人間関係にちょっと疲れたあなたに必要なのは「ノートとペン」だけ。いますぐ試してほしい3つのノート術

職場の人間関係に疲れている女性

「大人しそうに見られるからか、八つ当たりされやすい。建設的な話し合いができたらいいのに」
「仕事上、仕方なく同僚の愚痴を聞き続けている。サンドバッグにされているみたい」

こうした人間関係のストレスによって、ちょっと疲れたと感じている人は多いかもしれません。今回は、そんな人に試してほしい3つのノート術をご紹介します。気が楽になったり、状況を解決する手立てが見つかったりすることでしょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

1. 感情や思考を「マインドダンプ」で書き出す

人間関係のストレスを自分なりのセルフケアで発散しているつもりなのにうまくいっていないと感じている人は、そのやり方に問題があるのかもしれません。

習慣化コンサルタントの立花岳志氏は、ストレスを発散して「『なかったことにする』のは、本当の意味でのストレス『解消』にはなってい」ないと指摘します。なぜなら、「ストレスの根本原因がなくならない限り、またストレスは溜まり続け」るから。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|ストレスは「発散するだけ」では不調が続く理由

つまり、ストレス解消への最初の一歩は根本原因を明確にすることです。

そこで立花氏がすすめるのは、「マインドダンプ」と名付けたノート術。これは毎朝20分、ポジティブ・ネガティブにかかわらず片っ端から思考や感情をノートへ書き出す作業です。必要なのは、ノートとペンだけ。

「感情には良いも悪いもなく、ただそこに存在しているもの」だと言う立花氏。ただし、「怒りや嘆き、無力感などの感情」を抱えていると、「クリアな思考でものごとを整理することができ」ないそうです。

思考や感情は自分の中にあるときはモヤモヤと形を持たず浮かんでは消え、消えては浮かぶを繰り返しています。それらを書き出すことで、曖昧だった思考や感情は「言語化」され、「具体化」されることになります。「具体化」された感情や思考は、解決可能な「課題」へと変化していきます。

(カギカッコおよび枠内引用元:同上 ※太字は編集部が施した)

つまり、感情を書き出せば「課題」となり、どう解決できるかを考えやすくなるというのです。

立花氏いわく、「1週間ほど続けると、ネガティブな吐き出しは少なくなり、より建設的な『課題』『夢』『野心』などが出てくる」そうですよ。(カギカッコ内引用元:同上)

実際に、筆者もマインドダンプで感情や思考をノートに書き出してみました。

感情や思考をマインドダンプで書き出した様子

個人情報を多く含むため、マスキングしています

いきなり人間関係について書き出すのは難しかったので、日常的な内容も交えながら片っ端から書いてみたところ、感情や思考が芋づる式に引き出されていく感覚を得られました。

正直に書き出してみると、置かれた状況に対してこんな感情や思考をもっていたのかとあらためて認識できたことが多くありました。頭で考えるだけだと、特にネガティブな感情や思考は「たいしたことではないだろう」とその場限りでなかったことにしてしまいがち。疲れをためないためには、どんな小さな感情や思考でも、見過ごさず書き出すのが有効な方法だと言えるでしょう。

「マインドダンプ」で感情や思考を書き出している男性

2. 心の荷物の重さを「数値化」して書き出す

「同僚の仕事のやり方にモヤモヤした気持ちを抱えている」
「明日の会議を考えるだけで気が重くなる……」

そんな状況に悩む人は、いつの間にか “心の荷物” を背負いすぎているのかもしれません。

かつてミリオンヒットを10回記録した元ソニーミュージックの音楽プロデューサーで、『超ミニマル主義』の著者・四角大輔氏によると、心配のもとを「『最大重量=10ポイント』に対して『何ポイント』かを数値化して」書き出し「『心の荷物の重さ』を可視化する」ことによって、「重荷の正体を突き止めることができる」そう。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「人間関係がうまくいかない…」という悩みが一発で消える“効果絶大なワザ”とは?

つまり、心の荷物を「目に見える情報」に変換することによって、その棚卸しを可能にするのです。

さらに四角氏は、これは仕事や人間関係において「どうしようもないくらい辛い時」や「大きなトラブルの原因を探る時」に有効な方法だと語ります。(カギカッコ内引用元:同上)

実際に、筆者も自身の心の荷物を具体化・数値化し、以下のように書き出してみました。

「心の荷物の重さ」を数値化して書き出した様子

(参考元:ダイヤモンド・オンライン|「人間関係がうまくいかない…」という悩みが一発で消える“効果絶大なワザ”とは?, 一部マスキングしています)

書き出した内容と体感を比べてみると、心の荷物を無意識になかったことにしようとするクセがあることに気づきました。また、モヤモヤした曖昧な感情は、書き出したことによって対処可能な課題へうまく落とし込むができたのです。

人間関係について、どんな心の荷物をどれくらい抱えているのかが明確になれば、あなたが背負う必要のないものにいち早く気づくことができるかもしれませんね。

「心の荷物の重さ」を数値化して書き出している女性

3. 意見の相違点を「中立的な視点」で書き出す

「自分は正しいことを言っていて、相手が間違っている」
「相手が正しいというなら、自分は間違っているのだろうか」

そんなふうに0か100かで考えている人の人間関係は、当然疲れるものになってしまうでしょう。

サウスフロリダ大学が2021年に発表した研究があります。それによれば、いくつかに分けた被験者グループの各々に異なるテーマを与えて、2週間の執筆演習を行なわせた結果、パートナーとの意見の相違について共通の友人など中立的な立場の第三者の視点で書く演習を行なった被験者チームは、他のチームに比べ、それぞれのパートナーとの対立の場面や攻撃的な出来事が減ったそう。この研究を主導した社会健康心理学者のリンジー・ロドリゲス氏は、自己と他者の相違点を中立的な立場から書くことで、自分の考え方を再構築し、出来事をより客観的に処理できると分析しています。(参考:University of South Florida St. Petersburg|Expressive writing reduces relationship conflict and aggression during pandemic, study finds

つまり、自分と相手 “以外” の視点を交えることで、小さな意見の相違点を関係全体から俯瞰で見ることができるというのです。

筆者も中立的な視点を意識し、ある人間関係において「相手と自分は意見が異なっている」と感じた点についてノートに書き出してみました。

「中立的な視点から」意見の相違点について書き出した様子

上記のように書き出してみると、それぞれの意見を俯瞰してとらえやすくなり、善悪の立場を超えて、自分がとれる行動の範囲を明確にすることができました。

「真正面から受け止めすぎるのはやめよう」と冷静になれたり、「意見の相違が少しでも埋まるよう、今度○○と言ってみようか」と考えられたりしたことで、心にかかっていた負担がちょっとだけ軽くなった気がしました。

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人間関係における疲れのひとつひとつは小さくても、蓄積していくと大きなストレスになってしまうもの。そうなる前にノートを使ってこまめに吐き出し、状況を整理してみてくださいね。そうすれば、きっと前向きな行動につながるはずです。

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