会議で案を次々と出したり、どんな状況にも臨機応変に対応したり。頭の回転が速くて、柔軟に考えられる人が、あなたのまわりにもいるかもしれません。
「あんなふうに頭のやわらかい人になりたいけれど、“石頭” な自分はいつもうまく考えられない。どうすればもっと柔軟になれるのだろう……」
そう悩むあなたのために、頭のやわらかい人がしている日常習慣を4つお伝えします。考えがカチカチに固い人の習慣とは何が違うのか、ぜひ確認してみてください。
1. 頭がやわらかい人は「自分は間違っているかもしれない」と考える
- 頭が固い人は、「自分は正しい」と思い込み、
- 頭がやわらかい人は、「自分は間違っているかもしれない」と考える。
これを指摘しているのは、『やわらかい頭の作り方 ─身の回りの見えない構造を解明する』著者でビジネスコンサルタントの細谷功氏です。
細谷氏によると、自分の正しさを信じすぎて考えが固くなる人は、以下のような姿勢をもちがちなのだそう。会議で「作業の進め方を変えよう」という話が出た場面を例にとって、考えてみます。
- 周囲が変化しても自分は変わろうとしない
(例)「これまでうまくやってきたのに。自分は変えたくないな……」と不満を抱く。 - 他人の意見を聞こうとしない
(例)「私が『変える必要はない』と言っているのだから、それでいいじゃないか」と考える。
つまり、「自分の意見を通したい!」と強く思いがちな人は、頭が固いと言えるのです。
一方、頭がやわらかい人の特徴は上記の逆。
- 周囲の変化にすばやく対応する
(例)「なるほど。私も試しに進め方を変えてみよう」と、変化を受け入れてみる。 - 他人の意見を聞こうとする
(例)「私は進め方を変えなくてもよいと思うのですが、みなさんが変えるべきだと考える理由を聞かせてもらえませんか?」と建設的に対話する。
このように、「間違っているのは自分ではないだろうか?」という視点がをもてる人こそが、柔軟に考えられる人なのです。
仕事で自分の意見を通したくなったら、細谷氏がすすめるように「自分は間違っているかもしれない」と疑ってみる――こう習慣づければ、考え方を少しずつやわらかくしていけるはずです。
2. 頭がやわらかい人は「さまざまな視点」で見る
- 頭が固い人は、「ひとつの視点」だけで物事を見ていて、
- 頭がやわらかい人は、「さまざまな視点」から物事を見ている。
こんな法則を紹介しているのは、『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』著者で、教育事業を手がける株式会社カルぺ・ディエム代表の西岡壱誠氏。
西岡氏によると、東大生には頭のやわらかい人が多いそう。彼らは、知識より頭のやわらかさを測る問題が多い東大入試を乗り越えてきたからです。実際、東大の入試では、ひとつの立場から見た事情しか書けていないと正答にならない問題がよく出題されるそうで、
過去問を解くときに、あえて自分の本当の立場とは逆の立場で問題を解く訓練をしていたという学生は非常に多い
(引用元:東洋経済オンライン|東大生が見た「頭が柔らかい人、硬い人」の習慣)
とのこと。東大生たちが訓練してきたように、ひとつの視点にこだわらず、複数の視点をもてば、おのずと頭をやわらかくできると、西岡氏はまとめています。
当然、仕事でも同じことが言えるでしょう。たとえば、販売側の視点で「もっと効果的な売り方はないか」とばかり考えるのではなく、顧客側の視点で「顧客は何を買いたがっているのか」を考えてみる――というように、反対の立場で考えてみるのは有効な一手段。
問題の解決策をなかなか見いだせないときでも、複数の視点を使いこなせれば、きっと柔軟に考えられるに違いありません。
3. 頭がやわらかい人は常識や習慣を「破る」
- 頭が固い人は、常識や習慣を「守るのが当たり前」と考え、
- 頭がやわらかい人は、常識や習慣を「疑って破る」。
こう言っているのは、『考える術 人と違うことがひらめくすごい思考ワザ71』著者で発明家の藤原麻里菜氏です。
あなたには、「当たり前すぎて、違和感をもったことすらない……」というようなものはありませんか? そんな、誰もが硬直的に考えがちな常識や慣習のなかにも、頭をやわらかくするヒントがある、と藤原氏。
日常のなかで「当たり前のこと」「繰り返していること」「大前提となっていること」などを見つけ出して、ひっくり返してみるとユニークな発想が生まれてくるそうです。
「この工程は手作業でやって当たり前」
⇔「作業をデジタル化してみよう」
「この商品は、40代以上の大人しか使わないはず」
⇔「若者向けに売り出してみよう」
このように、常識を根本から疑えるのが頭のやわらかい人の特徴なのです。これには、前出の細谷氏も同意見。
実際に常識を破って生まれたアイデアの例として、藤原氏は「テクノ落語」というものを挙げています。
落語と言えば、扇子を箸に見立ててそばをすするしぐさをし、見る人の「想像をかきたてる」シーンは有名でしょう。この、観客に「想像させる」という落語の伝統をひっくり返したのがテクノ落語。なんと、AR技術を使い、演者の口にそばが入っていく映像を観客に「見せてしまう」というのです。常識を根本から覆したことで、大きなインパクトが生まれた――その好例だと藤原氏は言います。
最初は抵抗があるかもしれませんが、考えるだけなら自由です。頭をやわらかくしたいなら、常識や慣習を一度ひっくり返してみましょう。思考をぐんと広げられるはずです。
4. 頭がやわらかい人は「新しいこと」に出合う
- 頭が固い人は「変わらない日常」を過ごし、
- 頭がやわらかい人は「新しいことに出合う日々」を過ごしている。
このように伝えるのは、脳内科医の加藤俊徳氏です。
加藤氏によると、人は自身がもつ知識や体験に基づいて、物事を考えたり判断したりしているそう。そのため、経験を重ねるほど自負心が強まり、考えが頑固になってしまうことがあると言います。「自分はこういうやり方で成功してきたのだから、別の人がすすめるやり方は受け入れたくない」と頑なに考えてしまう、といったようなことです。
そんななか、変化のない毎日を過ごすだけでは、経験のバリエーションが広がらず、物事の判断基準も変わりません。当然、考えは凝り固まっていく一方……。そこで加藤氏は、“頑固な頭” になってしまわないよう、「新しいチャレンジ」をすることをすすめています。
加藤氏と同様、新たな経験を通して積極的に脳を動かすことをすすめる神経内科医の米山公啓氏の見解もふまえながら、日常生活に取り入れたいチャレンジの例を挙げましょう。
- いままでやったことのない仕事をする
- 新しい趣味を始める(スポーツや料理、ハンドメイドなど……)
- 旅行する
- 仕事帰り、知らない道を歩いてみる
- 普段は行かないスーパーで買い物をする
- 友人の友人を紹介してもらい、新たな友人をつくる
新しい考え方を押しつけられても、人は自然と抵抗したくなってしまうもの。だからこそ、自分自身が行動を変えてみて新たな物事を受け入れることが、頑固にならないコツだ――加藤氏はこう言います。
未体験のこと、ワクワクすることを日常的に探して、積極的に挑戦してみてください。脳が刺激されて、固かった考え方がいつしかやわらかくなっていきますよ。
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あなたの頭をやわらかくするヒントは得られたでしょうか。次に会議で活躍して憧れの的になるのは、あなたかもしれません。
(参考)
ITmedia エグゼクティブ|「やわらかい頭の作り方」――自ら柔軟に変化していくためのヒント
東洋経済オンライン|東大生が見た「頭が柔らかい人、硬い人」の習慣
ダイヤモンド・オンライン|「頭の柔らかい人」がしている、当たり前を疑う習慣
ダイヤモンド・オンライン|ちゃんとした人には「むしろ見えない」思考の盲点
tayorini|加齢によって頑固になるって本当? 脳の先生に話を聞きました
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【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。