネスには実にさまざまなスタイルがありますが、久賀谷氏が勧めるマインドフルネス呼吸法は、次のようにおこないます。

  1. イスに座り、背筋を軽く伸ばして背もたれから離し、お腹はゆったりさせる姿勢をとる
  2. 足の裏や手、お尻の感触、身体が重力に引っ張られる感覚に意識を向ける
  3. 空気が鼻を通る感覚、肺が膨らむ感覚、呼吸の深さなど、呼吸を感じる
  4. 雑念を消し、他の考えが浮かんだらすぐに呼吸へ注意を戻す

うつ病の人によく見られる反芻(はんすう)思考は、病気でない人でも、失敗をして落ち込んだときに陥りがちです。過去の失敗をくよくよ考え、「もうだめだ」と燃え尽きてしまうのです。マインドフルネス呼吸法で最も重要なのは、燃え尽き思考を取り払い、「今」に集中することです。

気持ちが上向かないときは、無理にテンションを上げようとするのではなく、マインドフルネス呼吸法を実践し、思考を掃除しましょう。一度では変わらなくても、休養を取りながら、合間にマインドフルネス呼吸法を行なうのです。「今」に意識が向くと、過去や未来のストレスから開放され、自然と気持ちが立ち直ってくるはずです。

***
今回紹介したメンタル回復術は、気持ちが回復したあとも継続することで、落ち込みにくい思考を身につけることができます。

仕事にストレスはつきものであり、落ち込まない人などいないのです。落ち込みの可能性に常にさらされている自分のメンタルを、いつでもケアできるようにしておきましょう。

(参考)
PHPオンライン|前向きな気持ちになれる、脳のリセット法/茂木健一郎
東洋経済オンライン|「冬うつ」を1分で吹き飛ばす、4つのご自愛術-「料理」がもたらす驚異のメンタル調整効果
WebマガジンCoffee Break|Q.12 コーヒーでストレスが解消される?
WebマガジンCoffee Break|カフェイン
脳科学辞典|カフェイン
ダイヤモンド・オンライン|脳が疲れやすい人に共通する「休み=充電」の思い込み-「疲れ→回復→疲れ…」のスパイラルから抜け出すには?
ダイヤモンド・オンライン|「過去と未来」が頭を占めると、脳疲労が溜まる-なぜ「呼吸」に注意するだけで脳が回復するのか?
ダイヤモンド・オンライン|リゾートやスパだけでは「休まらない」理由-世界のトップジャーナルにも掲載された「科学的な脳の休め方」

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

 

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