京大首席合格者の「勉強記録メソッド」を方眼ノートでやってみた結果。“見える化&ご褒美” の効果がすごい!

勉強を楽しんでいる女性

勉強が退屈ではかどらない。勉強習慣がなかなかつかない。勉強は “楽しくない” ものだから仕方ない……? いいえ、つまらなく感じる勉強でも “楽しめる” ようになる方法があります。

教育評論家の石田勝紀氏によれば、勉強をおもしろがるためには「『楽しむ構造』を作る」ことが大切なポイントなのだとか。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|勉強嫌いの子に教えたい!「Gノート」の威力

今回の記事では、勉強を楽しむ仕組みづくりのヒントとなる “方眼ノートの勉強記録” の方法と効果をご紹介します。勉強を退屈に感じるふたつの原因を解消できるメソッドです。筆者の実践報告もお伝えしますので、ぜひみなさんの勉強にお役立てください。

問題点1「はかどっている実感がない」⇒ 対策「進捗状況の見える化」

勉強がはかどっているという実感が得られないと、勉強の楽しさはなかなか感じられないものですよね。その大きな問題点は、“進捗が見えていない” こと。

東京大学医学部生で勉強法に関する著書をもつ片山湧斗氏は、勉強を登山に例え、「うっそうとした森の中にいて、あとどれくらいで頂上なのかわからない状態で登山を続ける」状況は、心理的負担が大きく大変だと語ります。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|勉強を心折れず継続できる「東大生」凄いノート術

たとえば、資格試験に合格したいという目標を立てたものの、目標得点をとれる実力に近づけているのかどうかわからない……というように、目標への進捗具合を把握できていない状況では、成長実感を得にくく、前向きな気持ちも維持しにくいわけです。

そこで重要になってくるのが、“勉強記録” の習慣。京都大学に首席で合格した経験をもつ実業家の粂原圭太郎氏は、

勉強したことに対するフィードバックが早ければ早いほど、達成感を得られ、没頭しやすい状態をつくることができます。

と述べます。このフィードバックは誰かにしてもらうだけでなく、“記録” というかたちで自分自身で行なってもいいとのこと。具体的には、勉強内容、勉強時間、理解度を書くのです。このように「できたことを記録し、可視化することで『今日はこれだけ頑張れた』という実感がわ」いてくると、粂原氏は語っています。

(粂原氏の説明部分 カギカッコ内・枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|【勉強貯金】日々の勉強は裏切らない。勉強にのめり込むシンプルな方法

勉強を楽しむには、記録を通じて勉強のはかどり具合を実感することが効果的なのですね。

モチベーションを維持しながら勉強している女性

問題点2「報酬より勉強するコストが高い」⇒ 対策「ご褒美を決める」

たとえば「資格を取得する」「外国語を話せるようになる」などの成果を得るまでには、時間や労力がかかるものですよね。研究者によれば、“勉強するコスト” のほうが大きいと感じるとき、人はやる気を失うのだとか。

お茶の水女子大学助教で脳研究者の毛内拡氏よると、「努力を要する行動において、人間はその『メリット』と『デメリット』を脳内で計算して」いて、「『やる』ことのメリットが『やらない』ことのメリットを上回」ると、人間はその行動を「やる」のだそう。そして、やる気が出る仕組みを毛内氏はこう解説します。

ある行動をした結果得られる報酬(ご褒美)が大きいと期待されるときに、やる気は上がります。
(中略)
一方、報酬を得るのに必要となる労力や時間などのコストが大きい場合は、やる気がだだ下がりします。面倒くさい、というやつです。

(カギカッコ内・枠内引用元:東洋経済オンライン|「やる気が出る・出ない」を決める脳の凄い仕組み

“つらくても朝早く起きて” 勉強する、“電車では本当なら仮眠をとりたいけど” 本を開く、“頑張って” 単語を覚える……など、勉強における苦労は数知れず。こうした努力が成果や報酬に見合わないと脳が判断すると、「面倒くさい」「やりたくない」などの感情が生まれるのです。

そこで、コストと報酬のバランスをうまくとり、意欲的に勉強するためにおすすめの方法が、勉強したあとのご褒美を決めておくというもの。

諏訪東京理科大学教授で脳研究者の篠原菊紀氏は、パフォーマンスを上げるには「“報酬”が期待できる状態」にするのが好ましいと述べます(カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法)。

「1時間勉強したら、スイーツを食べよう」などのように、勉強の先に “楽しいことが待っている” 状態が、やる気を起こさせるのです。

東京大学工学部出身で謎解きクリエイターの松丸亮吾氏も、報酬を利用して勉強していたひとり。子どもの頃、「勉強を3時間やったら、好きなだけゲームしていい」というルールで勉強した結果、気持ちが以下のように変化したのだとか。

『勉強ができない』→『楽しくない』→『だからやらない』のサイクルから、『(ゲームのために)やらないといけない』→『勉強ができるようになるから楽しい』→『楽しいからさらに勉強する』というサイクルに変わって、そこからは自分で勉強するようになりました

(引用元:プレジデントオンライン|受験勉強という「クソゲー」を最短攻略する方法

勉強が楽しくないのなら、“本当に好きなもの” を利用して “勉強を楽しむ仕組み” をつくればいいのですね。

ご褒美を決めて勉強を楽しんでいる男性

やる気が持続する「勉強貯金」とは

勉強を楽しむためのふたつの条件――「進捗状況の見える化」「ご褒美を決める」――これらを満たしたものが、「勉強貯金」というメソッドです。

勉強貯金とは、前出の粂原氏が高校時代に実践していた記録方法。やり方はきわめてシンプルで、勉強した「時間を貯金の残高に見立てて記録していく」というもの。手順は以下のとおりです。

  • ノートに「勉強内容」と「時間」を書き留める
  • 「1か月ごとに合計時間」を出す

さらに粂原氏は、「3000分を超えたらこのゲームができる、この漫画が何巻読める」「交換リスト」を作成し、モチベーションを高めていたのだそう。

(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|【勉強貯金】日々の勉強は裏切らない。勉強にのめり込むシンプルな方法

貯金がたまっていく達成感に、報酬を期待して積み上げていく楽しさ。このふたつの心理をうまく活用した方法と言えるでしょう。

貯金を貯めるように勉強している様子

交換リストを作成&方眼ノートに記録しながら1週間勉強してみた

筆者も実際に、勉強貯金のメソッドを参考にして1週間勉強記録をとってみました。

今回記録に使用したのは、方眼ノートマス目を塗り潰すことで “勉強の積み上げ” がよりわかりやすく可視化されると期待したからです。

ノートのサイズには迷いましたが――手帳評論家の舘神龍彦氏によれば、「『サイズ』は、記入できる情報量や一覧性の高さに直結」するとのこと。(カギカッコ内引用元:価格.com マガジン|[2019年] 効率がアップする「機能派手帳」! 手帳王子が教える選び方と厳選10冊

そこで、書き込む情報量が多くなりそうなのと、頻繁に見ることを想定し、大きめの手帳感覚で使えるA5サイズを選びました。

こちらが、記録用のフォーマットです。

勉強を記録するフォーマット

1教科あたり、縦に9マス分のスペースを確保。1行が縦3マスとなるよう、各教科欄を三等分する線を引きました。1行に割り当てた縦3マスのうち、上の2マスは日付や勉強内容を記入するスペース、下の1マスは勉強した時間を塗り潰すスペースとしています。

マスを塗り潰す際のルールとして、「5分勉強したら1マス塗る」こととしました。スキマ時間も勉強したいと考えたからです。みなさんも、ご自身の勉強スタイルに合わせて、1マスの時間を設定してみてくださいね。

あわせて、どれぐらい勉強したら自分にどんなご褒美をあげるのかという「交換リスト」も作成しました。こちらをご覧ください。

筆者の作成した交換リスト

ゲーム感覚で勉強するために、達成時間ごとにリストを作成しています。たとえば、

  • 100分に到達したら、ドラマを2話分観られる
  • 500分に到達したら、小説を買うことができる

というように、到達時間に見合うご褒美を設定。勉強を積み上げるほど、より高い報酬が期待できる仕組みにしました。

そして、1週間経過した記録の様子がこちら。

1週間経過した方眼ノートの記録

多少ばらつきはあるものの、どの分野も初日より勉強時間がしだいに増えていることがわかりますね。また、どの分野に勉強が集中しているのかも一目瞭然。今後の学習計画に役立ちそうです。

方眼ノートで記録すると、勉強が楽しくなる!

1週間にわたり方眼ノートで勉強記録をつけてみた結果、ふたつのポジティブな効果を実感しました!

1.「積み上げる楽しさ」を感じられる

特筆すべきは、勉強にとりかかる初動が軽くなったことでしょう。たった5分の勉強でもカウントする仕組みとしたので、「短い時間でも勉強しよう」という気持ちになりました。

さらに、30分なら6マス、1時間なら12マス……と、進捗具合を “マス目の数” で可視化したことで、「こんなに進んだ!」という実感が得やすくなりました。前出の片山氏が、

やはり人間は、数字でわかりやすい目標があり、数字で進捗がイメージできる状態になるとわかりやすくてはかどるのです。

(引用元:東洋経済オンライン|勉強を心折れず継続できる「東大生」凄いノート術

と述べており、たしかにそのとおりだと思いました。

また、交換リストの存在により、近い目標を意識しやすくなったこともモチベーションにつながりました。「あと〇マスでご褒美がもらえる」というわかりやすい目印があることで、中だるみせずメリハリのある勉強ができたように感じます。

2. 成果を数値化できなくても「達成感」を得られる

方眼ノートで記録をつけることの大きな利点は、“成果を数値化しにくいもの” でも達成感を得られることだと思います。

筆者の例で言えば、勉強内容の一部に英作文やシャドーイングがありますが、これらは「問題集で7割正解した」などのわかりやすい成果がありません。

しかし、“勉強した時間を記録” すれば、どんな内容の勉強であれ努力の程度を示すことが可能。「頑張ったのに、期待していたより上達しなかった……」と感じる日もある筆者にとって、すべての勉強内容を含めた “努力の量” を視覚的に把握できるのは、モチベーションの支えになりました。

***
今後やってみたいと筆者が考えているのは、“成果も同時に書き出す” こと。成果を得るまでにどれぐらい時間がかかったかを記録しておけば、中長期の計画に役立つはずだからです。

毎日でなくても、「単語を3,000語覚えた」「問題集を一巡終えた」などの節目に、記録に書き留めるのがよさそうだなと感じています。みなさんもぜひ一緒に、勉強を楽しみつつ達成感を得るとともに、今後の勉強戦略も立てていきましょう。

(参考)
東洋経済オンライン|勉強嫌いの子に教えたい!「Gノート」の威力
東洋経済オンライン|勉強を心折れず継続できる「東大生」凄いノート術
ダイヤモンド・オンライン|【勉強貯金】日々の勉強は裏切らない。勉強にのめり込むシンプルな方法
東洋経済オンライン|「やる気が出る・出ない」を決める脳の凄い仕組み
プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法
プレジデントオンライン|受験勉強という「クソゲー」を最短攻略する方法
価格.com マガジン|[2019年] 効率がアップする「機能派手帳」! 手帳王子が教える選び方と厳選10冊

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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