「独学を始めてみた。でもうまくいかない……なぜ?」と悩む人向けの4つの改善策。

独学がうまくいかない人向けの4つの改善策01

独学をする場合、学校に通うのとは違い、自分の力で勉強法や勉強計画を管理しなければなりません。それゆえ何かと壁にぶつかり、勉強に挫折してしまうケースも多いものです。

  • ひとりで勉強していると、理解するのに時間がかかりすぎる……。
  • テキストを一応読み進めてはいるけれど、本当に身についているのだろうか……。
  • 独学に飽きてしまった。やっぱりひとりで勉強するのは向いていないのかな……。

こんなお悩みを抱えているなら、以下にご紹介する4つの改善策を参考に、独学のやり方を見直してみることをおすすめします。

学習範囲が広すぎるなら……「省エネする」

資格合格を目指して独学しているが、覚えるべきことが多すぎて、こなしきれそうにない。ひとりで勉強しているので、いまのペースで試験日までに間に合うか心配だ……。

そんなお悩みが生まれるのは、どれが「真に覚えるべき情報」なのかを突きとめられていないからかもしれません。

820個もの資格をもつ(2022年4月26日に確認)資格・勉強法アドバイザーの鈴木秀明氏は、特に試験勉強においては、必要最小限の知識を、最も楽なやり方で習得することを目指すべきだと述べます。なぜなら、試験勉強の目的は「苦労すること」ではなく「合格すること」だからです。

そして多くの場合、合格には満点は必要ありません。70%の点数で合格できる試験であれば、30%は点をとれなくてもいいわけです。

つまり、広大な出題範囲を完璧にマスターして「満点」を目指すより、最小の労力で「合格点」に到達することを目指すほうがよいということ。そのために鈴木氏は、「捨てる」「減らす」「効率化する」の3つによって省エネで勉強することをすすめています。

1. 捨てる

出題頻度が低い内容、習得に時間がかかる難分野などは、思いきって捨てていいそうです。合格するに足る必要最低限の知識だけに的を絞れば、勉強すべき量を抑制することができます。

2. 減らす

学習範囲を絞ったら、次は学習に費やす労力を減らします。たとえば、暗記にかける労力を減らすのはそのひとつ。英単語を勉強する場合、同じ接頭辞(sub-、inter-など)から始まる単語をセットで覚えれば、個々の単語をバラバラに覚えなくてすむ――といった具合です。

3. 効率化する

最後に、コストパフォーマンスをさらに上げる工夫をします。記憶力を高める勉強法を導入するのはその一例。一度勉強したことを忘れてしまうと、勉強し直す必要が出てくるので非効率的です。「脳の仕組みに合った方法で復習をする(次章で紹介)」などの方法をとれば、より勉強効率を高めることができますよ。

効率のいい勉強法14選! まずは基本を確認しよう』でも、「省エネ」に勉強する方法を多数紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

独学がうまくいかない人向けの4つの改善策02

 

すぐ忘れてしまうなら……「4回復習する」

一度学んだことをすぐに忘れてしまう。独学だと誰にも指導してもらえないので、なぜ自分が覚えられないのか見当もつかない……。

そんな問題にぶつかっているなら、復習の回数が足りていないことを疑ってみましょう。前章で述べたように、知識をインプットする手間は省エネするべきです。しかし復習については、適切に力を入れて行なうほうがよいのです。

脳科学者の池谷裕二氏によれば、脳は繰り返し使う情報を「重要」と判断し、長期記憶として保存する性質をもつとのこと。どんなに気合を入れて覚えたつもりの知識でも、1~2回程度しか使っていない(=復習していない)なら、すぐに忘れてしまうのが自然なのです。

ですから、記憶を確実に定着させるために、ひとつの知識を4回は学び直す “復習主体” の学習スタイルに切り替えましょう。池谷氏によると、以下が理想的な復習ペースだそうです。

  • 1回め……学習の翌日
  • 2回め……1回めの1週間後
  • 3回め……2回めの2週間後
  • 4回め……3回めの1か月後

おわかりのように、復習の間隔をだんだん長くしていく構成になっています。復習をするごとに、忘れにくくなるからです。

さらに、池谷氏によれば、復習時にはただノートなどを見直すのではなく、「出力する(思い出す)」ことが重要だそう。問題集や自作の小テストを活用し、テスト形式で復習をすると、学習効果がより高くなりますよ。

独学がうまくいかない人向けの4つの改善策03

理解が難しかったら……「人から教わる」

張りきって専門書を用意し、初めての分野を独学で勉強し始めたが、内容が難しすぎて理解できない……。

こんな悩みを抱えているなら、いっそのこと独学から一時的に離れてみるのもいいかもしれません。

社会人教育関連サービスの株式会社リカレント代表取締役・松田航氏によると、知識ゼロの状態から新しい分野を学び始めた「0→1」の段階では、独学に挫折するリスクが高いとのこと。知識がなさすぎるために、内容を自力で理解しきれず、勉強のおもしろみを感じにくいからです。

したがって、松田氏は、最初は無理に独学せず、誰かに教わって、全体像をざっくりとつかむことを提案しています。つまり、いきなり自力で理解しようとしなくていいということ。教わる手段の例はこちらです。

  • その分野に詳しい友人に教えてもらう
  • 学習用の動画サイト・動画アプリで学ぶ
  • セミナーなどを受講する

こうして、自分が学ぼうとしている分野についてある程度知識がついたら、「1→10」のフェーズで独学に取り組むといいそうですよ。

以下に、独学初期の助けとなるオンライン動画教材をピックアップします。もちろん、ある程度知識がついてからでも継続して活用できるものばかりです。

  • グロービス学び放題
    ……初級レベルから対応。体系的にビジネスの全体像をつかめる。
  • NewsPicks Learning
    ……ビジネスの入門から最先端の知識まで幅広くカバー。
  • JMOOC
    ……さまざまな教養を、大学や企業による講義で学べる。
  • オンスク.JP
    ……資格試験向けの講座を、1コマ10分でスキマ時間に学べる。
  • ENGLISH COMPANY MOBILE
    ……スマートフォンひとつで英語学習ができる。動画教材のほか、独学では準備が難しいシャドーイング教材なども。

ある程度、要領がわかってしまえば、あとは独学でも問題なく学びを進められますよ。

独学がうまくいかない人向けの4つの改善策04

独学に飽きてしまったら……「 “偶有性” を加える」

ひとりで黙々と勉強をするのは、どうしても退屈に感じる。もう独学には飽きてしまったかも……。

そんなモチベーションの問題を解決するひとつの方法は、勉強のなかに「偶有性」を加えることです。

偶有性とは文字通り、物事のなかに “偶” 然性がほどほどに “有” る状態のこと。脳科学者の茂木健一郎氏いわく、必然的な部分が半分、偶然的な部分が半分、というバランスが肝だそう。

茂木氏によれば、偶有性が成立しているとき、私たちは感情を揺さぶられ「楽しい」と感じるのだとか。たとえばゲームやギャンブル、はたまた恋愛によってワクワクと感じるのも、これらに “ほどほどな不確実さ” が含まれているから。そこで、勉強のなかにもちょっとした偶然性・意外性を加えることを茂木氏はすすめています。

たとえば「解く問題の番号をサイコロで決める」というのを試してみてはいかがでしょう。これは、中学受験専門塾を運営する菊池洋匡氏が提唱するものです。

サイコロで6が出たら第6問を解き、次に5が出たら6+5で第11問を解き……という具合で、「サイコロを振り、出た目の数を足しながら先の問題を解いていく」といったルールを設定してみてください。たったこれだけでも、「そう来たか」という意外性が生まれ、味気ない勉強に興を添えられます。

そのほか、日々の勉強のなかに、以下のようなちょっとした変化を加えるのもおすすめですよ。

  • 勉強仲間と会話をする、問題を出し合う
  • 新しい勉強法を取り入れてみる
  • 初めての場所に行って勉強をする

***
独学を始めてみたけれど、なぜか行き詰まってしまった……という方は、今回ご紹介した4つの対策を用い、勉強のやり方を最適化しましょう。

(参考)
鈴木秀明 (2012), 『ラクして受かる勉強法』, すばる舎.
Twitter|鈴木秀明@『小学生にもとれる!資格・検定カタログ』(小学館) @suzuki_hideaki
プレジデントオンライン|「復習4回」で脳をダマすことができる
マネー現代|「独学vs人に教わる」どちらがよい勉強法?「 社会人教育」のプロが出した“意外な結論”
STUDY HACKER|大人の初心者でも英語が上達する勉強法
茂木健一郎 (2007), 『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』, PHP研究所.
マネー現代|わが子の学力がみるみるアップ!勉強を「ゲーム化」する4つのポイント

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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