「心が疲れない人」の3つの思考習慣。「心が疲れやすい人」の考え方とは “ここ” が違う。

「心が疲れない人」の思考習慣。「心が疲れやすい人」とはここがちがう01

些細な物事にストレスを感じる……。
悩みをクヨクヨと引きずりやすい……。

そんな「心の疲れ」に関するお悩みは、ものの考え方・とらえ方を少し改めるだけで改善できるかも。今回は「心が疲れない人」になれる3つの思考法をご紹介します。日常的ストレスへの正しい対処法を知っておきましょう。

心が疲れない人は、嫌なことの半分の数だけ「いいこと」を探す

心療内科医の村上正人氏は、些細な出来事や人間関係にストレスを感じやすい人は、物事を0か100かで考える傾向があると指摘しています。ちょっとしたことで「あの人を許せない」「私はダメだ」と全否定的に考えるため、必要以上に大きなストレスを感じることになってしまうのです。

心が疲れない人になるためには、この「0か100か思考」を改め、「物事にはいい面も悪い面もあるよね」と、中立的かつ多面的なものの見方をすることが大切。

そこで取り入れたいのが、村上氏が提唱する「2:1」で物事をとらえる思考法です。ネガティブなことが「2」あった場合、その半分にあたる「1」くらいの割合で、ポジティブな部分を探してみる――こうすると、ストレスを緩和することができるそう。

仮に、Aさんに対して感じる不満が10個ほどあるなら、その半分にあたる5個、いいところを探してみてください。「Aさんにはたしかに悪いところもあるが、いいところだってあるのだ」と多面的な認識が可能になり、気持ちが楽になるはずです。

物事を極端に考えがちな方は、ぜひこの「2:1」で考える癖をつけてみましょう。

「心が疲れない人」の思考習慣。「心が疲れやすい人」とはここがちがう02

 

心が疲れない人は、「問題の解決策」を考える

心の疲れをため込まないためには、ストレスの原因になっている問題の解決策を、その場ですぐ考える習慣も大切です。

精神科医の樺沢紫苑氏によると、そもそも「悩み」とは、問題に対処・解決する方法がわからず、「どうすればいいんだろう?」と堂々めぐりしてしまう状態のこと。

ではどうすれば「悩み」を解決できるかというと、答えはシンプル。問題の解決策を見いだし、それを実行するだけです。そうするための手順として、樺沢氏は次の6ステップを提唱しています。

  1. 悩みを書く
    (例)嫌味を言ってくる同僚がいる。どう接すればいいんだろう……。

  2. 対処法を調べる
    (例)コミュニケーションに関する本を読む

  3. やってみる(最低でも1~2週間は継続する)
    (例)「笑顔でさらりとかわす」という方法で対処する

  4. うまくいっていない点を3つ書く
    (例)
    • まだ笑顔がぎこちない気がする
    • 嫌味を “かわす” 言葉の語彙が少ない
    • 怒りを隠しきれないときがある

  5. うまくいっている点を3つ書く
    (例)
    • 嫌味を言われる頻度が減った
    • 嫌味を言われても、それほどストレスに感じなくなった
    • ギスギスした関係が緩和された

  6. 次のToDoを3つ書く
    (例)
    • もう少しゆとりをもった言い方で “かわす” ようにする
    • 怒りを感じたときは、ゆっくり息をして心を落ち着ける
    • 返答のセリフをあらかじめ考えておく

「どうしよう……」と悶々と悩んでいる状態を我慢し、問題を放置し続けると、心の疲れはたまる一方。ですが上記の手順で「こうすれば解決しそうだ」ということが見えてくれば、心の “霧” は晴れると樺沢氏は述べています。

ストレスを感じたときは、「何か有効な解決策はないか」と一考する癖をつけましょう。いい方法が見つかれば、悩みは消え、心を疲れさせずにすむはずです。

「心が疲れない人」の思考習慣。「心が疲れやすい人」とはここがちがう03

心が疲れない人は、「いまこの瞬間」に専念する

それでも解決できない悩みがある場合は、「いまこの瞬間」の物事に全神経を傾けることをおすすめします。その悩みについて考えないようにするのです。

精神科医で禅僧の川野泰周氏は、「つらい」「苦しい」といった負の感情を抱えているときには、脳や身体にある「疲労を促進する因子」が活発に働きやすくなると解説しています。

つまり悩みをクヨクヨと頭のなかで反芻していると、それだけでエネルギーロスが大きくなり、心(脳)の疲労がさらに膨らんでしまうのです。

さらに川野氏は、複数の情報を同時処理する「マルチタスク」も、脳を疲れさせると指摘。「何かについて悩みながら、仕事などの別のことをする」という状態が続けば、それだけで脳に負荷がかかり、疲労感や知的パフォーマンスの低下などにつながる恐れがあるのです。

つまり、いまこの瞬間にやっていること・感じていることに集中すれば、上記の2要因(ネガティブ感情による疲労、マルチタスクによる疲労)が解消され、心の疲労感を楽にできると言えます。

「心が疲れない人」の思考習慣。「心が疲れやすい人」とはここがちがう04

では、どうすれば「いまこの瞬間」に集中できるようになるのでしょうか? ひとつのアプローチとして川野氏は「目の前の物事を楽しみ、じっくり味わう」ということを提唱しています。

◆「いまこの瞬間」に集中する例

  • 食事をじっくり、時間をかけて味わう
  • 料理に没頭する
  • アロマの香りを楽しむ
  • 仕事の作業に没頭する
  • 趣味に没頭する
  • ゆっくり景色を眺め、色の移り変わりを観察する
  • 呼吸に集中する(瞑想・マインドフルネス)

このようにして目の前にあるひとつのことを「楽しむ」ことで、自然と「いまこの瞬間」に意識が傾き、心の疲れから自由になることができますよ。

***
心が疲れやすいと感じる方は、以上3つの思考法を参考にしながら、ストレスを適切に処理しましょう。

(参考)
NIKKEI STYLE|心身がラクになる、「考え方のクセ」の直し方
ダイヤモンド・オンライン|精神科医が知っている「悩みがまったくない人の考え方」
川野泰周(2018),『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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