あなたは、「自分のことが好きだ」「自分に満足している」などと、自分自身を肯定的にとらえることができていますか。もしそうでないとしたら、知らず知らずのうちに「自己肯定感」が下がっている可能性があります。自分の価値を素直に感じられず、いつも否定的に考えていては、本当はうまくいくはずのこともうまくいかないかも……。
そこで今回は、自己肯定感を高める方法をご紹介。3つの “ダメな口癖” を変えるところから始めてみませんか?
自己肯定感が「高い人」「低い人」の特徴
そもそも、自己肯定感とは何を意味するのでしょうか。一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会は、「そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定するの感覚」と説明しています。
(前略)何ができるか、何を持っているか、人と比べて優れているかどうかで自分を評価するのではなく、そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。
(引用元:一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会|自己肯定感とは)
もう少し具体的に、自己肯定感が「高い人」と「低い人」の特徴を以下に並べてみましょう。
【自己肯定感が高い人】
- 自分に対して安心感がある
- 自信があり、能動的
- 人の評価に振り回されない
- 物事を肯定的に受け止められる
- 失敗を成長の糧にしていける
【自己肯定感が低い人】
- 不安や恐れを持ちやすい
- 自信がなく、受身的
- 他人の評価に振り回される
- 物事を否定的に受け止めやすい
- 失敗すると自己価値まで否定しがち
自己肯定感が高いということは、すなわち「自信」につながります。また、自分軸で物事を判断できるため「意欲」や「積極的」も高く持つことができますし、失敗経験すらも前向きにとらえて次へと生かしていける――。
たとえば、仕事で新しいプロジェクトを任されたとき、「自分ならばきっとできるはず!」と思いながら進めるのと、「どうせうまくいかないだろうな……」と思いながら進めるのとでは、どちらが成功に近づきやすいかは火を見るより明らかですよね。
このように自己肯定感は、私たちが関わるあらゆる物事に遠からず影響を与えるものなのです。
あなたの自己肯定感は何点?
そうなると、自分の自己肯定感がはたしてどれくらいなのか気になりますよね。自己肯定感を客観的に測定できる「ローゼンバーグの自己肯定感尺度(Rosenberg Self Esteem Scale)」というものがあるので、ぜひやってみましょう。
ペンと紙を用意して、以下の10の質問に回答してみてください。「1=強くそう思わない」「2=そう思わない」「3=そう思う」「4=強くそう思う」の4段階で評価します。
- 私は、自分自身にだいたい満足している。
- 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。(※)
- 私にはけっこう長所があると感じている。
- 私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
- 私には誇れるものが大してないと感じている。(※)
- 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。(※)
- 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
- 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。(※)
- よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。(※)
- 私は、自分のことを前向きに考えている。
そして、以下のルールにのっとって、総得点を算出しましょう。
【「※」のない項目】1=1点、2=2点、3=3点、4=4点
【「※」のある項目】1=4点、2=3点、3=2点、4=1点
さて、40点満点のうち、あなたの総得点は何点だったでしょうか。点数が高ければ高いほど、自己肯定感も高いと言えます(ちなみに、東北大学が大学生329人を対象に実施したところ、平均はおよそ25点だったそう)。
口癖を変えると自己肯定感は高まる
点数が低く出てしまった方もいるかと思います。でも心配する必要はありません。つい言いがちな「口癖」を変えていけば、自己肯定感を高めていけますよ。
メンタルコーチの飯山晄朗氏によれば、脳は「思い」よりも「言葉や動作」をより強く記憶するという特徴があるのだとか。つまり、頭の中で漠然と思っていることよりも、明確な言葉として声に出したことのほうが、記憶に刻まれやすいということ。すなわち、ネガティブな言葉を多く口にすればするほど、脳もネガティブになって自己肯定感が低くなる恐れがあるのです。
加えて、医学博士の佐藤富雄氏は「脳は現実と想像の区別がつかない」と指摘します。つまり、たとえ不可能ではないとしても、何度も「できない」などと口にすることで、脳は「不可能」だと勘違いしてしまうのです。
しかしこれらの事実は、裏返すと「『できる』などとポジティブな口癖を心がければ、脳もポジティブになれる」ということでもあります。メンタルコーチの大平信孝氏が指摘するネガティブな口癖と、その代わりとすべき良い口癖を紹介しましょう。
1.「でも」→「それなら」
「でも」は、たとえ良い流れが来ていても一瞬で悪い方向に変えてしまう言葉です。たとえば、成長のチャンスにつながりそうな仕事が舞い込んできたとき、「でも、時間がない」と言ってしまっては何もできませんよね。そうではなく、「それなら、時間の使い方を見直して、取り組める時間を捻出してみよう」など、「それなら」を口癖にしてみましょう。肯定的な思考の流れを作り出せますよ。
2.「だって」→「だからこそ」
「だって」のあとには、うまくいかない理由が続いてしまいます。たとえば、畑違いの仕事をしているとき、「だって、専門ではないですから」などと口にしてしまいがちですよね。そこを「専門ではない。だからこそ、新しい発想を生み出せる」のように、「だからこそ」で切り替えましょう。ポジティブ思考が可能になります。
3.「どうせ」→「どうせなら」
「どうせ」は積極的な行動を妨げます。「どうせ、できないよ」と言ってしまえば、挑戦しない自分を責める必要もなくなるからです。この消極的なスタンスを切り替えるには、「どうせなら、今までにないことをしてみよう」のように、「どうせなら」を口癖にするのが効果的。挑戦したくなるモードに持っていけますよ。
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ポジティブな口癖への転換を足がかりに、自己肯定感を高めていきましょう!
(参考)
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会|自己肯定感とは
内田知宏, 上埜高志(2010),「Rosenberg 自尊感情尺度の信頼性および妥当性の検討」,『東北大学大学院教育学研究科研究年報 第58集・第2号』, 東北大学.
東洋経済オンライン|自己肯定感が低い人が使いがちな「マズい口癖」
プレジデント・オンライン|人間関係づくりが苦手
東洋経済オンライン|「やる気が続かない人」に多いヤバい口癖6つ
【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。