“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術01

資格試験のための勉強をするときはもちろん、ビジネス書を読んでスキルアップを図るにも、絶対に欠かせないのが「記憶」です。せっかく読書をしても、書かれている内容をまったく覚えていなければ、スキルアップできるはずもありません。

そこで、記憶のスペシャリストである池田義博(いけだ・よしひろ)さんにアドバイスをしてもらいました。6度の記憶力日本一に輝いた池田さん自身も実践する、ふたつの記憶術とはどんなものでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)

脳は物事をなるべく覚えないようにできている

前回の記事では、効率よく記憶するには、「脳が理解しやすかったり覚えやすかったりするかたちに加工すること」が大事だとお伝えしました(『“記憶が苦手” はただの思い込み。記憶力日本一の男は無理せず「脳にまかせている」』参照)。今回は、その「加工法」のなかで、私が提唱している「3サイクル反復速習法」と「1分間ライティング」という手法について解説しましょう。

まずは3サイクル反復速習法です。字面から想像できると思いますが、これは「復習」を使った手法。具体的な手法をお伝えする前に、その前提について解説しておきましょう。その前提とは、効率よく記憶するためには復習が必要だということ。では、なぜ復習が必要なのでしょうか? それは、脳は物事をなるべく覚えないようにできているからです

体全体の質量に占める脳の質量は、わずか2%程度です。ところが、脳が消費するエネルギーは、体全体が消費するエネルギーのじつに約25%にもなります。しかも、記憶という作業はそれこそ膨大なエネルギーを使うもの。ですから、見たものや聞いたものすべてを覚えてしまっては、脳がパンクしてしまいます。だからこそ、脳は物事をなるべく覚えないようになっているのです。

しかも、たとえいったん覚えたことも、脳は急激に忘れるようにもできています。その忘れ方は、時間に対して直線的に進んでいくものではありません。初期の段階でズドーンと大半を忘れて、残りを緩やかに忘れていくのです。ですから、勉強して何かを記憶したら、必ず翌日には1回目の復習をすることが重要となります。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術02

薄い記憶を塗り重ねて厚くする「3サイクル反復速習法」

さて、3サイクル反復速習法の具体的な手法をお教えしましょう。これは、「薄い記憶を塗り重ねて厚くする」復習法といえます。そのベースにあるのは、学習心理学で「分散効果」と呼ばれるものです。ひとつ、実験の結果で、分散効果がどういうものかを解説します。

その実験は、A君とB君のふたりに、4時間で100個の英単語を覚えてもらうというものでした。A君は、ある1日のなかの4時間連続して集中して課題の英単語を覚えました。一方のB君は、1日1時間でざっと覚えるということを4日間繰り返しました。記憶に使ったトータルの時間は、ふたりとも4時間で変わりません。

その結果はどうなったかというと、4時間が経過した直後の記憶の定着率は、A君もB君も同じでした。ところが、時間が経てば経つほど、A君の定着率は下がっていった。それに対して、B君の記憶の定着率は、ある程度の高さを維持したのです。このことから、薄い記憶を重ねる、つまり覚えるべきことを薄く分散して覚えたほうが、記憶に定着しやすいということがわかるのです。

この方法は、試験に出る範囲が決まっているといった勉強に効果を発揮します。1回目はざっと勉強するのですから、最初は不安かもしれません。でも、とりあえず範囲の最後まで終わらせる。コツはスピードを維持すること。速くざっと終わらせる勉強を数回繰り返せば、長期間残る記憶になるのです。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術03

ただ、勉強する範囲があまりに広い場合には、「速くざっと」といくら心がけても、最後まで終わらせるまでにかなりの時間がかかってしまいます。すると、勉強範囲の最初のほうは、その大半を勉強の途中で忘れてしまうということにもなりかねません。それを防ぐためには、ある程度の範囲で区切って、そこまで進んだら少し前に戻って復習をすればいい

わかりやすくするため、その「ある程度の範囲」をテキストの1ページとしましょう。1ページ目を2回読んで2ページ目を1回読んだら、そのあとは「1歩下がって、2歩進む」の要領で読むのです。すると、読むページの順番は、「1、1、2、1、2、3、2、3、4、3、4、5……」というふうになります。これで、結果的にすべてのページを3回読むことになる。これが3サイクル反復速習法です。分散効果を生かしたうえで、覚えたことをより忘れにくくした手法だといえるでしょう。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術04

いくつものメリットを持つ記憶術「1分間ライティング」

もうひとつの1分間ライティングは、「書く」という行為を生かした手法です。書くことの良さは、まず「頭の中身を見える化する」というところにあります

学生時代、試験前にテキストのマーカーを引いた部分を見ながら、「ちゃんと覚えられている!」と思ったのに、いざ試験となったらさっぱり思い出せなかったという経験はありませんか? たしかに、「なんとなく」覚えていたのかもしれませんが、きちんと記憶を取り出せないのでは、本当の意味で覚えているとはいえませんよね。ですから、書いて見える化することで、きちんと覚えているかどうかを確認するのです。

また、試験のときには、できるだけ速く書けなければなりません。試験のときに「うーん、なんだっけ?」と時間をかけて考えてようやく思い出せても、それは時間が限られている試験で有効な使える記憶とは言えません。ですから、1分という制限を設けて、覚えている事柄に関する要素をできるだけ書き出すことで、ただの記憶ではなく、使える記憶にしていくわけです。

もちろん、よく言われることですが、書くことには「アウトプットすることで記憶を強化する」というメリットもあります。本当なら、覚えたことを誰かに説明する、話すということが、記憶強化のアウトプット法としてはベストと言ってもいいでしょう。でも、あなたの話をいつでも誰かが聞いてくれるわけではないですよね(笑)。ですから、話を聞いてくれる相手がいない場合には、書くというアウトプット法を使うというわけです。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術05

さらに、書くことにはもうひとつのメリットがある。それは、「復習ポイントのあぶり出しになる」ということ。ある事柄について書き出してみたところ、それに関する重要な要素を書けていなかったとしたら、そこを重点的に復習すればいいのです。

最後に、書き出すときのコツをお教えしておきましょう。それは、書くことが何も出てこないときにも、頭の中に浮かぶことを書き続けるということです。たとえば、「書けない書けない書けない」でも「ヤバイ、もう10秒たっちゃった、どうしよう」でもかまいせん。

なぜかというと、何もしないという余裕を脳に与えると、脳は違うものに注意を向け始めるからです。たとえ書くことが何も出てこなくても、書き出すべき事柄にフォーカスさせ続けることが重要なのです。

記憶力日本一・池田義博さんの2つの記憶術06

【池田義博さん ほかのインタビュー記事はこちら】
“記憶が苦手” はただの思い込み。記憶力日本一の男は無理せず「脳にまかせている」
記憶力日本一の男が「手書き」にこだわる理由。脳も鍛えられる最強メモ術があった!(※近日公開)

見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル

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【プロフィール】
池田義博(いけだ・よしひろ)
大学卒業後、エンジニアを経て塾を経営。教材のアイデアを探していたときに出会った記憶術により「記憶」という能力に興味を持ち、日本記憶力選手権大会への出場を決意。約10カ月のトレーニングの末、初出場した2013年大会で優勝し、記憶力日本一となる。その後、2019年まで出場した大会では6連覇。また、2013年にロンドンで開催された世界記憶力選手権において日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得。現在は、記憶力も含め世の多くの人たちの「脳力」開発に貢献することをミッションとして多方面で活動中。アクティブ・ブレイン協会テクニカルディレクター/ライフキネティックジャパン・アンバサダー。著書に『記憶力日本一を5度獲った私の奇跡のメモ術』(幻冬舎)、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』(ダイヤモンド社)、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』(ダイヤモンド社)、『記憶力日本一が教える “ライバルに勝つ”記憶術』(世界文化社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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