勉強で結果を出せるかどうかは、勉強計画で決まるのだとか。そして、「勉強計画」は「タスク管理」に等しいそうです。そこで今回は、ストレスフリーな時間とタスクの管理術と言われる「GTD®」を用いて、勉強効率を高めるポイントを探ってみました。
合格者は「勉強計画」が明確である
『ズボラでもラクラク!超効率勉強法』(三笠書房)の著者で、勉強コーチングの第一人者でもある椋木修三氏によると、「試験に合格する人は勉強計画が明確」であるのに対し、「不合格になる人の99%は勉強計画が曖昧」なのだそうです。そのため椋木氏は、次のように実感しているとのこと。
「試験の合否は勉強計画で決まる」
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|合否の9割は「勉強計画」で決まると断言できる理由)
「勉強計画=タスク管理」だ
また、三日坊主防止アプリ「みんチャレ(※1)」活用法を紹介する「みんチャレブログ」内には、【勉強計画=タスク管理】といった考えが示されています。タスク管理といえば、仕事の完遂に必要な課題の、優先順位や進捗状況などを管理すること。ビジネスシーンでは当たり前に行なわれているものです。
しかし、もっと日常的な場面でも、私たちは無意識のうちに日々タスク管理をしています。たとえば料理をつくるとき、あるいは「貴重な休日を最大限に楽しもう!」といったときにも、必要なこと・ものを準備して、優先順位をつけて実行し、進捗状況を管理しながらやり遂げようとするのではないでしょうか。
ですから、「勉強計画=タスク管理」と聞いてなんだか難しそうに感じても、いつもの準備や計画のようなものだと思えばいいのです。加えて、計画を立てながら勉強のストレスを取り除けるなら言うことはありません。そうした諸々のことをふまえ、今回は「GTD®」という方法を取り上げました。
(※1:みんチャレ:現役東大生が情報提供を行う人気マンガ『ドラゴン桜2』で、習慣化に役立つアプリとして紹介されている)
勉強効率アップに効くタスク管理法「GTD®」とは?
GTD®(Getting Things Done)は、生産性向上コンサルタントのデビッド・アレン氏が提唱した、生産性の向上に役立つストレスフリーな仕事術です。やるべきこと・気になることが多すぎて集中できないとき、以下の作業を行なうことで、ひとつのことに専念できるようになるのだとか。
- 頭の外に気になることを置く
- 何を望んでいるか明確にする
- 上記を叶えるための行動を具体化する
- 仕組みをつくる(物事を整理して行動につなげる)
このGTD®は、次に紹介する「5つのステップ」から成り立つそうです。今回は勉強効率を高めるポイントを探る目的なので、その観点から各ステップを解釈し、それに基づいて概要を説明していきます。
【ステップ1】:把握
勉強でも仕事でも、気になることがバラバラと散らばっていると、集中するのが難しいですよね。GTD®では大きい小さい、公私にかかわらず、“気になっているもの” をすべてを集め、把握することから始めるそうです。
それらは頭のなかに、もしくはメールや届いた郵便物のなかにもあるかもしれません。つまりこのステップは、自分の内側と外側にある “気になっているもの” を、ほとんど把握してしまおうとするステップです。頭のなかにあるものは、デジタル(パソコンや携帯アプリ)でも、アナログ(手帳やノートに手書き)でもいいので、とにかくすべて書き出してしまうとのこと。
たとえばプライベートなら、「初めて行く待ち合わせ場所の確認」「期限内に申し込めば安くなる医療保険について」「なかなか痩せない」「携帯電話会社を乗り換えようか、どうしようか」といったところでしょうか。
勉強なら「〇〇の部分が難しい」「先生に質問したいこと」「〇〇の資格をとるべきか」「セミナーに申し込まなきゃ」「参考書はどれがいいのか」など、いろいろあるはずです。
【ステップ2】:見極め
次に、ステップ1で把握したものの行動を見極めていきます。「〇〇の資格をとるべきか」といった内容を例に挙げると――
- まずは求めている結果を明確にします。この場合「1年後に〇〇の資格をとってキャリアアップする」といった具合でしょうか。
- その行動を起こすことが、本当に必要かどうか考えます。
- 必要だと感じたら、次にとるべき行動を具体化します。たとえば「過去問から始めたいから、まずは問題集を買おう」など。
具体化した行動が、すぐ自分でできるものなら即実行。時間がかかるものは行動リスト(次項で説明)に追加します。
【ステップ3】:整理
ステップ2で見極めたものは、次のように整理していきます。
- いくつもの工程が必要な内容は「プロジェクト」として整理。たとえば「〇〇の資格をとる」「偏差値を10上げる」「TOEIC試験で900点とる」など(ひとつのプロジェクトに、複数の具体化された行動が関わってくる)。
- ステップ2で具体化された「次にとるべき行動」は、その特性ごとに(自分がわかりやすいように)整理・収納する。
たとえば問題集をネットで買う、セミナーをネット予約するなら「パソコン作業」に、誰かにアドバイスをもらったり、質問したりするなら「あとで聞くこと」に、何かの書類を郵送したり、提出したりするなら「アナログ書類(パソコン内のフォルダ、あるいは書類トレイやファイル)」に整理するなど。 - 行動する必要がないと判断したものは「資料」に整理。行動する必要も、資料としても必要なければ「ゴミ箱」へ。
【ステップ4】:更新
状況は必ず変化するので定期的な更新も必要です。できているか・できていないかを確認し、不要なタスクをゴミ箱に捨てて、行動リストや優先順位を最新版にします。これは、頭のなかをスッキリさせ、高い集中力を維持するための作業でもあります。
【ステップ5】:選択
リストのなかから次の行動を選ぶ際は、自分が使える時間やエネルギー、いまの状況、優先順位を考慮しながら選ぶよう説明されています。
たとえば資格勉強を始めたばかりで、それも忙しい仕事の合間に行なうなら、「この参考書を覚える」ことより、スキマ時間に一問一答できそうな「過去問をやる」ほうがいいはず。無理のない行動を選んで実行し、ひとつひとつ確実に達成していきましょう。
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GTD®がストレスフリーと言われる理由は、迷いなく次の行動に向かうことができ、集中できるようになるからです。タスク管理のための作業に多少時間をかけたとしても、結果的には効率がよくなるはず。よろしければお試しくださいね。
(参考)
カオナビ人事用語集|GTDとは? 意味、項目、基本ルール、手順について 重要なプロジェクトをすぐやるための時間管理術
みんチャレブログ|科学的に証明された「勝てる勉強計画」の立て方!受験生〜社会人まで使える
みんチャレブログ|GTDとは?最大限の効率で仕事をこなせるタスク管理の実践方法を解説
デビッド・アレン著,田口元著(2015),『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』,二見書房.
ダイヤモンド・オンライン|合否の9割は「勉強計画」で決まると断言できる理由
ストレスフリーの仕事術「GTD®」|Getting Things Done®
ストレスフリーの仕事術「GTD®」|GTD®とは
みんチャレ | ドラゴン桜2 × みんチャレ
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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