東大生もやっている「モニタリング勉強法」で苦手な勉強が “好き” に変わるか、試してみた

オレンジ色をバックにした、勉強している様子のイメージ画像

いい成績をとりたい、試験に合格したい、キャリアアップしたい、資格をとりたい。でも、やっぱり勉強は苦手……。

そんなみなさまが、思わず勉強好きになるかもしれないモニタリング勉強法を紹介します。参考書を開いた途端に眠くなる筆者も試してみました。

「モニタリング勉強法」とは?

心理学者の植木理恵氏が行なった実験では、【モニタリング方略】と【推論方略】をあわせて勉強すると、持続的な効果が生まれるとわかったそうです。今回のテーマであるモニタリング勉強法とは、このふたつの方略をあわせた勉強法のこと。順番に説明しましょう。

1.【モニタリング方略】

教育心理学では、自分がどこまで理解できていて、どのあたりが理解できていないのか自己分析しながら勉強する方法をモニタリング方略といいます。

たとえば英語や国語などの問題文に対し、理解できたらマル印、少し不明瞭なら三角印、わからないならバツ印をつけておけば、読み直すべきところが明確になるので、的を射た勉強ができます。

しかし、植木氏が高校生を対象に実験を行なったところ、学習者にモニタリング方略のみ教えた場合は効果が長続きしなかったのだとか(教育心理学研究, 2004)。学習者が、徐々にモニタリング方略を使用しなくなってしまうからです。

2.【推論方略】

ところが、 モニタリング方略に推論方略をあわせて教授したところ、7カ月経っても学習者はモニタリング方略を使用し続け、好成績が維持されたとのこと。

推論方略とは、たとえば文章を読んでいて理解できない部分があったとしても、「こういうことかな?」と自分の経験や知識と結びつけて推論しながら読解していくことです。

この推論能力は、初めての数学問題を「あの問題に似てる」と推測しながら解くことや、社会生活における問題を「あのときの状況に似ている」と結びつけながら解決していく力にもなります。

植木氏いわく「推論方略でモニタリング方略の理解度や有効性が高められるのではないか」とのこと。立ち止まらず推測しながら進めていけるので、意欲をそぐ機会(停滞)を与えないことも重要なポイントです。

推論方略を使用し勉強中の若い女性

「モニタリング勉強法」で勉強が好きになる?

前項で推論方略が「意欲をそぐ機会を与えない」と述べましたが、モニタリング方略は苦手な勉強を「好き」に変えてくれるようです。

東京大学社会学研究所とベネッセ教育総合研究所が行なった調査(※)では、勉強嫌いから⇒勉強好きになり、学習時間が増えて成績も上がった子どもたちは、何がわかっていないか確かめながら勉強する――いわゆるモニタリング方略で勉強する比率が高いと明らかになりました。

じつは、『プレジデントFamily2017秋号』で現役東大生・大学院生らにWEBアンケートを実施したところ、モニタリング方略で苦手を克服しながら勉強している学生は半数以上の57%だったのだとか。

「モニタリング勉強法」で勉強が好きになる理由は、自分のわからない部分や苦手な部分をハッキリさせたうえで的確に行動することができ、それにより理解が進み、結果も出せるからだと考えられます。

(※子供の生活と学びに関する 親子調査2015-2016)

自宅のソファーで、自分の言葉で学習したことをまとめ直している学生

「モニタリング勉強法」をやってみた

では、筆者もさっそく「モニタリング勉強法」をやってみましょう。

ちなみに、名城大学人間学部准教授の原田知佳氏らが大学生65名を対象に「自己モニタリング方略」と「推論方略」が英語読解に及ぼす影響を調べた際、基礎的な知識が十分でない場合には効果が生まれにくいと示唆されました(この場合は語彙や文法)。

「よく理解できない部分」に「既存知識」を結びつける――つまり推論方略を使おうとしても、「既存知識」が極端に少なければそれが成り立たないからです。

そうしたことをふまえ予備知識があるカテゴリを選びます。

モニタリング勉強法の前段階で、機能性食品化学について勉強したノート

(※ノート内参考:食品機能性の科学編集委員会編集, 西川研次郎監修(2008),『食品機能性の科学』, 産業技術サービスセンター. /太陽化学株式会社|機能性食品科学:忘れてはならないこと

ある程度進めたところで、わからないところに「バツ印」、ちょっと自信がないところに「三角印」、理解できているところに「マル印」をつけています。

勉強したノートのなかに、マル、バツ、三角の印をつけ、理解できていないところを明確にしたノート

それから、よく理解できない「バツ印」「三角印」部分を、自らの経験や知識、それらに基づいた外部情報などと結びつけ、「〇〇は〇〇ということ?」などと推論しながら解釈していきます。

モニタリング勉強法ノート。三角印とバツ印の部分に推論を書き終えた状態

こうして勉強してみたところ、あることに気がつきましたよ。

制御できると「好き」になる?

モニタリング勉強法ノート。三角印とバツ印の部分に推論を書き終えた状態を少しズームした画像

じつは、いつも勉強には「受け身」の感覚があり、自分で始めたくせになぜか “やらされている感” がありました。しかし、モニタリング方略で何がわかっているか・わかっていないかを確かめ、推論を書き加えていくにつれ、いつの間にか自分が「能動的」に勉強していると感じ始めたのです。

つまり、筆者が感じたモニタリング勉強法の効果は勉強行動に対するコントロール感。自分の学習状況を客観的に把握してマルバツ等をつけ、自分の頭で考えたことを書き加えていくと、まるで自分が先生として自分の勉強を見ているかのような感覚になります。

習慣化コンサルティングの古川武士氏によれば、人間の心の豊かさや幸福度を左右するのは、まさにそうしたコントロール感とのこと。

モニタリング勉強法は、「べき思考」で自分自身にプレッシャーを与える学習観ではなく、勉強の楽しみ方を教えてくれるのですね……!

***
なんだか勉強が好きになる「モニタリング勉強法」を紹介しました。是非、自分の手綱を自らにぎり、うまーくコントロールしてください。

(参考)
原田知佳・伊藤真衣(2018),「自己モニタリング方略と推論方略の教授が英文読解に及ぼす影響 : 学習者の習熟度および学習観を考慮した検討」, 名城大学, 人間学研究, 16号, pp.45-52.
植木理恵(2004),「自己モニタリング方略の定着にはどのような指導が必要か――学習観 と方略知識に着目して――」, 日本教育心理学会, 教育心理学研究, 52巻, 3号, pp.277-286.
大学受験パスナビ|心理学的学習戦略! モニタリング×推論で読み解く力を伸ばす
プレジデントオンライン|「勉強しろ」叱られる子の人生は残念無念 東大生の親は勉強を無理強いしない
STUDY HACKER|朝の45分でできる。心を整えて幸福感を高める「最高のルーティン」のつくりかた。

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