「なぜかうまくいく人」と「何もうまくいかない人」。決定的違いは「夢の見方」にあった

仕事がうまくいき喜ぶ女性

活躍が止まらない同僚やキラキラした友人を見て、「うまくいっていてうらやましい」「どうすれば自分も “うまくいく人” になれるのかな……」と感じることはありませんか? SNSなどでさまざまな成功談について見聞きする機会も多いもの。

つい成功者と自分を比べて悩んでしまう……そんなビジネスパーソンに向け、日本における「非認知能力」のパイオニアとして知られるボーク重子(ぼーく・しげこ)さんが、成功するための秘訣を教えてくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「失敗体質」の人ほど「大きな夢」を見る

どんどん成功を重ねる「成功体質」の人と、逆になにをしてもうまくいかない「失敗体質」の人のあいだには、ひとつの大きな違いがあります。その違いとは、「夢の見方」です。

じつは、失敗体質の人ほど「大きな夢」を見るのです。たとえば、「エベレストに登ってみたい」と思ったとします。自分はまだふもとにいます。そこで失敗体質の人は、いきなり「エベレストの頂上にいる自分」を夢見るのです。

すると、夢の自分と、まだふもとにいる現実の自分とを比較して、「絶対に無理だ」「できない」と考え、諦めてしまいます。そういう意味では、失敗体質の人は、失敗をし続けるというよりは、そもそもチャレンジしない人と言えるのかもしれません。

一方、成功体質の人の場合、ふもとにいるという現実をしっかり見つめます。そして、「いつかエベレストに登ろう」「そのために、いまなにができるかな?」「体力が足りないだろうから、まずは近所の公園を5周走ることから始めよう」といったふうに、「小さな夢」を見ることから始めるのです。

「小さな夢」ですから、叶えるのは簡単です。1週間、2週間と公園5周のランニングを続ければ、「もう全然平気だ、今日からは10周にしよう」という具合に、少しずつ夢を大きくしていきます。

そうして大きな成功に至るまでのプロセスで、小さな成功体験をどんどん重ねていきながら、「前の夢も叶えられたのだから、次の少しだけ大きい夢だってきっと叶えられる!」と考え、徐々にステップアップしながら最終的な目標を達成できるのです。

もしかしたら、その人も結局はエベレストの頂上には到達できないかもしれません。それでも、小さな夢を叶えるプロセスで富士山くらいの山が登れるようになれば、ふもとにいた自分や最初から諦めてしまった失敗体質の人と比べて、大きな成功を収めたと言えるはずです。

失敗体質の人と成功体質の人の違いを語るボーク重子さん

成功のポイントは、「小さな夢」と「継続」

この「夢の見方」の違いは、「うまくいっている人」への見方にも表れます。失敗体質の人は、はるか上にいるように見える成功者と、現時点での自分とを比較します。そして、やはり諦めてしまうのです。

でも、いまうまくいっている人も、最初からそこにいたわけではありません。たしかに家庭の経済状況など環境に恵まれていた人もいるのも事実でしょう。でも、成功者と言われる人のなかにも、ごく一般的な環境、あるいはむしろ不利な環境で生まれ育った人だってたくさんいます。

そういう人たちは、先の例の「公園5周のランニング」から始めた人のように、「小さな夢」を叶えながら、少しずつ高みに達したのです。うまくいっている人の現在地だけを見るのではなく、そこに至るまでのプロセスに注目すると、まったく違った夢の叶え方が見えてきます

成功をつかむポイントはふたつ。ひとつはすでにお伝えした「小さな夢」から始めるということです。そして、もうひとつのポイントは「継続」です。

外国語を学ぶのでもスポーツでもなんでもいいのですが、勉強やトレーニングを毎日のように習慣にするのかどうかで、その成果には大きな違いが生まれます。そこで、やはり効いてくるのが「小さな夢」です。やることが小さいからこそ、継続することが苦でなくなります。

毎日10分だけ英語の勉強をするとします。ほんのわずかな時間ですが、1週間では70分になり、1週間に1日だけ1時間の勉強をする人よりも多くの時間の勉強をすることになります。しかも毎日続けていますから、前日までに学んだことの記憶が鮮明なうちに新たなことを学ぶため、知識が有機的につながって成果を挙げやすくなるのです。

「なんか地味だなあ」と思いますか? はい、そうなのです。成功ってじつは「地味」の積み重ねなのです。

一方、1週間に1日だけ1時間の勉強をする人の場合、1週間のうちに前に学んだことを忘れてしまっている可能性も高いでしょう。それどころか、毎日の習慣にできていないために、「今週は忙しいし、やめとこう」といったふうに、どんどん成功から遠ざかってしまうこともあるのです。

成功には継続が欠かせないと語るボーク重子さん

まずは自分が興味をもったことから始める

では、みなさんの「夢」はなんでしょう? それを叶えるためにどんな「小さな夢」からから始めましょうか。ビジネスパーソンの立場からの「成功」や「夢」は、つい仕事と関連したものをイメージするかもしれませんが、そうでなくてかまいません。

というより、自分が興味をもったこと、好きなことから始めるべきだと私は考えています。簡単に言うと、なんだっていいのです。

私の場合であれば、最近スペイン語の勉強を始めました。最終的には仕事に活かす場面もあるかもしれませんが、きっかけはもちろん単純に興味があったから。恥ずかしながら、私はスペイン語のアルファベットの読みが英語とは違うことすら知りませんでした……(苦笑)。

ですから、いまの私は、スペイン語の読みでアルファベットを読むことを毎日続けています。まさに、「小さな夢」から始めているのです。そして、毎日できるようになっていく自分を実感しています。

このように、仕事とは直接的に関係なくても自分が興味をもったことから始める利点は、続けるモチベーションを保ちやすいということが挙げられます。だって好きだからこそ続けられるのですから。

自分の好きなことを仕事にして食べていけたらすてきだけど、なかなか思うようにいかないのが人生です。生きていくために、モヤモヤを抱えながらいまの仕事をしている人もいるでしょう。そんな毎日に自分が成長していくことを実感したり、モチベーションを保ったりするためにも、直接仕事に結びつくかつかないかは関係なく、自分が好きなことをまずはやってみるって効果的です。

まずは自分が好きなことの「小さな夢」を叶えていくという、成功体験を積んでみましょう。その積み重ねが私たちに自信を与えてくれます。その自信はきっと仕事の面でも役立っていきます。そうすればビジネスパーソンとしての仕事での成功にもつながっていきますよね。

だって、「やればできる」という自信があるのですもの。

カメラに向かってほほ笑むボーク重子さん

【ボーク重子さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「自分のキャリア、どうすれば?」とモヤモヤする人に何より必要な「○○性」の磨き方
「幸せなキャリアを築ける人」がもつ「巻き込む力」。伸ばすためのシンプルな心がけとは

【プロフィール】
ボーク重子(ぼーく・しげこ)
福島県出身。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチ。アートコンサルタント。30歳目前に単独渡英し、美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学、現代美術史の修士号を取得する。1998年に渡米、結婚し娘を出産する。非認知能力育児に出会い、研究・調査・実践を重ね、自身の育児に活用。娘・スカイが18歳のときに「全米最優秀女子高生」に選ばれる。子育てと同時に自身のライフワークであるアート業界のキャリアも構築、2004年にはアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年、アートを通じての社会貢献を評価され「ワシントンの美しい25人」に選ばれた。現在は、「非認知能力育成のパイオニア」として知られ、140名のBYBS非認知能力育児コーチを抱えるコーチング会社の代表を務め、全米・日本各地で子育てや自分育てに関するコーチングを展開中。大人向けの非認知能力の講座が6か月の予約待ちとなるなど、好評を博している。『しなさいと言わない子育て』(サンマーク出版)、『子育て後に「何もない私」にならない30のルール』(文藝春秋)、『「パッション」の見つけ方』(小学館)、『世界基準の子どもの教養』(ポプラ社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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