脳を過信してると “うっかり忘れ” は永遠に続く。あなたが習慣にするべき「3つの忘れない努力」

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「今日が資格試験申し込みの締め切りだったのに……」
「頼まれていた仕事があったのに……」
こんなふうに、予定や用事をうっかり忘れた経験がある人はたくさんいるはず。「忘れていた」というケースを放置していると、時に深刻な事態を引き起こしてしまいますよ。今回は、「うっかり忘れ」を防ぐための方法をご紹介しましょう。

「うっかり忘れ」は過信が原因

「うっかり」忘れてしまうのは、いったいなぜなのでしょうか。トレスペクト教育研究所代表の宇都出雅巳氏は、うっかり忘れには脳のワーキングメモリの容量が関係していると説明しています。ワーキングメモリとは、一時的に情報を記憶しておく脳の領域のこと。同氏は、このワーキングメモリの機能を過信しすぎてしまうことから、「うっかり忘れ」が起こると指摘します。

たとえば、「これを◯月◯日までに買っておいて」と頼まれたとき、言われた直後は脳のワーキングメモリが機能し、「覚えた」という感覚を保持できます。しかし、「覚えた」と思ったところで実際には長期記憶となっているわけではないため、自覚ないまま忘れてしまうのです。

一般社団法人Mission Leaders Academy Japan代表理事を務める堀内博文氏は、「うっかり忘れ」が続くと、仕事ができない・やる気がないという印象を与えるだけでなく、信頼を失い重要な仕事を任せてもらえなくなってしまうと指摘します。仕事や自分のキャリアに支障を出さないためにも、予定をうっかり忘れないよう日頃から十分な対策をとっておくことが必要です。以下で3つご提案します。

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【対策1】予定を「手書き」する

現代では、スマートフォンやパソコンのスケジュール機能を使って予定を管理することが多いかもしれません。しかし、あえて手書きで記録し予定を管理してみましょう。

エクス=マルセイユ大学(フランス)の研究者による実験検証によれば、手書きでメモをとることで、キーボードによるタイピングよりも記憶しやすくなるという結果が明らかとなったそう。これは、文字を書くという身体的動作が運動神経を刺激するのに加え、文字を書く際にかかる一定の時間が脳の視覚認知機能を活性化させることも影響しています。

あわせて、コンサルティングファームQuantum Media GroupのCEOであるアリ・ゾルダン氏は、手書きメモをスケジュール管理に活用するコツについて、以下の点を挙げています。

  • 就寝する直前にメモを書く
  • メモを書いた翌日に再び読みなおす
  • 重要な用事は複数回にわたってメモする
  • スマートフォンなどのリマインダー機能は補助として利用する

「予定をいつもうっかり忘れやすい」という方は、これらのコツを参考に、予定を手書きで脳へ叩き込むようにしてみてください。

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【対策2】スケジュールを「二重チェック構造」で確認する

日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネージャーの木部智之氏は、「うっかり忘れ」をしないために、手帳にあるメモ欄の有効活用がポイントであるとしています。特に、手帳の右側すべてにメモできるスペースがあると望ましいそう。短期での細かな予定から、長期的に遂行すべきスケジュールまで柔軟に書き留めるためのスペースを確保できるからです。

また木部氏は、視覚的に認知しやすいメモの仕方として「二重チェック構造」を勧めています。「二重チェック構造」とは、「チェック欄へのチェック」と「取り消し線」によるダブルチェックができる書き方。たとえば、プレゼン資料を期日までに作成する予定が入ったとしましょう。予定が完了したら以下のようにチェックし、さらに取り消し線を引きます。

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長期的なスケジュールに関しては、「〇〇について進捗を連絡する」などとリマインドのメモを残しておいて二重チェック構造で確認すると、より忘れにくくなるそう。手帳の書き方に工夫を加えることで、ついうっかり忘れてしまったという失敗を防ぐことができるでしょう。

【対策3】「意図しない思い出し」を活用する

わざわざ思い出そうとしていないときに、締め切りが近い仕事をふと思い出すことがあるかもしれません。ユークロニア株式会社代表であり作業療法士である菅原洋平氏は、著書『超すぐやる! 「仕事の処理速度」を上げる “科学的な” 方法』のなかで、予定の「意図しない思い出し」を活用する方法について解説しています。

まず、予定が確定した際に、詳細まできちんと把握しておきましょう。日程だけをただ確認するのではなく、場所やほかに誰が参加するのか、自分は何をしなければならないかなど情報のすみずみまでチェックするようにしましょう。そうすることで、予定を実行する必要性が脳にインプットされます。

菅原氏によれば、情報が増えるにつれ予定に関するイメージが湧きやすくなり、頭のなかでその重要性が増すそう。また、前後にあるほかの予定も忘れにくくなる効果があると言います。

たとえば、「◯月◯日までに会議の準備をする」という予定が決まったとしましょう。その際、「会議当日に使う部屋を探して予約する」「上司や同僚へ日程と場所の連絡を済ませる」「パワーポイントでプレゼン資料を作成する」など、予定をより具体化するようにしてください。

また、予定を意図せず思い出せるようになるまで意図的に何度も思い出すのも重要です。あえて繰り返し思い出すという作業によって、記憶に関わる神経活動が再活性化され、「意図しない思い出し」の回数が増えていく効果があるのです。たとえば、1日のなかで3回、毎食後に予定を確認する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。忘れると困る予定ができたときに実践すれば、予定を確認しようとしなくても、すんなり思いだせるようになるはずです。

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「うっかり忘れ」の対策として、ご紹介した方法をぜひ実践してみてください。

(参考)
りたりこ発達ナビ|ワーキングメモリとは?生活に不可欠な役割、発達障害との関係、調べ方、対処法をご紹介!
RASHiKU|仕事を忘れる人への処方箋。うっかりを防ぐ方法4つ
東洋経済オンライン|仕事をド忘れする人は脳を信用しすぎている
東洋経済オンライン|できる人は「あっ、忘れてた」をこうして防ぐ
Inc.|Want to Remember the Notes You Take? Here's Why You Need to Write Them By Hand

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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