確実に結果がついてくる “繰り返し” 勉強法。最高の学習回数は「7回」「3回」「4回」だ!

結果につながる「7回・3回・4回」勉強法01

気合を入れて勉強したのに、時間が経ったら内容をすっかり忘れてしまった……という経験はありませんか? その原因は、勉強を「1回」で終わらせてしまっているからかもしれませんよ。

学んだことをしっかりと記憶に残すには「繰り返し」が重要です。今回は、効率的で確実に結果に結びつく「繰り返し」を重視した勉強法をご紹介しましょう。

記憶は「繰り返し塗り重ねる」ことで強化される

勉強における「繰り返し」の重要性を理解するために、まずは脳内で記憶が保存されるメカニズムを解説しましょう。

記憶は、脳の海馬という部位と深く関わっています。海馬とは、学んだ情報を脳内で短期的に保管しておく場所のこと。脳研究者の池谷裕二氏によると、海馬は保管した情報のうち「生きていくのに不可欠」だと判断したものだけを、長期記憶として大脳皮質に送るのだそうです。

私たちが普段勉強するような情報は、「生存に不可欠」とまでは言えないものも多いですよね。つまり、勉強で得た情報は、脳の性質からすると本来覚えにくいもの。ところが池谷氏いわく、同じ情報を繰り返し脳に送ると、海馬に「生きていくのに必要な情報だ」と判断させ、記憶として定着させることができるとのこと。

勉強で反復が大切なのは、上記のように海馬をだますことで、記憶を定着させるためだというわけです。そして実際に、学びのプロフェッショナルたちも、勉強において「繰り返し」を重視しています。では、彼ら彼女らは、何回繰り返して勉強しているのでしょうか? 具体的な勉強法とともに、ご説明しましょう。

結果につながる「7回・3回・4回」勉強法02

山口真由氏が提唱「7回読み勉強法」

はじめに紹介するのが、信州大学特任准教授の山口真由氏が提唱する7回読み勉強法同じ本を7回読むといういたってシンプルなやり方ですが、山口氏はこの勉強法で、塾に通わずして東大受験を突破したほか、東大在学中には司法試験に合格、さらには東大を首席で卒業するほどにまでなったのだとか。

山口氏によると、具体的には以下のような読み方をするそうです。

  • 1〜3回目
    「サーチライト読み」:見出しなどを拾いながら読み流し、本の全体像をつかむ
  • 4、5回目
    「平読み」:重要なワードを意識しながら普通のスピードで読み、要旨をつかむ
  • 6、7回目
    「要約読み」:内容を頭のなかで要約しながら読む

ポイントは、1回1回しっかり読むのではなく、「薄くさらさらと読むことを7回繰り返す」という点。この方法で7回読めば、内容を頭に写しとることができると、山口氏は言います。

加えて、「集中しなければいけない」という気負いを捨てることも大切なのだそう。7回読みでは、そのときには理解できないところもまた次に読めばいいので、1回読んだだけで意味を把握できなくても気にする必要はありません。また、1回1回の読み方も、「ページを開いてめくっていければOK」というくらいに気楽に読めばいいとのこと。

これなら、移動中や休憩中といった限られた時間でしか本を読めない人でも、さくさく勉強が進みますよね。気負わずさらさらと読むだけなら、「集中できない、理解できない」と頭を悩ませることもないはず。

まとまった時間はとれないけれどコツコツ勉強したいという人に、「7回読み勉強法」はうってつけだと言えるでしょう。

結果につながる「7回・3回・4回」勉強法03

池田義博氏が提唱「3サイクル反復速習法」

次に紹介するのは、記憶力日本一に6度輝いた経験をもつ “記憶のスペシャリスト” 池田義博氏が提唱する3サイクル反復速習法。「1歩下がって、2歩進む」を繰り返しながら、同じ内容を3回ずつ学習するというものです。

仮に1ページずつ勉強を進めるとした場合の、具体的なやり方の例がこちら。

テキストの「p.1」を読む
→最初に戻って「p.1とp.2」を読む
→また最初に戻って「p.1、p.2、p.3」を読む
→p.2に戻って「p.2、p.3、p.4」を読む
→p.3に戻って「p.3、p.4、p.5」を読む
……

池田氏によると、「3サイクル反復速習法」のベースにあるのは学習心理学における「分散効果」。分散効果とは、学習を1回にまとめるより複数回に分けるほうが、記憶の定着がよくなるという効果です。

「英単語を100個覚える」という課題を「まとまった4時間を使って1日で覚える人」と「1日1時間ざっと覚えることを4日間繰り返す人」を比べたところ、後者のほうが長期的な記憶の定着率がよかった――そんな実験結果があるのだそう。

ですので、「3サイクル反復速習法」でも「7回読み勉強法」と同様に、1回で全部覚えようとするのではなく、1回1回は「ざっと」でいいので回数を重ねて覚えることがポイントとなります。

なお、上の実験でもそうであったように、「まずは勉強範囲の最後までをひととおり、スピード重視でざっと終わらせる→それを複数回繰り返す」ことが、分散効果を生むコツ。ただし、勉強範囲があまりに広いと、「速くざっと」を心がけても時間がかかりすぎるため、範囲の最初のほうの内容を忘れてしまいかねません。

そこで力を発揮するのが「3サイクル反復速習法」です。ある程度の範囲で区切りながら、「1歩下がって、2歩進む」を繰り返します。たとえば、100ページのテキストに取り組むとき、20ページごとに区切り、20ページ単位の小範囲をそれぞれ3回ずつ勉強すれば、分散効果を生みながら勉強を進めていくことができるのです。

ここではテキストを読み進めるという例で説明しましたが、問題集に取り組むとき、苦手な部分だけこの方法で勉強することもできるでしょう。資格取得や受験にむけて試験範囲を徹底的に勉強している方は、ぜひこの「3サイクル反復速習法」にトライしてみてください。

結果につながる「7回・3回・4回」勉強法04

池谷裕二氏が提唱「4回復習勉強法」

最後に、効果的な復習の回数についてご紹介。前出の池谷氏によると、2カ月ほどかけて4回復習するのがよいのだそうです。

池谷氏いわく、勉強したことをもし忘れてしまったと思っても、実際には1カ月間、脳のなかには情報が保存されているとのこと。海馬は1カ月かけて脳内で情報を整理すると考えられているため、まずは1カ月のうちに復習を繰り返すことが記憶を定着させる鍵になります。

池谷氏がすすめる具体的なタイミングは以下のとおり。

  • 1回目の復習:勉強した翌日
  • 2回目の復習:1回目の1週間後
  • 3回目の復習:2回目の2週間後
  • 4回目の復習:3回目からさらに1カ月後

なお、復習の際にはポイントがふたつあると池谷氏は言います。

ひとつは、「読み直す」といったインプット重視の復習ではなく、「問題を解く」「声に出して読む」といったアウトプット重視の復習をすること。脳はアウトプットの回数を重視して情報の重要度を判断します。何度もアウトプットすると、「この情報がこんなに使われるなんて、きっと重要であるに違いない。覚えよう」と海馬が判断し、記憶に残りやすくなるのだそうです。

もうひとつは、教材を1冊に絞り込むこと。というのも、復習の効果は「同じ情報を繰り返し脳に送る」ことで表れるものだからです。復習をし終えていないうちに教材を変えると、たとえ同じような情報が書かれているとしても、また1から理解し直さなくてはなりません。手当たり次第に何冊も使うより、1冊を徹底的に繰り返して勉強するほうが、ずっと効率的だと池谷氏は言います。

復習はやっているのに、イマイチものになっている気がしない……とお悩みの方は、ぜひ上記の復習のポイントを押さえ、最高の復習を実現しましょう。

***
勉強時間を無理に増やさずとも、「繰り返し重視」へとシフトするだけで、勉強の効率は大きく上げられます。まじめに勉強しているのに結果が出ない……とお悩みのみなさん、「7回」「3回」「4回」の勉強をぜひ実践してみてください!

(参考)
池谷裕二(2011),『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』, 新潮社.
PRESIDENT Online|「復習4回」で脳をダマすことができる
STUDY HACKER|最速で確実に結果がついてくる「7回読み」勉強法——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第1回】
PHPオンライン衆知|東大首席・山口真由が教える「7回読み勉強法」とは?
STUDY HACKER|“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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