手つかずの仕事がどんどんたまってきて、頑張っているのに終わらない……。
いつも締切に追われていて、時間的にも精神的にも余裕がない……。
こうした悩みを抱え、焦りと不安を感じている人は多いかもしれません。いくら責任感や意欲があっても、仕事が遅くてはもったいないもの。どうすれば仕事を速くできるのか、具体的な対処法がわからず困っているなら、使う言葉を少し変えることから始めてみましょう。考え方も行動も変わり、仕事のスピードがアップするはず。
今回は、“最速で仕事できる人” になるためにぜひ口にしたい3つの言葉をご紹介します。
1.「何をするべきか?」
新サービスの考案を指示された。大規模なイベントを初めて担当することになった。こうした難しい仕事や初めての仕事を前にしたとき、「どうしたらいいかわからない……」と悩んでしまいなかなか着手できない、といったことはありませんか?
自分は心配性だから、失敗する可能性ばかり考えてしまう。臆病な性格だから、ミスのないようにしなくちゃと考えすぎる――そのようにして、動き出せないことを性格のせいにしがちな人は注意が必要です。
イギリス『タイムズ』紙の第1級コラムニストでジャーナリストのマシュー・サイド氏は、著書『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』で、「人の行動の原因を性格的な要因に求め、状況的な要因を軽視する傾向」を指摘しています。大切なのは、「進んで検証を繰り返して」いくことなのだとか。自分の直感やすでにある知識だけを信じるのではなく、自分のアイデアを実社会でテストしたうえで欠点を見つめ、学んでいくべきだとしています。(参考:マシュー・サイド (2016), 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.)
つまり、“何かしらの行動をやってみた結果、どうなったか” という状況をつどふまえたうえで、次にとるべき最適な行動を見いだしていけばよいということ。性格はあまり気にしなくていいのです。
また、『1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』著者で漫才作家の本多正識氏は、仕事で「重宝される人材」として「頭の回転が速い人」を挙げ、その特徴をこう説明しています。
頭の回転が速い人はとにかく「何をするべき(決めるべき)」なのかを決めるのが異常に速いのです。
自分の仕事は資料作りなのか、それともリサーチなのかなど、自分がそのグループのなかで何を求められているのかをすぐに把握しようとします。つまりは「行動するまでの時間が短い」のです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|頭の回転が速い人が仕事をするときに意識しているたった1つのこと ※太字は筆者が施した)
この説明を先のサイド氏の解説に当てはめてみると、とある行動をとった結果をふまえ、次はどんな行動をとるのかを “すぐに” 決められる人がイメージできますね。
「どうしたらいいかわからない」と言ったり「心配で動き出せないな……」と思ったりすると、それだけで仕事は遅くなってしまうもの。最速で仕事ができる人になるために、「もし失敗したとしても問題ない。そのときの行動をすぐ検証して『次は何をするべきか?』決めればいいのだから」というふうに考え方を変えてみましょう。
たとえば、新サービスの考案を任されたときは、
- まず「何をするべきか?」と上司に手順を確認する。
- もしうまくいかなかったら「次は何をするべきか?」とすぐに改善策を考える。
という具合にとりあえず行動に移してみれば、きっとこれまでよりも速く仕事が進みますよ。
2.「すぐにやります」
上司から仕事を指示されたとき、「わかりました」とだけ答えるのでは少しもったいないかもしれません。最速で仕事を進めたいなら「すぐにやります」「さっそく取りかかります」と答えましょう。
株式会社ワンキャリア取締役の北野唯我氏いわく、
ビジネスの世界では、「タイミングを制する者がスピードを制す」が原則だ。つまり、「仕事が速い=タイミングが早い」なのだ。
(引用元:プレジデントオンライン|頭のよさは関係ない…周囲から「仕事が速い」と驚かれる人がこっそり意識している3つの法則)
「どれだけ時間が、かかるか?」という「タイム」ではなく、「いつやるのか?」という「タイミング」が重要だ――というのがポイントだそう。その理由を北野氏は、
「タイムの問題は自分だけの問題」だが、「タイミングの問題は他者が関わる問題」だからだ。
(引用元:同上)
と述べます。
たとえば、「来週の火曜までにプレゼン資料をつくっておいて」と上司から指示され、それをたった1時間で終えた場合、一見それは “速い” と言えそうです。しかし、指示されてから数日たっても取り組まず、締め切り当日の火曜に「そろそろ終わった?」と聞かれてから慌てて作業した結果の1時間なのであれば、もはや “速い” とは言えませんよね。一方、指示されたあとですぐに着手し、すばやく作成し終えて上司に提出すれば、「仕事が速いね。おかげで助かったよ」とポジティブな評価をもらえることは間違いないでしょう。相手がいる仕事において、タイミングはこれほどまでに重要なのです。
このタイミングについて、北野氏は以下の3つを実践することをすすめています。
・「すぐやる」
……依頼された日のうちに、0.01%でもその作業に取り掛かること。
・「すぐ出す」
……締め切り期限より早くに提出すること。
・「すぐ答える」
……その場で暫定回答をしたうえで、1週間以内など期限を区切って、正式回答をすること。あるいは、その場で暫定回答すらできない場合は、できる日時を決め、約束すること。
(引用元:同上)
先の例であれば、
- すぐやる……プレゼン資料の作成を指示されたその日のうちに、表紙だけもつくる。
- すぐ出す……締め切り日の火曜よりも早く、たとえば金曜に提出する。
- すぐ答える……指示されたと同時に「資料の内容はどんな感じになりそう?」と聞かれたら、「明日までにはしっかり固めますが」としたうえで「いまのところはこうなりそうです」とその場で仮の回答をする。
といった具合でしょうか。指示された仕事は「すぐやります」「さっそく取りかかります」と言って引き受け、その後上司などの意向も取り入れつつ改良していけば、仕事の速い人になれますよ。
3.「全体最適で考えると」
ここまでは、ビジネスパーソン個人としての仕事の速さについて考えてきましたが、最後はチームとしての仕事の速さにも目を向けてみましょう。
多くの仕事を抱えるチームリーダーや、複数の業務を担当する人のなかには、「どれもこれも一生懸命やらなくてはならず、結局どの仕事も遅くなってしまう」「ひとつの仕事に力を入れると、ほかの仕事が回らない」などと悩んでいる人がいるのではないでしょうか?
課題解決コンサルタントの阿比留眞二氏は、チームの「仕事をシンプルかつ合理的、効率的に進める」には「全体最適」で考えることがカギになると伝えています。
業務A、業務B、業務Cと単体で最高をめざせばいいという発想をしてしまうと、仕事はうまく回りません。各業務に注ぐ力と業務スピードを調整していかないと、全体がうまく回らないのです。
部分最適で考えてしまうと、最高の効率を求めるはずが、さまざまなロスが出てしまうことになりかねません。このロスを出さないために、仕事の優先順位は、やはり全体最適を考えながら決めていくことです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|一流のリーダーは「全体最適」で判断し、優先順位を決める)
たとえば、とあるチームで、市場分析と、販売促進企画の検討と、若手育成という3つの仕事があるとします。このうち市場分析の仕事には注力したものの、販売促進企画の検討には手が回せていない……となれば、分析をしただけで販売促進にはつなげられず、チーム全体・会社全体として望ましい成果は得られないでしょう。
このように、ひとつのことを頑張っても、全体の成果や進捗がよくないものになることがあるのです。
だからこそ、仕事を最速で進めるために言いたいのが「全体最適で考えると?」という言葉。「全体最適で考えると、業務配分はどうしたらいいだろう?」という具合に、全体として何を達成したいのかを考え、それに向けて人や時間の配分を検討していけば、チームとしての仕事をより速く進められるようになりますよ。
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最速で仕事できる人になるために、ぜひ口にしたい3つの言葉をご紹介しました。最初は1つからでもよいので、ぜひ取り入れてみてください。
(参考)
マシュー・サイド著, 有枝春訳 (2016), 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.
ダイヤモンド・オンライン|頭の回転が速い人が仕事をするときに意識しているたった1つのこと
プレジデントオンライン|頭のよさは関係ない…周囲から「仕事が速い」と驚かれる人がこっそり意識している3つの法則
ダイヤモンド・オンライン|一流のリーダーは「全体最適」で判断し、優先順位を決める
ログミーBiz|Webマーケティングにおける全体最適と部分最適の考え方
STUDY HACKER|最速で仕事をする人の “考え方のクセ” とは? 確実に周囲に差がつく2つの「思考アルゴリズム」
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STUDY HACKER 編集部
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