頭が冴えないときに見るべきは○○の写真!? 脳が刺激されて記憶力と意欲が高まる

「好きな食べ物の写真」が効果的な理由 -01

食べ物を見たときにわきあがる感情の神経メカニズムを解明した最近の研究は、仕事や勉強に「食べ物の画像」が役立つ可能性を示唆しています。

その理由は、記憶や意欲と関係が深い脳領域に影響を及ぼすから。

なんとなく記憶力が鈍っている、いまひとつ意欲がわかないと感じている方に、楽しくておいしそうな対策を紹介します。

食べ物が無意識のうちに感情をかきたてる

京都大学こころの未来研究センターの佐藤弥特定准教授らのグループは、22人の被験者を対象に、食べ物の画像を見せて実験を行ないました。ただし、見せ方はひとつではありません。

  1. 「意識的」:食べ物の画像が見えている
  2. 「無意識的」:サブリミナル効果で食べ物の画像を見せる

サブリミナル効果の場合、瞬間的なので本人は見ている意識がありません。それぞれの状況下で脳活動を計測したところ、1では「新皮質」 が反応し、1と2どちらにも反応していたのは「扁桃体」でした。扁桃体は、大脳の深部に位置する“感情の中枢”です。

つまり、食べ物が無意識のうちに感情をかきたてていると、科学的に示されたわけです。

「好きな食べ物の写真」が効果的な理由 -02

感情をかきたてて、記憶力と意欲を高めよう

ならば、仕事や勉強をする際に、「大好きな食べ物のパワー」を役立ててみてはいかがでしょう。食べ物の写真を、自分の部屋に貼ったり、スマートフォンの待ち受け画面やPCの壁紙にしたりするだけ。それにより期待できるのは、無意識のうちに起こる記憶力と意欲の向上です。

● 扁桃体と「記憶」

東京大学薬学部教授の池谷裕二氏は以前、扁桃体が活動するとLTP(長期増強)が起きやすくなると明らかにしました。LTPは神経細胞同士の結びつきが強くなる現象で、よく起こるほど記憶力が高まります

たとえば歴史上の人物について “悔しかっただろうな” “楽しかっただろうな” などと想像し、「感情」を交えながら「扁桃体」を活動させ「覚える」ことで、脳は自然とその知識を記憶しようとするはず、とのことです。

さらに歴史上の人物に興味を抱ければ、脳にシータ波が出現するので完璧だと話します。好きなことをしてワクワク、ドキドキしているときに出るシータ波により、少ない刺激でも海馬にLTP(長期増強)が起こるからです。

当然、「大好きな食べ物」「おいしそうな食べ物」のビジュアルにも、ワクワク、ドキドキをもたらすパワーがあるはずですよね。

「好きな食べ物の写真」が効果的な理由 -03

● 扁桃体と「やる気」

東京学芸大学 保健管理センター・准教授の大森美湖氏によると、脳内の神経系の中には、精神系だけを走る「A10神経」があるのだそう。

意欲にかかわる神経伝達物質のドーパミンがもっとも活躍しているので、ドーパミン系神経もしくは報酬系神経とも呼ばれています。

ドーパミンは、腹側被蓋野から放出され→視床下部→扁桃体・海馬・側坐核→前頭連合野・側頭葉へと入って終わるそう。無意識下でも食べ物の写真に反応する、扁桃体感情の中枢も通るわけです。

そのため大森氏は、思考や意欲がダウンしたときは、散歩やウォーキングのほか、好きなことで快感を得た勢いで、苦手なことに取り組んでみるのも効果的だと伝えています。

「大好きな食べ物」のビジュアルも、快感を与えてくれる “好きなもの” のはず。

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● 扁桃体と「意欲の維持」

2015年の広島大学の研究では、“他者のためになる” という意識を持つだけで、作業への動機づけが高まることが示唆されています。

また、英科学雑誌『Scientific Reports(オンライン版)』に2016年2月15日に掲載された、玉川大学脳科学研究所の坂上雅道教授らの研究では、相手に協力する傾向の強い他者志向的な人」は、「自己志向的」な人よりも扁桃体が大きいとわかりました。 他者志向的な人が、他者に協力するかどうかを決めるときは、扁桃体が強く活動していたとのこと。

つまり、扁桃体が大きい人ほど、他者をよく助ける。他者のためになると意識を持つほど、意欲が高まるわけです。

したがって、「おいしそうな食べ物」で扁桃体が元気になればなるほど→よく他者を助けるようになり→他者を助けるほど扁桃体が大きくなり→また意欲が高まる【好循環】が期待できるわけです。

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おまけに「良い人」と言われるはず! おいしそうで、いいことだらけです。

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筆者が知る90代の女性は、「見ていると楽しい」と言いつつ、美味しそうな高級懐石弁当の写真を冷蔵庫に貼っていました。いまもあらゆることに興味津々で、頭脳も明晰です。「好きな食べ物の写真」効果は、想像以上に絶大かも……!?

(参考)
京都大学|食物に無意識で感情を感じる脳内メカニズムを解明 
WAOサイエンスパーク|こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法 
東京学芸大学 保健管理センター|「脳の“ここち良い”をさがそう」 ~ドーパミンと仲良くする~ ①身体運動編
玉川大学 研究所|脳科学研究所|【脳科学研究所】良い人は感情的に行動する? 利他的な人と合理的な人の意思決定メカニズムの違い -英国科学雑誌"Scientific Reports"に論文を発表-
徳岡大, 佐藤深雪, 森田愛子(2015),「他者のためになると思うことで意欲は上昇するか : 仮想場面を用いた検討」, 広島大学心理学研究,広島大学大学院教育学研究科心理学講座, 第15号, pp. 195-202.

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