鏡に向かって○○をする。「自己肯定感が低すぎる人」が朝にするべき3つの大切な習慣。

自己肯定感の低い人がやるべきこと1

4万5,000回。

これは、人間が1日のうちでネガティブなことを考える回数だと言われています。

ネガティブな思考は誰でも持つもの。「自分の出す企画なんてどうせおもしろくない」「自分なんかがこんな大きな契約取れっこない」といった “自信がない系” のネガティブ思考で、頭の中が埋め尽くされてはいませんか?

ネガティブ思考ばかりで自己肯定感が低い状態では、良い仕事をしようにもできないもの。そこで今回は、「朝」の短い時間でできる自己肯定感アップの方法をご紹介しましょう。

自己肯定感が低いことの3つの害

心理学者のガイ・ウィンチ氏によれば、自己肯定感の低い人には、以下の3つの症状が現れるのだそう。1つでも当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

1. 心が傷つきやすくなる

ウィンチ氏によれば、自己肯定感が低い人は失敗や挫折に弱くなり、自信喪失や無気力にも陥りがちだそうです。

失敗や挫折に毎回傷つき、自信が持てずにいると、「失敗しないように」という気持ちばかりがついてまわるようになりますよね。その状態では、能動的に仕事を見つけたり、率先して動いたりできなくなってします。結果、ただの「指示待ち人間」になってしまう恐れがあるのです。

2. ポジティブな情報を受け入れられなくなる

自己肯定感の低い人ほど、人に褒められても素直に信じられません。そして、「できない人」「ダメな人」アピールを取りがちなのだそうです。

褒め言葉を素直に受け入れられずにいると、自信は高まらないまま。より難易度の高い仕事に挑戦する意欲がわかなくなってしまうのです。仕事の難易度に合わせて自身のスキルアップも望めないので、いつまでも現状維持のままで、出世の大きな妨げになってしまいます。

3. 嫌なことを必要以上に我慢する

不当な扱いを受けて、それに立ち向かうことを無理だと思ってしまったり、嫌な相手を避けることが難しいと思ってしまったりするのも、自己肯定感の低さから来るものなのだそう。

上司からの無茶ぶりやパワハラに我慢していたら、肉体的にも精神的にも苦痛ですよね。そのような状態ではミスも起こりやすく、ミスが起きれば怒られ、また苦痛を感じ……という悪循環に陥って抜け出せなくなってしまいます。

自己肯定感の低い人がやるべきこと2

朝に自己肯定感アップに取り組むべき理由

それでは、自己肯定感を上げていくためには、具体的にどんな取り組みをすればよいのでしょうか。詳しい方法を紹介する前に、なぜ「朝」に習慣を持つべきなのか、その大きなメリットを紹介します。

睡眠や健康に関するコンサルティングを行なうユークロニア株式会社代表の菅原洋平氏によると、朝起きたときは「感情の記憶」が消去されて、「事実の記憶」だけが残っている状態になっているそうです。このことについて、菅原氏の言葉をみてみましょう。

「感情の記憶」は、事実ではなく、その人の脳の中だけでつくられた記憶で、これが私たちの悩みの種になります。睡眠中には、この「感情の記憶」を消去して「事実の記憶」だけを残す役割があり、この消去作業をしているときに、私たちは自覚的には悪い夢を見ています。

(リクナビNEXTジャーナル|脳が最も活発に活動するのは起床4時間後!仕事と睡眠の関係を探る

起床後は、「感情の記憶」という悩みの種がリセットされ、ポジティブな情報を取り込むのにもっとも効果的な時間だと言えます。同時に、事実と感情を切り分けられている状態なので、前日の出来事について客観的な分析も加えやすいでしょう。つまり、起床後の時間は、自己肯定感をアップさせるゴールデンタイムなのです。

では、具体的に、起床後にするべき取り組みを3つ紹介していきます。

自己肯定感の低い人がやるべきこと3

朝やるべきこと1:セルフハグ

「自己肯定感の第一人者」とも言われる心理カウンセラーの中島輝氏が紹介する方法が「セルフハグ」です。

まず、右手で左肩を、左手で右肩を持ち、自分を8秒間抱きしめます。次に、その状態で「頑張ってるぞ、俺」「どんどん良くなっているよ、私」という具合に自分を褒めるのです。ちなみに、声に出しても出さなくても、どちらでもかまいません。たったこれだけで、自己肯定感がアップするそうです。

補足すると、「頑張ってるぞ」「どんどん良くなってるぞ」といった抽象的なフレーズではなく、「プレゼンを成功させて偉いぞ」「資料作成の締め切りを守って偉いぞ」というような具体的なフレーズでも可。できたこと・できていることを自分で発見し、認めてあげることで、自己肯定感を上げていきましょう。

実際、自分で自分を褒める効果は、科学的にも立証されています。心理学者のジェア・ブロフィ氏の研究によると、問題が解けたときなどに心の中で自分を褒める習慣がある子どもほど、学力の向上も大きいそうなのです。

ブロフィ氏によれば、自分で自分を褒めるという行為は、脳にとって効果的な報酬になり、さらなるやる気を引き出すのだとか。問題が解けたり、課題を達成したりすることでも、自己評価は高まります。

セルフハグはとても効果的なので、朝の洗面台に立つ時間にでも、ぜひ取り入れてみてください。

自己肯定感の低い人がやるべきこと4

朝やるべきこと2:笑顔を作る

脳科学者の池谷裕二氏によれば、人間は「楽しいから笑う」のではなく「笑うから楽しくなる」のだそうです。楽しくなくても笑顔を作ることで、脳内にてドーパミンが分泌されて、幸福感ややる気が高まるとのこと。

笑顔の効能についての有名な実験に、ドイツのオットー・フォン・ゲーリケ・マグデブルク大学のミュンテ博士らが行なったものがあります。

【実験】
被験者を、「箸を縦にして口に加えさせ痛みを我慢しているような表情を作らせたグループ」と「箸を横にして口に加えさせ、笑顔と同じような表情を作らせたグループ」に分け、ドーパミンの分泌量を測定する。

【結果】
後者の「笑顔と同じような表情を作らせたグループ」のほうが、ドーパミンの活動が活発化した。

笑顔は「自分はうまくいっている」というポジティブなシグナルを脳に送り込みます。もし家族と一緒に暮らしている場合は、まず家族に笑顔で挨拶してみましょう。一人暮らしの場合は、朝家を出る前に一度鏡に向かって自分に笑いかけるだけでも、前向きな気持ちでスタートを切ることができますよ。

自己肯定感の低い人がやるべきこと5

朝やるべきこと3:モーニング・ページ

脚本家・小説家・映画監督など幅広く活躍するアーティスト、ジュリア・キャメロン氏が、著書『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』の中で紹介したのが、この「モーニングページ」です。ルールはたいへんシンプルで、以下の3つのみ。

  • 毎朝3ページ、思い浮かんだことをノートに書く
  • 手を止めずにひたすら書く
  • ノートは誰にも見せない

3ページと聞くと、大変だと思うかもしれません。しかし、人に見せるノートではないので、どんなに汚い字でもかまいませんし、字の大きさも自由。何も書くことが思い浮かばないなら、「何も書くことがない」と書きます。所要時間は、10分~15分ほどです。

自分が本当にやりたいことは何なのか、何を不安に感じているのか、何を否定的に感じているのか。そういった、自己肯定感を持つ妨げになっていることと向き合い、書いて解消したり、解決策を考えることができるのが、「モーニング・ページ」の効果なのです。

たとえば、「最近、頭を使いすぎているな。良くないな。体を動かそう。そうだ、ランニングしよう。頭も心もスッキリしそうだ」「最近、元気がないな。気分転換に、大好きな映画でも観に行こう。なんか久しぶりだな、わくわくしてきた。やっぱり居酒屋よりも映画館でしょ」といった具合です。

このように、思いついたことを紙に書き出していく取り組みは「ジャーナリング」と呼ばれ、別名で「書く瞑想」ともいいます。心理学者のジェイムズ・ペネベイカー氏らが行なった実験によると、失業者を対象に「ジャーナリング」を実践させたところ、実践しなかった失業者よりも再就職率がなんと約40%もアップしたそう。

書き出すという行為によって、後ろ向きになっていた気持ちが改善され、希望を持って行動に移せるようになるのです。

***
ネガティブ思考は、いわば、仕事に悪影響を及ぼす毒のようなもの。私たちは毎日、4万5,000回も有害な思考をしています。だからこそ、多くの人が、自己肯定感のバランスに悩んでいるのでしょう。どうかこの記事が、あなたの日々の特効薬になることを祈っています。

(参考)
マーシー・シャイモフ著、茂木健一郎訳(2008),『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』, 三笠書房.
東洋経済ONLINE|「心の免疫力」が高い人が実践する地道な習慣
リクナビNEXTジャーナル|脳が最も活発に活動するのは起床4時間後!仕事と睡眠の関係を探る
菅原洋平(2012),『あなたの人生を変える睡眠の法則』, 自由国民社.
東洋経済ONLINE|自己肯定感が低い人に表れる危ない5つの特徴
ジェア・ブロフィ著, 中谷泰之訳,『やる気をひきだす教師: 学習動機づけの心理学』, 金子書房.
プレジデントオンライン|池谷裕二が指南!やる気が出る「脳」のだまし方
デイリー新潮|「笑う門には福来たる」は本当か 脳研究者が解説する「笑顔の効果」
ジュリア・キャメロン著, 菅靖彦訳(2001),『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』, サンマーク出版.
チャディー・メン・タン著, ダニエル・ゴールマン著, 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート監修, 柴田裕之訳(2016),『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』, 英治出版.

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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