“開成流ロジカル勉強法”の提唱者が語る「○○を意識すれば、勉強の効率は劇的に高まる」

小林尚さんインタビュー「開成流ロジカル勉強法とは」01

ビジネスパーソンとして成長していくには、日々の勉強が欠かせません。新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅ワークが推奨されているいまなら、自宅で勉強に励んでいる人も多いでしょう。通勤していたときより多少の時間的余裕があるとはいえ、効率化を図りたいのは当然です。著書『開成流ロジカル勉強法』(クロスメディア・パブリッシング)が話題となっている小林尚(こばやし・しょう)さんが、その独自の勉強法を解説してくれました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

独自の勉強法のベースにあるのは弁論部での活動

私はさまざまな人に「勉強法」を指導しています。そのベースにあるのが、開成高校時代に弁論部で培ったものです。弁論部のことをよく知っているという人はそう多くないでしょうから、まずは、その活動について少し紹介します。

弁論部で行なうのは、いわゆるディベートです。なにかのテーマに対して肯定側と否定側に分かれて討論します。その際、テーマについてのメリットを語る肯定側であれば、そのメリットが発生する過程だとか、専門的には「インパクト」といいますが、そのメリットが社会に与える影響といったものを話します。一方の否定側も同じようにして、テーマについてのデメリットを話します。

そのように、「議論をぶつけ合う」というところが、私の勉強法のベースです。「議論をぶつけ合う」とは、「批判的思考」と言い換えてもいいでしょう。たとえば、文章を読むにしても、「本当にそう言えるのか」「こう考えたほうがいいのではないか」といった視点で読むのです。

極端に言えば、教科書だって批判的思考を持って読むことができます。もちろん、数学の公式といったものは、先人たちが長い時間をかけて導き出したものですから、それが現時点で正しいことは疑いようがありません。でも、「そうなんだ、じゃ暗記するか」と受け身の姿勢で終わらせないことが大切。「どうしてこの公式が導かれるのか」「どのようにこの公式を使えばいいのか」といった能動的な思考を持って学ぶのです。それによって、理解すべき内容の理解がより深まります。

小林尚さんインタビュー「開成流ロジカル勉強法とは」02

「ロジック」とは「情報を整理する引き出し」

では、今回は概要というかたちになりますが、私が提唱する「開成流ロジカル勉強法」についてもう少し具体的に解説しましょう。私の勉強法では、「4技能」を活用しつつ「ロジック」を用いることがその特徴です。

では、まずは「ロジック」について。その大前提は、「勉強というものは、情報を自分のなかにインプットし、なんらかのかたちでアウトプットして成立する」ということ。インプット重視なのかアウトプット重視なのかといった程度の差はあっても、どちらも必要だということは絶対に変わりません。つまり、情報をインプットするにもアウトプットするにも、ぐちゃぐちゃの状態で取り込んでぐちゃぐちゃの状態で出しているようでは、うまくいかない。

そこで、ロジックの出番です。ロジックとは、「情報を整理する引き出し」のようなものだと考えてください。その引き出しのなかになるべく整理されたかたちで情報を入れて、引き出すときにも同じように整理されたかたちで出す。そうすることで、勉強の効率も成果も格段にアップするようになります。

ロジックというと、「絶対的に正しいもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。でも、そうではない。ロジックとは、「比較的多くの人が納得しやすい論理的なつながり」です。たとえば、「雨が降ったから、傘を差す」と言えば、ほぼ100%の人が「それはそうだろう」と納得してくれるでしょう。でも、「風が吹けば、桶屋が儲かる」ならどうでしょうか? このことわざを知っている人なら納得するかもしれませんが、知らない人なら納得してくれません。

では、どうすればより多くの人に納得してもらえるのか。それは、「風が吹く」と「桶屋が儲かる」という事象のあいだにある論理的なつながりをきちんと埋めることです。それこそがロジカルに物事をとらえて考えるということであり、勉強している内容の理解を深めるために欠かせない思考となります。

小林尚さんインタビュー「開成流ロジカル勉強法とは」03

「読む」「聞く」「書く」「話す」の精度を上げる

続いて、「4技能」について解説します。4技能とは、「読む」「聞く」というふたつのインプットの行為と、「書く」「話す」というふたつのアウトプットの行為を指します。「情報を整理する引き出し」にインプットする際には「読む」「聞く」、引き出しからアウトプットする際には「書く」「話す」のです。それぞれのポイントを意識しながら行なうことで、インプットとアウトプットの双方がより精緻になっていきます。

じつは、私がこの4技能のポイントを整理して磨いていくときにも、弁論部での経験が生きました。なぜなら、弁論においては4技能のすべてを駆使しなければならないからです。

弁論というと、それこそ「話す」だけだと思われがちですが、そうではありません。テーマを与えられたら、まずは資料を読まなければならない。自分たちの主張の論拠を集めるわけです。しかも、部活という限られた時間で行なうために、より効率的に大量の資料を読むスキルが磨かれました。

そうして集めた論拠をもとに、今度は自分たちの主張を台本のようにまとめます。当然、論理的に書かなければ討論に勝つことはできませんから、まさにロジックを意識することになる。また、本番では相手の主張もしっかり聞かないと、反論するポイントを見つけられません。さらに、それらをメモとして短時間で書くということもともないます。そして、多くの人を納得させるかたちで自分たちの主張を話すことも、もちろん重要です。

そうしてブラッシュアップしていった4つの技能が、じつは勉強の効率を大きく引き上げていたということに気づいたのです。4技能それぞれの詳細については、次回以降の記事にて解説していきますので実践してみてください(インタビュー第2回『インプットの精度が上がる! 勉強の深い理解に役立つ「開成流・ロジカルに読む&聞く」方法』、第3回『「書く&話す」勉強術の極め方。アウトプットの目的は“理解の確認と再インプット”にあり!』参照)。

小林尚さんインタビュー「開成流ロジカル勉強法とは」04

【小林尚さん ほかのインタビュー記事はこちら】
インプットの精度が上がる! 勉強の深い理解に役立つ「開成流・ロジカルに読む&聞く」方法
「書く&話す」勉強術の極め方。アウトプットの目的は“理解の確認と再インプット”にあり!

開成流ロジカル勉強法

開成流ロジカル勉強法

  • 作者:小林尚
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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【プロフィール】
小林尚(こばやし・しょう)
1989年5月8日生まれ、埼玉県出身。株式会社キャストダイス代表取締役。個別指導塾CASTDICE塾長。YouTubeチャンネルCASTDICE TV総責任者。私立開成高校を経て、現役で東京大学文科Ⅰ類に合格。大学在学中、大学受験予備校に勤務し、東京大学医学部をはじめ多数の難関大学合格者を輩出。大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、新規事業開発、組織変革を専門に従事。その後、株式会社キャストダイスを設立。現在は、「教育×コンサルティング」を軸に活動する。近年はユーチューバーとしても活動しており、受験・キャリアに関する動画を配信中。開成高校弁論部、コンサルティングで培ったロジカルな勉強法指導を得意とし、大学や教育機関での講義・講演・セミナーなども実施している。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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