なぜか信頼されない残念な人には、武士道「義・誠」の徳が欠けている

信頼されない人には武士道の義と誠が欠けている01

「大きな仕事を以前より任されなくなった……」
「部下が自分の指示をあまり聞いてくれない……」
こんなふうに感じている人は、周囲からの「信頼」をうまく得られていない可能性があります。

人と関わりながら仕事をするビジネスパーソンにとって、信頼されないのは致命傷。100年以上前に書かれ、いまなお読み継がれている名著『武士道』から、改善のヒントを探ってみましょう

『武士道』とは?

1899年に新渡戸稲造によって著された『武士道』。日本人の道徳観のルーツである「武士道」を世界の人々に伝えるために全編英語で書かれた同書は、またたく間に世界各国の言語に翻訳されてベストセラーとなりました。

『武士道』では、武士が重視した伝統的価値観や行動規範が説明されています。新渡戸はこの本のなかで、武士道を「ノブレス・オブリージュ」だと述べました。ノブレス・オブリージュとは、高い身分にともなう義務のこと。民の上に立つ高潔な者が負う当然の義務として、武士たちは武士の掟でもある「武士道」を柱に行動していたのです。

特に武士が重んじたのが、「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」という7つの徳目。なかでも、正しさや誠実さを説く「」と「」は、信頼を構築させるために欠かせない要素です。今回はこの2つに焦点を絞ります。

信頼されない人には武士道の義と誠が欠けている02

「義」とは「正しさ」である

『武士道』で最初に説かれている徳が「義」です。「義」とは、ひとことで表すと「正しさ」のこと。裏取引や不正を嫌う武士たちが重んじていた「義」は、正義の道理とも言えます。理性の力で自分自身を律し、正しい行動をとることは、周囲からの信頼を得ることにもつながるのです。

これを現代に当てはめると、人としての基本であるルールや規律を守るということになるでしょうか。遅刻や無断欠勤をする、仕事中にサボる、挨拶をしない……こんな行為が目立つ人は、「義」の徳が欠けていると言えます。「信頼できない人」というレッテルを貼られてしまうのも無理はありません。

「そのルールを守る意義」を理解しよう

まずは普段の考え方や行動を振り返り、ルールや規律を守れているかどうかを確認してみましょう。もし思い当たるものがあった場合に、「次からはやめよう」と素直に行動を改めることが大原則となります。

また、人財育成に携わってきた経験をもつ真野広氏は、ルールを表面的にとらえるだけでなく、「なぜそのルールがつくられたのか?」「ルールを破るとどんな影響が出るのか?」といった背景を一度考えてみるべきと説いています。

たとえば、会社に「出社時の遅刻はたとえ1分でもNG」というルールがあった場合。このルールの背景に思いをめぐらせてみると、普段から社員に時間厳守の習慣をつけさせることで、大事な商談などいざというときの遅刻を防ぐという意図に気づけるかもしれません。裏を返せば、このルールをないがしろにしていると、日頃の癖が抜けず大事な場面で遅刻してしまう危険性が考えられるということ。

このように、ルールを守る意義を自分なりに理解できれば、ルールを守る行動をより自発的にとれるようになるでしょう。それが「義」、つまり正しさにつながっていくのです。

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「誠」とは「真実性と誠意」である

『武士道』の5番目に出てくる徳が「誠」です。これが表すのは「真実性と誠意。「武士に二言はない」という言葉もあるとおり、一度決めて宣言したことを決して曲げず有言実行を貫くことは、武士に対する民衆からのゆるぎない信頼へとつながりました。逆に、嘘やごまかしは憶病とみなされ、当時の武士にとっては不名誉なものとされていたのだそう。

この「誠」を現代に置き換えてみましょう。たとえば、上司や取引先からの依頼を引き受けたものの、途中で「できない」と投げ出したり、締め切りをたびたび過ぎてしまったり……そんな経験はないでしょうか。無理はいけませんが、「やる」と約束した手前、完遂するために誠意をもって仕事に注力するのが、信頼を築くための要だと言えます。

「マイルストーン」を設定しよう

仕事上で相手に誠意を伝えるには、やはり「約束を守る」ことが原則です。ここでは、決められた期日を遵守する方法として、人事・戦略コンサルタントの松本利明氏が提案する「マイルストーンの設定」をおすすめしましょう。これは、タスクを分解して要所要所で締め切りを設定するというものです。

たとえば、プレゼン資料を上司に提出する場合。資料の構成を決める、資料作成に必要な情報を集める、資料のたたき台をつくる、デザインを詰める、そして提出――このようにタスクを分解したのち、それぞれに期日を設けるのです。

細かい期日を設定することで作業の進捗具合がわかり、遅れている場合でもスケジュールを調整してリカバリーすることが可能です。確認頻度が上がるため、「何が間に合っていないのか」「どうすれば間に合うか」といったことに常に意識が向き、期日を守るために最善を尽くすことができます。

「期日が近づいたら本気を出そう」という考え方では、予想外のアクシデントが発生したときに挽回するのが難しくなります。「締め切りは絶対に守るもの」というスタンスで、こまめにマイルストーンを設定しましょう。

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ビジネスパーソンとして欠かせない「信頼」。築くのは簡単ではありませんが、日々のよい行動の積み重ねは必ず信頼へと結びついていきます。『武士道』の教えを参考に、今日から行動を少し変えてみませんか?

(参考)
新渡戸稲造(1938),『武士道』, 岩波書店.
東芝デジタルソリューションズ株式会社|[第11回]社会人基礎力から見る人間力⑥
現代ビジネス|期日を守る、今すぐやる…「稼げる人」に共通する仕事の進め方

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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