アマゾン流「最強の仕事人」は “同意できない決定” にも全力を尽くす。文句ばかり言い続けるのは二流の証だ。

チームに貢献する方法01

仕事はチームで進めるもの。自分はその歯車のひとつにすぎないから、“突き抜けた人材になる” ことなど到底できるはずはない……。そうお思いの方は、個人的な成果ばかりを追い求めることから、チームへの貢献度合いを上げることへとシフトしてはいかがでしょうか。

チームにはいろいろなタイプの人がいます。生産性の高い人と低い人、トラブル解決に協力的な人と逃げたがる人。そんな様々な人と一緒に仕事をするなかで、自分はどのように振る舞えばチームに大きく貢献することができるのでしょう。

今回は、Google、Apple、Amazonのリーダーの言葉から、 チームへの貢献度が高い人材になるための仕事への取り組み方についてお伝えします。

Googleに学ぶ:「心理的安全性を構築する」

チームの一つの目的に向かわせるために、部下の信念や価値観に基づいた目標を設定する。それを引き出すために、心理的安全を築くことから始めていただければ。 それができるGoogleの上司は、部下からこう言われます。”My manager treats me as a person.(私の上司は自分を一人の人間として見てくれる)”、と。

(引用元:"未来を変える"プロジェクト|Googleの「最高の上司」がチームの生産性を高めるためにしていること

こう語るのは、以前Googleで人材育成やリーダーシップ開発に関わったのち、現在はHR分野の企画・開発に特化したモティファイの取締役を務める、ピョートル・フェリークス・グジバチ氏です。

Googleでは、チームの効果を高めるために必要なものとして「心理的安全性(Psychological Safety)」を重視しています。Googleによると、心理的安全性とは「対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方」のこと。

具体的には、相手から「無知、無能、ネガティブ、邪魔だ」などの悪い印象を持たれる可能性がある行動をしても、「このチームなら安心できる」と信じられることを、心理的安全性と呼ぶのだそう。例えば、仕事に関する基本的な質問をする、失敗により他のメンバーの手間を増やす、プロジェクトで忙しいときに時間のかかるチェックを依頼する、などの行動をしたとしても、このチームメンバーであれば受け止めてもらえるという安心感を持てる、ということです。

チームに貢献する方法02

そこで、 チームへの貢献度が高い人材になるためには、ぜひチーム内の心理的安全性の構築に寄与しましょう。チームのメンバーが「無知だ、無能だ」という評価をされかねない行動をとってしまったときでも、彼らに寄り添い、事実を受け止めてあげるのです。例えば、ミスをした同僚を一方的に責めない、後輩が会議で投げかけた質問が本筋とずれていた場合でも馬鹿にしない、といったことが重要でしょう。

またグジバチ氏は、心理的安全性を築くには、日ごろからメンバー同士で「質の高い雑談」をするとよいと言います。「好きな食べ物は?」といったたわいない話も、「なぜその食べ物が好きなのですか?」「お気に入りの食べ方は?」などと掘り下げていくと、その人のこれまでの人生が垣間見え、価値観を知ることにつながるのです。さらには、互いに本音を語り合える信頼関係を築くことにもなるので、よりチームが団結して仕事を進めることができるようになるでしょう。チームの効果は確実に上がっていきますよね。

このようにしてチームの心理的安全性を高める振る舞いをすれば、「この人になら何でも話せる」という、絶大な信頼を得ることができるはずです。上司や同僚からの評価も上がり、唯一無二の存在になれると思います。

チームに貢献する方法03

Appleに学ぶ:「責任を持ち、言い訳をしない」

"When you’re the janitor," Jobs has repeatedly told incoming VPs, "reasons matter." He continues: "Somewhere between the janitor and the CEO, reasons stop mattering."

(引用元:WIRED|APPLE EMPLOYEES TELL THE SECRETS BEHIND STEVE JOBS’ ‘MAGIC’

上記は、Apple創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が語ったとされる言葉。

ある時、ジョブズ氏が出社すると自室のゴミ箱の中身が捨てられておらず、そのことを掃除夫に問いただしたそうです。すると掃除夫は「鍵が付け替えられていたため、捨てられませんでした」と言い訳をしたのだとか。その時のエピソードから、ジョブズ氏はこれからVP(ヴァイス・プレジデント)になる人たちに向け、「掃除夫であれば言い訳が通用する。しかし、掃除夫とCEOの間のどこかで、言い訳が通用しなくなるのだ」と述べました。

これはつまり、責任ある立場の人は言い訳などすべきでないということ。言い訳をせずに仕事をすることができないならAppleのリーダーにはなれないと、ジョブズ氏は説いたのです。

チームに貢献する方法04

ジョブズ氏の言葉に学び、 チームに高く貢献するためには自らが仕事の責任を引き受けましょう。Apple流に言うと、 自らがタスクの「DRI」になるということです。

DRIとは、「Directly Responsible Individual」の頭文字を取ったもので、タスクにおける直接的な責任者のこと。Appleでは、チーム内で生まれたそれぞれのタスクについて「DRI」を決めているのだそう。タスクの1つ1つにDRIを決めることで、タスクが流れてしまうことなく確実に遂行されていきます。

例えば、チームで進めているプロジェクトの中で、ある取引先へプロジェクトに関する説明資料を作る必要が出てきたとしましょう。他のメンバーは皆それぞれの仕事を抱えていますから、当然忙しく、たとえ小さなものでも新たな仕事は抱えたくないと思っています。そういう時には、自分がその資料作りというタスクのDRIを買って出てはいかがでしょうか。

もちろん、ジョブズ氏が言うように、一度引き受けたからには「やっぱり忙しくて手が回りませんでした」といったような言い訳はしないように。この積み重ねが、「仕事を責任もって引き受けてくれる」という評価につながるはずですよ。

ただし、自分のやるべき仕事をきちんとコントロールするためには、なんでもかんでも仕事を引き受けてはいけません。人材コンサルタントの能町光香氏によれば、人に頼られるまま仕事を引き受けていると、自分の時間や本来の仕事を犠牲にしてまで相手の事情を優先することになりかねないのだとか。この仕事は引き受けるけれどあの仕事は断る、というように優先順位を決めると良いそうですよ。ぜひ実践してみてください。

チームに貢献する方法05

Amazonに学ぶ:「いかなる決定にもコミットする」

I disagree and commit all the time.

(引用元:Inc.|In Just 3 Words, Amazon’s Jeff Bezos Taught a Brilliant Lesson in Leadership

「同意できない場合でも、決定がなされたなら全力を尽くす」

これは、AmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏の言葉です。ベゾス氏は、 たとえ面倒であっても反対意見に対しては敬意をもって異議を唱えるべきであり、いざ決定したら、それが賛同できない内容であってもコミットするべきだ、と説いています。これは、Amazonが求める人物像を示した「Our Leadership Principles」の中にも、明確に記されていることです。

みなさんは、チームの方針に反対していたにもかかわらずその方針がそのまま決定となった際、いったいどのような態度を取るでしょうか。チームに協力しなかったり、裏で文句ばかりを言ったりしている人はいませんか。しかしそれでは職場の生産性や士気を下げてしまうことにしか繋がりません。

良い仕事をしてチームに貢献するには、個人の感情とチームの状況とをそれぞれ分けて考える必要があります。それでも、どうしても納得できない場合や、決定が倫理的に反していることが明らかな場合には、適切なタイミングを見て問題を再提起すればいいでしょう。

***
世界の先進企業として名高いGoogle、Apple、Amazonの例から、チームの生産性向上に貢献するための働き方が見えてきました。ぜひみなさんも実践して、チームに欠かせない人材になってください。

(参考)
Google re:Work|「効果的なチーム」とは何かを知る
"未来を変える"プロジェクト|Googleの「最高の上司」がチームの生産性を高めるためにしていること
WIRED|APPLE EMPLOYEES TELL THE SECRETS BEHIND STEVE JOBS’ ‘MAGIC’
Googleブックス|スティーブ・ジョブズとアップルのDNA: Think different. なぜ彼らは成功したのか? 書籍のプレビュー
Inc.|In Just 3 Words, Amazon’s Jeff Bezos Taught a Brilliant Lesson in Leadership
Amazon|求める人物像
PHP Online 衆知|余計な仕事を引き受けない!NOと言う技術

【ライタープロフィール】
三島春香
神戸大学経営学部所属。京都市立西京高等学校卒業。海、宇宙、音楽、レモンが好き。旅行も大好き。大学生のうちにいろいろな所へ出かけて見聞を広めたい。

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