先日、「古川さんがやっている朝の習慣に興味があるのですが、詳しく書いた本はありますか?」と聞かれました。結論からいうと、朝の習慣を詳しく書いた本は執筆しておらず、それらのことはブログや連載で書いてきました。
今回は、その質問にお答えする意味も込めて、朝のルーティンとそのポイントを書いてみます。あくまでわたし自身の具体例ですので、読者の皆様には「自分流」を考えるひとつのきっかけにしてもらえれば幸いです。
構成/岩川悟(slipstream) 写真/玉井美世子
朝に主導権を取り戻す!
人の心の豊かさや幸福度を左右するのが、「コントロール感」です。 ポジティブ心理学では、
【幸福の公式】 H =S + C + V 幸福(happiness)= 規定値(Set point)+ 生活状態(Condition of living)+ 自発的活動(Voluntary Activities)
と定義されています。
簡単にいうと、1つ目の「規定値」とは、ものの考え方でありとらえ方のこと。ふたつ目の「生活状態」とは、日々の出来事や人生における出来事(幸運、不運)のこと。3つ目の「自発的活動」とは、人生や生活を自分で選んだ活動をしているか、もしくは自分で選んだ感覚を持って生きているかというものです。
気分に流されているだけで、なんの規律もなく、自己コントロールできていないと心の豊かさは確実に下がります。そういう視点で見たときに、早起きに人気があるのは、自己コントロール感があり、主導権を握るものとして自発的に取り組む活動だからではないでしょうか。
そんな理由から、わたしは朝、自分の決めたルーティンでスタートするようにしています。どんなルーティンかというと、なるべく中長期のことに目を向けながら、静けさのなかで知恵を得られるような時間に浸るようにしています。とくに、日中のメイン業務となる、執筆する時間というクリエイティブなモードに入るためにも、次の3つの儀式からスタートしています。これは、わたしなりの良い1日をつくる創造的ルーティンです。
1. ビジョンと目標を書く(15分) 2. 瞑想する(15分) 3. 感読する(15分)
わたしの場合は、タイマーを設定してすべて15分で区切ります。時間がきたらすぐさま次に切り替えます。つまり、45分で朝のルーティンを終えるようにしているのです。これを、「キリがいいところまで」「あともう少しだけ……」とやっていると、あっという間に時間が過ぎていってしまいます。
朝に、15分で3つのルーティンをする理由は、心の状態がとても良い状態になるからです。ルーティンというのは、「儀式行動」に焦点があたりますが、大切なことは、そこでどんな感情を味わっているか、にあります。
それでは、わたしの朝のルーティンに込めた意味をひとつずつ紹介していきます。
古川流・朝の気分を上げる3つの習慣
1. ビジョンと目標を書く
わたしにとって明るいビジョンを描くことは、最高のモチベーションになります。仮に100歳まで生きるとして、自らの人生という物語にどんなフェーズをつくっていくのか――たとえば、自分のやるべき使命や、大切にしたい言葉、2019年の目標などを書いていきます。ほぼ毎回同じことを脳にプログラミングするように書いていますが、これがまったく飽きません。むしろ心が高揚して、大局、中心軸に戻れるという感じすらします。 ただ、誰にでも同じことを繰り返し書くことをすすめることが本質ではありません。大切なことは、その行為からどんな感情を得たいかなのです。
わたしは、大局、中心軸に戻るために、ミッションや目標を書くことが心の焦点を絞るのに役立っています。
日々は枝葉末節の雑事に追われます。でも、大切にしたい生き方の羅針盤を手掛かりに、「自分にとっての大道とはなにか?」を朝から自分に問うことは、日々、揺れ動く心を整えるのに役立ちます。わたしはこの行為により、ブレない自分をつくるのです。そして、安心感や安定感を得ることもできます。
わたしは、目標を立てそれを達成することを大切にしているので、2019年はなにを達成したいのか? 大局を踏まえて、2019年はなにを目指しているのか? をひとずつ書いていきます。これにより、朝からテンションが一気に上がり「今日もやるぞ!!」という気持ちになれるのです。これが、朝の最初のステップです。
2. 瞑想する
次にするのは瞑想です。これは、心の静寂、静けさをつくるために行います。15分、静かに瞑想すれば、ざわついた心は一気に整っていきます。わたしにとって静けさ、心の静寂を味わうことは至極の時間なのです。これもまた自分の深い部分とつながり、安定感をつくるのに役立つ儀式です。
マインドフルネス瞑想法などたくさん方法はあるので、瞑想のやり方はそれぞれ、好きなものでいいと思います。わたしもいろいろと実践したのですが、瞑想することは朝の静かな集中力をつくるのに重要なルーティンとしてとらえています。
3. 感読する
感読とは、感じながら深く読むことを意味しています。次のような、知恵を得られる書物や、珠玉の言葉をじっくりと15分かけて読みます。
早く読むことを重視しているわけではなく、心の深い部分に、知恵を一滴落としては、その言葉を味わい、楽しむイメージです。
これで、わたしの朝の気持ちは最高潮になります。ただし、これはあくまでもわたしの儀式であって、人それぞれ得たい感情はちがうと思います。最高の朝、最高の1日のスタートを切るためになにをしたらいいのか? それは、人それぞれ感情が最高潮になる儀式だと思います。
わたしがこの儀式を、「習慣化しなければならない!」と義務にしているかというと、そうではありません。義務感よりも、「もっと快感を得たい」という感情から「やるべき」ではなく「やりたい」で動いているから習慣として続くのです。
大切なことは、「やるべき」ではなく「やりたい」で動くこと――。
ぜひ、そんな朝の儀式をつくってみてください。1日というのは、自分ではコントロールすることができない時間もたくさんあります。でも、朝のたった1時間ほどでも自分で自分の気持ちを上手につくることができれば、生活の感情満足度は圧倒的に高まることでしょう。
【今回の習慣化ルール】 ・心の豊かさ幸福度を左右するのが「コントロール感」 ・朝に、15分で3つのルーティンをする ・朝のルーティンは、得たい感情で選ぶ