「同僚のあの人と比べて、なんで自分は仕事ができないんだろう……」
「毎日忙しく働いているわりに、成長している実感がもてない……」
このような悩みがある人へ、今回は「夜に記録するといいこと」を3つご紹介します。自信がついたり成長につながる気づきを得られたりと、仕事力を高めるのにうってつけのワークです。さっそくご説明しましょう。
1. 夜に「その日の点数」を書くといい
「上司や先輩に比べたら、自分は仕事が全然できていない。間違いはするし、頭の回転は遅いし……」と、自信をなくしていませんか?
当てはまる人は、夜に「自己採点」をする習慣を取り入れてみてください。自己否定の癖を直すことができますよ。
組織開発コンサルティングを行なう株式会社ワークハピネス執行役員の藤岡征太郎氏によれば、「自分には無理」「あの人と比べて能力がないから」などと自分を否定的にとらえる人は、決断するにも選択するにも自信がもてず、行動が消極的になりがちなのだそう。なかには、能力があるにもかかわらず、チャンスをものにできない人もいるとのこと。
一方、自分を卑下しない人は、当然のことながら自信をもって積極的に行動できるもの。挑戦を重ねて経験値を上げられるので、どんどん成長していけると藤岡氏は言います。
ならば、やはり自己否定癖は直したいですよね。そこでおすすめなのが、寝る前に「自己採点」をするというワークです。
これは、精神科医のバク氏が考案したもので、具体的なステップは次のとおり。
- 1日を振り返って自分に点数をつける
採点基準をあらかじめ決めておき、低い点数を感情的につけない。 - 「自分をほめてやれること」を見つけて加点する
ここでは採点基準を無視し、点数を大胆にプラスする。仕事以外のことでもOK。
大切なのは、2で加点をするステップです。バク氏いわく、無理にでも自分をほめて加点する作業を日々繰り返すと、自己否定癖がだんだん改善されるとのこと。
周囲と自分を比較して落ち込みがちな筆者も、毎晩この方法で自己採点をし、自分を卑下する癖が直るかどうか試してみました。
こちらが、筆者が設定した採点基準。自分に自信を与えるため、あえて基準を甘め(普通の日なら60点、少しいいことがあれば80点)にしてスタートしました。
そして、こちらが採点結果の一部です。
「ごく普通の1日で60点だった日」には「早起きできたから10点プラス!」とするなど、「自分なりに頑張ったこと」を評価するよう意識しました。
1週間ほどこのワークを続けてみたところ、採点基準を甘くした効果もあり「毎日そこそこいい点数だな」とポジティブな気持ちに。これまでは「忙しく活躍している友人と比べて、自分なんて……」とネガティブに考えがちだった筆者でも、「自分なりに毎日頑張っているんだから、自信をもとう!」と思えるようになりました。
さらにワークを継続すれば、新たな仕事への挑戦意欲も湧いてきそうな期待感があります。
仕事で自分に自信がもてなくなっているなら、自分をほめて加点し続けましょう。自分を否定する癖がなくなって、積極的に仕事に取り組めるようになるはずですよ。
2. 夜に「その日積み残したこと」を書くといい
布団に入ってから「資料作成がまだ終わっていないし、上司への相談もまだできてないし……」と、未完了の仕事のことをあれこれ思い出してしまい、なかなか眠れない……。
そんな日が続いて睡眠不足になっている人は、その日積み残した事柄を、寝る前にすべて紙に書き出してみましょう。気になることを頭のなかから追い出せるので、寝つきがよくなります。
睡眠不足だと仕事のパフォーマンスが下がる――というのは、多くの人が実感していることでしょう。これは脳機能が低下するせい。精神科医の樺沢紫苑氏が、次のように述べています。
睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。
睡眠不足の人は、本来持つ能力の3~5割減くらいの能力で、毎日仕事をしているのです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ)
そんな睡眠不足を防ぐために実践したいのが、寝つきをよくするための “書く習慣”。睡眠学研究者で医学博士の白濱龍太郎氏がすすめる、終わらなかったことや解決できなかったことを、とにかく紙に書き出すというワークです。これにより、頭のなかが空っぽになって、眠りにつきやすくなるとのこと。
じつは、布団に入ってから考え事を始めてしまいがちな筆者。その結果、日中の眠気に悩まされることもしばしばあったので、実際にこのワークを試してみました。
ある日のメモがこちら。
頭のなかを完全に空っぽにするため、筆者は仕事に限らず、日常生活における積み残しも一緒に書き出しました。たとえば「週末の予定について集合時間を決め、連絡する」といった感じです。
すると「書いたから、いったん忘れてもOK」という安心感が生まれて、いつもより早めの入眠に成功。翌日は、充分な睡眠時間を確保できたからか、心なしか頭のなかがスッキリしていました。
ちなみに筆者は、携帯しやすいメモ帳を使って実践。メモを見返して積み残しの内容を確認し、翌日漏れなく対応することもできましたよ。ぐっすりと眠れて、なおかつ備忘にもなるのですから、試さない手はありませんね。
3. 夜に「1行日記」を書くといい
目の前の仕事をこなすだけの毎日で、忙しいわりに成長している実感がない……。
こうした悩みがあるなら、夜に “たった1行” でいいので日記をつけましょう。成長のきっかけがつかめるはずです。
Zホールディングスグループの企業内大学「Zアカデミア」学長の伊藤羊一氏によれば、振り返りを行なうと、自分がやるべきことが明確になる効果が得られるとのこと。忙しさを言い訳に振り返りを怠ると、本来やらなくてもいいことに手をつけてしまったり、同じ失敗をしたりなどして、余計に忙しくなるという悪循環に陥るそうです。
そこで伊藤氏は、「1行日記」という振り返り法をすすめています。具体的なステップは、下記のとおり。
- その日にやったことを1行で書く。読み返したときに記憶がよみがえるよう、情景や自分の感情も含める。
例「午前中に資料作成をしたら、思いのほかはかどった。気分もスッキリした」 - 1で書いた内容が、自分にとってどんな意味があるのかを考える。
例「以前、午後に資料作成をした日は、まったくはかどらなかった。自分は午前中のほうが集中できるのかもしれない」 - 2の内容から気づきを得る。
例「午後の資料作成がはかどらないのは、おそらく眠気のせいだ。午後には眠気を飛ばせるような業務をスケジューリングするのがよさそうだ」 - 3の内容をふまえて、次のアクションを考える。
例「明日は午前中に資料作成をして、午後にミーティングを開こう」
ステップ1で出来事を1行書いたら、残りのステップは頭のなかで行ないます。おわかりのとおり、大事なのは「書く」だけでなく「振り返る」こと。
「その日の経験を振り返り、気づきを得て、次の日の行動につなげる」というプロセスを毎日繰り返すことで、確実に成長していけると伊藤氏は言います。
なお、日記は紙に書いても、スマートフォンのメモアプリに記録しても、どちらでもいいそうですよ。
書くのは1日たった1行だけ。考えることを含めても、5分もあれば終わるでしょう。毎日忙しすぎる……という人にもぜひ取り組んでほしいワークです。日々の業務から気づきを得て、その気づきを行動に活かせれば、仕事に自信がもてない状態から抜け出せますよ。
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ご紹介した方法を実践すれば、自信をもって仕事に臨める自分になれるはず。3つのうち自分に合ったものを試してみてくださいね。
(参考)
株式会社ワークハピネス|自己肯定感とは?チーム・人材の自己肯定感を高く育てる方法
ダイヤモンド・オンライン|ハッピーエンドになる思考のクセづけができる、すごい習慣とは?
樺沢紫苑 (2020), 『ストレスフリー超大全』, ダイヤモンド社.
ダイヤモンド・オンライン|「死んでも睡眠は削るな!」コロナ禍に精神科医が断言するワケ
サワイ健康推進課|朝が変わる!良い睡眠のための「寝る前習慣」
伊藤羊一 (2021), 『1行書くだけ日記』, SBクリエイティブ.
東洋経済オンライン|50代で爆速進化する人が「1行日記」を書く理由
ITmedia エグゼクティブ|「1行書くだけ日記 」振り返りのオススメ
【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。