勉強したことを「自分のものにできる人」になるために、ちょっとだけ変えてみるといい3つのこと

勉強したことを「自分のもの」にするためにちょっとだけ変えるべきこと01

「勉強も読書もそこそこ頑張ってる。でも『身についた!』という感覚はいまひとつ……」
「真剣にインプットしたはずの知識を覚えていない……! いったいどうすれば?」

こうした悩みを抱えているなら、いつもの勉強法に “ちょっとだけ” 変化をもたらしてみましょう。ほんの少しのことを変えたり加えたりするだけで、記憶がぐんと定着しやすくなりますよ。

勉強したことを確実に自分のものにするために、ぜひ実践したい3つのことをご説明します。

1.「筆記具」を変えてみる

本に書き込みをしたり、丁寧にノートをとったりしているのに、内容が頭に入りづらい……というあなた。いつも「黒1本の筆記具」で書いていませんか?

もしそうなら、筆記具をちょっとだけ増やし、色ペンやマーカーなどを取り入れてみてください。理由は次の2点です。

ひとつは、書く前に「どの筆記具を使おう?」と思考することが、記憶力アップの助けになるから。脳神経内科医の長谷川嘉哉氏によると、思考する回数が多いほど、脳がたくさん使われて、勉強したことを記憶しやすい状態になるのだそうです。手元に複数の筆記具を用意すれば、「これは何色で書こう?」「ここはどのマーカーで印をつけよう?」などと、脳を働かせる機会をつくれます。

もうひとつは、ビジュアルで記憶をサポートできるから。「これは赤ペンで、ノートのあのあたりに書いた内容だな」という具合に、“書いた内容” と “視覚イメージ” がセットになるので、書く際に色を取り入れるとより記憶に残しやすくなる――長谷川氏はこう説いています。

勉強したことを「自分のもの」にするためにちょっとだけ変えるべきこと02

脳科学に詳しい精神科医の樺沢紫苑氏も、筆記具を複数使うことを推奨しています。実際に樺沢氏は、本に書き込みする際、「文字を書く用の筆記具」「アンダーラインを引く用の筆記具」の両方を使うそう。

「余白に気づきを書きたいから細いペンを使おう」「なるほどと思ったのでマーカーで線を引こう」などと考えながら、実際に手を動かす――こうして脳を活性化しつつ、能動的に本を読むことが、理解と記憶の強化に重要だと樺沢氏は言います。一般的な読書に限らず、教科書や参考書を読むときにも使えそうなテクニックですね。

ですから、これまでなんとなく黒ペン1本だけで勉強していた人は、複数の色や種類の筆記具を使ってみましょう。「この内容は青ペンで書いたぞ」「黄色のラインマーカーを引いたところだな」といったビジュアルのおかげで、より覚えやすく・思い出しやすくなるはずです。とはいえ、「どれで書こう……?」と迷ってしまわないよう、筆記具を増やしすぎないことも大切かもしれませんね。

普段の勉強に使う筆記具をちょっと増やすだけで、効果が期待できます。ぜひ、試してみてください。

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2.「読書メモの書き方」を変えてみる

本を読んだあとは、ノートに気づきや感想を書きためている。だけど、そのわりに知識が増えない……とお悩みですか?

それは、“読書専用” のノートをつくっているからかもしれません。読書メモの書き方をちょっとだけ変えて、なんでも書き込む普段使いのノートに、本の感想を書くようにしてみてください

なぜ、読書専用ノートではいけないのでしょう。独自の読書術やノート術を提唱する著作家の奥野宣之氏によると、その理由は、「めったに開かないノート」になりがちだから。本の感想を書くときしか開かないノートは、読み返す機会が少ないもの。そのため、せっかく書いた気づきや感想が記憶に残りにくいばかりか、読書メモを書くことさえ面倒になる恐れもあるのだそうです。

そこで奥野氏がすすめるのは、本の感想を書くノートに、日記やふと浮かんだアイデア、映画やテレビの感想なども一緒に書き込んで、普段使いすること。こうすれば、ノートを開く機会が自然と増え、読書メモが頻繁に目に入るので、記憶に残りやすくなると言います。本の感想を書くことを継続しやすくなる、というメリットも。

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というわけで、筆者もやってみました。これまで本を書く専用のノートをつくっていたのですが、奥野氏の見解をふまえて日記も一緒に書くことにしたのです。

奥野氏によると、読書メモは「日付」「本のタイトル」「ひとこと」というシンプルな構成で十分だそうです。「ひとこと」を書くコツは、「どんな学びがあったかな?」と考え、自分の言葉で書くこと。

実際に書いてみたノートがこちらです。

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「自分にとっての学び」を考えながら書くことで、本の内容を整理できることを実感。また、日記を書くようにしたことでノートを開く機会が増えただけでなく、「○○をしたときにこの本を読んだな(こう思ったな)」という具合に、日記と読書メモがひもづいて、記憶に残りやすくなりました

「いろいろ書くとごちゃごちゃするのでは……」と心配だったのですが、読書メモの部分をラインマーカーで囲む工夫をしたら、読み返しやすくなりましたよ。

この方法なら、感想を読み返す機会が圧倒的に増え、確実に知識量を増やしていけるはずです。あなたも、読書メモの方法をちょっとだけ変えて、本から得た知識を自分のものにしましょう。

3.「誰かに教えよう」という気持ちを加えてみる

あれこれ工夫して一生懸命勉強しても、時間がたつと忘れてしまう……。

そんな人は、いつもの勉強に “あること” をちょっとだけ加えてみましょう。それは、「勉強したことを誰かに伝えよう」という気持ちです。

脳神経外科医の築山節氏によると、ただ単に「覚えよう」と思って勉強するだけだと、その場ではわかったつもりになっても、時間の経過とともに記憶が薄れてしまうのだそう。

反対に、「人に伝えよう」という気持ちがあれば、脳が意識的に情報を吸収し、記憶力も高まると築山氏は言います。たとえば、「この本を読んだら、あとでチーム内で共有しよう」という意識があれば、自然と「どのあたりの内容をどうやって伝えよう?」と考えながら読むはず。このように、覚えた情報を使う(=伝える)機会を先につくることが、勉強には有効だということです。

なお、「人に伝える」ことを難しく思う必要はなく、「家族との雑談のなかで知識を披露する」「ブログに書く」といったことでも効果はあるのだそう。もっと手軽に「SNSでシェアする」というのもよさそうですよね。

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人に伝える前提で勉強することの有効性については、教育事業を行なう株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏も同意見です。東大生の勉強法に関する著書を多くもつ西岡氏によれば、多くの東大生が、学んだことを人に説明できるようにノートを書いているのだそう。

つまり、東大生は教授の話やテキストの内容をインプットするためだけでなく、「いつか人に伝える」というアウトプットを意識してノートを書いているということです。

なお、西岡氏いわく、「誰かに説明するためのノート」を書くコツは、「言い換え」や「まとめ」を意識すること。そもそも、人に何かを説明するには、「要するにどういうことか」を “自分の言葉で” まとめ直す必要があるからです。決して、テキストを書き写すだけでは、人に説明できるようにはなりません。

あなたもぜひ、

  • いつもの勉強に、「学んだことを人に教えてあげよう!」という気持ちを加えて、
  • 「要するに?」「言い換えると?」などを自分なりに考えながら、
  • 複数の筆記具でノートをとる

ようにしてみてください。勉強したことがよりいっそう「自分のもの」になるはずですよ。

***
今回ご紹介したものはどれも簡単にできるものばかり。いつもの勉強法を、ちょっと変えてみるだけです。実践すれば、あなたもきっと効果を感じられるでしょう。

(参考)
STUDY HACKER|医師「手書きが脳にいいのは当然」――脳を刺激する “最高のアナログ習慣” してますか?
樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変える アウトプット大全』, サンクチュアリ出版.
ダイヤモンド・オンライン|なぜ、読書ノートは続かないのか?継続できる簡単で効果的な3つの方法
ダイヤモンド・オンライン|必要なのはノート1冊だけ。誰でもできる知的生産システムの作り方
橋口幸生(2020),『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』, 宣伝会議.
築山節(2006),『脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』, NHK出版.
東洋経済オンライン|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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