本を全然読まないと「3つの超重要メリット」が逃げていく。

読書と仕事01

「本を読んだほうが良いとは思うけれど、仕事も忙しいし、なかなか気が進まない」というビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?

ある調査では、一般の人よりも富裕層のほうが読書量が多いということがわかっています。全国の20代・30代のビジネスパーソンが、過去1年間で読んだビジネス書の平均が3.1冊程度なのに比べ、30代年収3000万円実現者の平均読書量は月に平均9.88冊とのこと。 ビジネスで成功している人は、一般の人とは比べ物にならない量の本を読んでいるのです。

今回は、読書が仕事にもたらすメリットを3つご紹介しましょう。

「心の知能指数」を成長させてくれる

EQ(Emotional Intelligence Quotient:心の知能指数)という言葉をご存知でしょうか?

「EQ」は、感情を理解し管理する能力のこと。EQが高い人は、自己認識・自己管理・モチベーション管理・共感性・社会性などに優れていると言われています。

EQを1990年に初めて提唱したのは、イエール大学の心理学教授であるピーター・サロベイ氏と、スタンフォード大学の心理学教授 ジョン・メイヤー氏です。両氏は、「ビジネス社会で成功している人は、IQ(Intelligence Quotient:知能指数)だけでなく、対人関係能力にも優れている」と述べています。具体的には、自分自身および他者の感情を把握することに長けているのだそうです。

読書は、そんなEQを成長させると言われています。技術の進歩に伴い、メール、Twitter、LINE、Instagramなど、私たちのコミュニケーション方法は多種多様になってきました。しかし、どれを取っても、私たちは言葉を使ってコミュニケーションをしていることには変わりありません。

脳科学者の茂木健一郎氏は、本を読むことで、自分の感情や他人の感情を、より理解できるようになると述べています。

言葉はぼくたちの根本にあるものです。言葉は、人とつながる能力であると同時に、感情や状況を把握する能力でもある。そして、言葉の能力によって、ものの感じ方、世界の見え方、世界に対する動き方、人との結びつき方というのは変わっていきます。その言葉を鍛えるには、本以上の現場はありません。

(引用元:茂木健一郎(2015),『頭は「本の読み方」で磨かれる』,三笠書房.)

茂木氏によると、記憶や聴覚、視覚をつかさどり、その人の経験をストックする機能を持つ、脳の「側頭連合野」という部分に、読んだ本のデータが蓄積されるそう。本を読むことで、本に出てくるキャラクターや書き手の思考を実際に経験するのと同じような作用が得られるのだとか。そのため、読書はEQを高め、ビジネスでの成功にもつながるのです。

読書と仕事02

自己肯定感を上げてくれる

皆さんは、自己肯定感が高いでしょうか? 低いでしょうか? 自己肯定感も、ビジネスパーソンにとって大切な要素のひとつです。

自己肯定感について調査研究を行なっている日本セルフエスティーム普及協会代表理事の工藤紀子氏によると、社員の自己肯定感が高いと、会社組織の成果まで好転するのだとか。一方で、株式会社ネットマン代表取締役社長の永谷研一氏によると、自己肯定感が低い人は、新しい行動を起こそうとしてもリスクを考えて踏みとどまってしまい、前に進めない傾向にあるそう。自己肯定感は、ビジネスパーソンにとって重要なスキルとも呼べる存在なのです。

そんな自己肯定感も、読書を通して高めることができます。本を読んでいて、自分の考えを代弁してくれるような表現に出会ったとき「私もそう思っていた! でもずっと言葉にできていなかった」と感動したり、心が救われたりした経験をもつ人も多いはず。言語化できたことによってもやもやが解消される、といったケースもあるでしょう。 茂木氏は、自分が感じていることを正確に把握するためにも、言葉の精度を高くすることをすすめています。

さまざまな表現を知ることは、当然、自己表現がうまくできるということにつながります。言葉を知るということは自分を知ることとイコールで、自分をよりよく表現できるようになることだからです。

(引用元:茂木健一郎(2015),頭は「本の読み方」で磨かれる,三笠書房.)

読書をすると表現力が高くなり、自分自身の想いをより正確に表現することが可能になるのだそう。

そして、自分の感情を正確に把握できると、自己肯定感が高くなるというメリットも生じます。日本ヨーガ瞑想協会会長で綿本ヨーガスタジオ主宰の綿本彰氏いわく、「自己肯定の第一歩は、今抱いている自分の「気持ち」に気づき、それを肯定すること」とのこと。

読書をすることによって、表現力が上がり、自分の感情を受け入れられるため、自己肯定感が高くなるのです。読書を通して自己肯定感を高め、前向きに仕事に取り組むことができるビジネスパーソンになりましょう。

読書と仕事03

睡眠の質を上げてくれる

「疲れているのになかなか寝つけない」という人は多いのではないでしょうか? 読書には、ストレスを軽減させ、眠りへと導く効果もあります。

サセックス大学の研究によると、たった6分間本を読むだけで心拍数が下がり、筋肉の緊張がほぐれ、ストレスレベルが68パーセント軽減されるそうです。これは音楽を聴く、お茶を飲む、散歩をするといった行為よりも効果が高いのだとか。

研究に携わった認知神経科学者のデイビッド・ルイス氏によると、どのような本でも、読書に集中し、筆者の世界観に陶酔することで、日常の心配事やストレスから解放されるそうです。

睡眠不足はビジネスパーソンにとって深刻な問題です。ハーバード大学の医学教授であるチャールズ・チェイラー氏によると、脳は、睡眠時間が5時間以内の日が1週間以上続いた場合、お酒を飲んだほろ酔いに近い状態になるのだとか。これでは、仕事のパフォーマンスが下がるのは言うまでもありません。経済協力開発機構(OECD)による平均睡眠時間の調査(Gender Data Portal 2019)によると、日本人の睡眠時間はほかの多くの先進国の睡眠時間と比較して最短水準だったそう。まさに日本は「睡眠後進国」だと言えます。

睡眠後進国の日本人にとって、読書で上手にリラックスすることは、良い眠りへの鍵となるでしょう。質の高い睡眠をとることで、翌日の仕事で高いパフォーマンスが期待できます。

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具体的なメリットが見えると、読書への意欲が高まるのではないでしょうか? ぜひ本を読むことを習慣にしてみてくださいね。

(参考)
STUDY HACKER|お金は “未来の自分” のために使うべし。簡単にできる「自己投資」の方法。
ADVANTAGE Risk Management|EQとは?
Daniel Goleman (2017), Altered Traits: Science Reveals How Meditation Changes Your Mind, Brain, and Body, Reduce Your Hours, USA, Avery
茂木健一郎( 2015),『頭は「本の読み方」で磨かれる』,三笠書房.
President Online|デキる人は「瞑想」で自己肯定力を上げる
日経電子版|書く瞑想、ジャーナリング 集中力高め仕事効率を改善
The Telegraph|Reading 'can help reduce stress'
Nippon.com|40代の半数、睡眠時間は6時間未満 : OECD調査でも世界最短水準
茂木健一郎(2017),『脳が最高に冴える快眠法』,河出文庫.
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会|今、なぜ日本で自己肯定感が求められているのか?
東洋経済オンライン|「自己肯定感」が低い人に現れる"残念な症状"

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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