「書く&話す」勉強術の極め方。アウトプットの目的は“理解の確認と再インプット”にあり!

小林尚さんインタビュー「書く&話す_勉強におけるアウトプットのコツ」01

名門・開成高校から現役で東大に進学し、経営コンサルティング会社を経て起業した小林尚(こばやし・しょう)さん。その著書『開成流ロジカル勉強法』(クロスメディア・パブリッシング)では、勉強の効率をアップさせるには、「『読む』『聞く』『書く』『話す』という『4技能』のポイントを押さえ、その精度を上げていくことが欠かせない」と主張しています。今回は、アウトプットの技能である「書く」「話す」のふたつの技能について、そのポイントを教えてもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「書く」勉強が持つメリットとデメリット

「勉強」というと、まずみなさんがイメージするのが「書く」ということでしょう。小学生になったときから板書をノートに写し、社会人になってからも勉強していて重要だと思うことをメモするなど、書く行為は勉強とは切っても切れないもの。なぜかというと、それだけ大きなメリットがあるからです。

書く勉強の最大のメリットは、「保存できる」点です。一度書いたものは何度でも見返すことができます。見返すことで、理解を深めることができるのです。

しかし、メリットがあればその裏にはデメリットがある。書く勉強のデメリットとしては、「時間がかかる」ことが挙げられます。なんでもかんでも書いてしまっては、それだけ時間がかかって勉強の効率は下がる一方となるでしょう。特に、仕事をしながら限られた時間のなかで勉強しなければならないビジネスパーソンなら、本当に大事な要素だけを書くようにして、書くことに使う時間を減らす必要が出てきます。

そして、その本当に大事な要素を書く時間さえもなるべく減らすことを考えましょう。そのために有効となるのが、図示化する手法です。たとえば、「AだからBで、BだからCで、CだからDだ」というような内容をすべて文字にして書くのではなく、「A→B→C→D」といったかたちで書くという具合です。

このことは、読み返すときの効率化にもつながります。読み返さないものを書く必要はなく、書くということは、いつか読み返すから書くわけです。そのとき、図示化によって簡略に書かれているほうが、より速く読むことができますよね。

小林尚さんインタビュー「書く&話す_勉強におけるアウトプットのコツ」02

「話す」勉強は、効率よく再びインプットにつなげられる

続いて、「話す」勉強のポイントをお伝えします。なじみのある書く勉強とは逆に、「話すことが勉強になるの?」と思った人もいるかもしれません。でも、この話す勉強には、大きな特徴がある。基本的にはアウトプットの勉強法でありながら、非常に効率のいいインプットの勉強法でもあるという点です。

アウトプットの目的はふたつ。ひとつは、実際の試験などでなにかを表現すること。もうひとつが、アウトプットによって「自分の理解を確かめ、再びインプットにつなげる」ことです。

もちろん、これらは書くことでもできます。でも、自分の理解を確かめるために、勉強した内容をすべて書き出すようなことをしていては、それこそ時間がかかって仕方ありません。一方、相手を想定してひとりで講義をするように話すのだったらどうでしょう? 書くより格段に短い時間でできるはずです。

そうするなかで、話に詰まった部分があったら、「ここは理解が足りない」「忘れがちな要注意ポイントだ」というふうに確認し、再びインプットにつなげていくことができます。一方の書く場合には、この重要な作業についても危険性が潜んでいます。意識せずとも「書くことは時間がかかって当然」と思っていますから、書いている途中に詰まってしまっても、時間をかけて考えて書いてしまえれば、それで良しとしてしまう。そのため、自分の理解が足りないポイントなどを確かめて再びインプットにつなげることが難しくなるのです。

小林尚さんインタビュー「書く&話す_勉強におけるアウトプットのコツ」03

「話す」勉強の精度を上げるため、「話術」を磨く

それから、話す勉強の精度をより高めるために、話術を磨くことも考えてみてください。予備校講師でも大学教授でも、人気がある先生はとにかく話がうまいですよね。内容を完璧に理解していることもありますが、何度も何度も話して改善点を自分にフィードバックしているからです。もちろん、そうするなかで自分自身の理解が深まるということが大きなメリットです。

では、どうすればよりわかりやすく話せるようになるのでしょうか? 私からおすすめしたいのは、地図をつくるという手法。聞き手の頭のなかに地図をつくるイメージです。

たとえば、まず「私は最初に結論から話します」と言う。それから、「そのことを説明するために3つの根拠について話します」と言う。そうすれば、聞き手は、これからあなたが「まず結論を言って、それを裏づける3つの根拠を話すのだな」と思います。つまり、あなたが話すことの道筋が示された地図が頭のなかに書き込まれるわけです。

そうすれば、相手がより理解しやすくなるということは当然として、話し手もより話しやすくなります。もちろん、話す内容の構造を明白にして話すのですから、自分で話しながら受け取るフィードバックもよりよいものになるのです。

小林尚さんインタビュー「書く&話す_勉強におけるアウトプットのコツ」04

【小林尚さん ほかのインタビュー記事はこちら】
“開成流ロジカル勉強法”の提唱者が語る「○○を意識すれば、勉強の効率は劇的に高まる」
インプットの精度が上がる! 勉強の深い理解に役立つ「開成流・ロジカルに読む&聞く」方法

開成流ロジカル勉強法

開成流ロジカル勉強法

  • 作者:小林尚
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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【プロフィール】
小林尚(こばやし・しょう)
1989年5月8日生まれ、埼玉県出身。株式会社キャストダイス代表取締役。個別指導塾CASTDICE塾長。YouTubeチャンネルCASTDICE TV総責任者。私立開成高校を経て、現役で東京大学文科Ⅰ類に合格。大学在学中、大学受験予備校に勤務し、東京大学医学部をはじめ多数の難関大学合格者を輩出。大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、新規事業開発、組織変革を専門に従事。その後、株式会社キャストダイスを設立。現在は、「教育×コンサルティング」を軸に活動する。近年はユーチューバーとしても活動しており、受験・キャリアに関する動画を配信中。開成高校弁論部、コンサルティングで培ったロジカルな勉強法指導を得意とし、大学や教育機関での講義・講演・セミナーなども実施している。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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