朝起きたはいいものの、意味もなくスマートフォンを触ったりテレビを見たりして、時間を無為に過ごしてしまう……そんな人はいませんか。ゆっくり過ごすのもいいですが、できることならば、1日の始まりの朝時間を有意義に使いたいものですよね。
とはいえ、早起きが得意ではなかったり、あまりアクティブではなかったり、生活スタイルや好みは人それぞれ。そこで、自分に合った習慣は何かを見つけるために、以下のチャートをやってみてください。
たどり着いた先が、あなたに合った朝習慣です! 詳しく見ていきましょう。
【1】暗記系の勉強
「早起きが得意で」「朝は家の中にいたい」という人には、暗記系の勉強がおすすめです。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝は前日の記憶が整理され、新しい記憶を収納するのに適した時間帯なのだとか。早朝は暗記系の勉強をするのがよいでしょう。
ポイントは、前の晩に勉強した場所を復習すること。精神科医で受験アドバイザーの和田秀樹氏によれば、暗記してから9時間が経つと、記憶の保持率が急激に下がってしまうのだそう。逆に言えば、「9時間以内」に復習し直せば、記憶を強化することができるのです。これはちょうど、夜寝る前に勉強して朝を迎えた頃の時間帯に当てはまりますね。早朝の復習で、記憶を確実にとどめておきましょう。
さらに、朝の勉強のポイントとして、法曹資格受験の指導校「伊藤塾」塾長で弁護士の伊藤真氏は、新しい暗記は復習のあとにすることを推奨しています。前夜の学習内容を確実に自分のものにしてから、新しい知識をインプットさせることで、学習効率を上げましょう。
【2】ウォーキング
「早起きが得意で」「朝は外に出たい」という人は、ウォーキングはどうでしょうか。運動が心身の健康に寄与することは広く知られていますが、脳科学的な見地から見ても、朝のウォーキングはおすすめですよ。
ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士によると、運動を行なうことにより、脳の神経細胞の働きを促す「BDNF(脳由来神経栄養因子)」の分泌が増加するのだそう。さらには、ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンといった、思考や感情に関わる神経伝達物質の分泌も促進されるとのこと。運動が脳機能を向上させてくれるのです。
ちなみに、医師の秋津壽男氏は、同じ運動でも、早朝はランニングよりウォーキングを推奨しています。朝にランニングをすると、血圧が上昇して心臓に負担がかかり、健康面でのリスクが高くなってしまうのだそう。軽く心拍数を上げる程度のウォーキングのほうが、まだ身体が目覚めきっていない早朝の運動にはふさわしいのです。
【3】1日の楽しい計画を立てる
「早起きがあまり得意ではなくて」「1日をアクティブに過ごすほうだ」という人は、朝に1日の楽しい計画を立ててみましょう。
ペンシルベニア大学の研究によると、実際にストレスのある出来事を体験するかしないかは関係なく、朝に「嫌な1日になりそうだ」とネガティブな予測をするだけで、脳のワーキングメモリ(情報を一時的に記憶する能力)の働きが低下し、1日の生産性にも悪影響を与えてしまうのだそう。1日のパフォーマンスを下げないためには、”楽しい計画” を立てて、朝の思考をポジティブな面に向けていくことが大事なのです。
たとえば、「近所を散歩しながら、好きな音楽を聴こう」「新しいバスソルトを使ってみよう」など、些細なことでもかまいません。朝の短い時間に、自分にとっての “楽しい計画” を手帳やメモアプリにリストアップし、その日を気持ちよくスタートできるようにしましょう。
【4】朝日を浴びる
「早起きがあまり得意ではなくて」「1日をそんなにアクティブには過ごさない」という人は、まず朝日を浴びることから始めてみましょう。
朝の日光には、脳内物質であるセロトニンの分泌を促す効果があります。セロトニンは精神の安定をもたらすほか、頭の働きをよくするなど認知機能にもいい影響を及ぼします。逆に、セロトニンが充分に分泌されないと、疲労感や意欲低下などを引き起こし、その日の活動に悪影響を与えてしまうことも。
医師の帯津良一氏は、特に “朝の” 日光が大切なのだと強調します。なぜならば、昼間の太陽光では照度が強すぎるため、セロトニンを生成するのに適していないから。忙しい朝でも、目が覚めたらカーテンを開け、室内に太陽光を取り入れるようにしましょう。医療法人社団平成医会ホームページによれば、朝に日光を15~30分程度浴びるのがおすすめだそうですよ!
***
朝という貴重な時間を、自分に合った方法で有効に使っていきましょう。朝のちょっとした習慣の積み重ねが、あなたの人生をよりよいものへと変えてくれますよ。
(参考)
THE21オンライン|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
株式会社日立ソリューションズ|忙しいビジネスマンへ!絶対に挫折しない!和田式オトナの勉強術|Chapter08 効果や知識の定着 繰り返しを重視せよ「復習のススメ」
日経スタイル|記憶力が今すぐアップ 効果絶大の4つのコツ
プレジデントオンライン|脳細胞が増える運動「3つの条件」
アサ芸プラス|秋津壽男“どっち?”の健康学「健康づくりに始めたランニングの落とし穴 はまってしまうと危ない中毒性にご注意を」
The Journals of Gerontology series b|Waking Up on the Wrong Side of the Bed: The Effects of Stress Anticipation on Working Memory in Daily Life
AERA dot.|セロトニンだけじゃない! 太陽のパワーを医師・帯津先生が解説
医療法人社団 平成医会|セロトニンの増加が心身に及ぼす効果
【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。