テンパるとミスが増える脳科学的理由。挽回できる人は “3つの作戦” をもっている

テンパることへの対処法01

「同時に複数のタスクを抱えると、心に余裕がなくなる」
「急ぎの仕事が突然入ると、混乱してしまってうまく対処できない」

このように、自分の許容量を超えた状況や通常とは異なる状況に直面すると焦ってミスしてしまう人は、決して少なくないはず。今回は、「テンパってミスしてしまう」科学的な理由とその対策を解説しましょう。

テンパるとミスが増える理由

そもそも脳科学的には、「テンパる」とはどういう状態なのでしょうか。精神科医の西多昌規氏によれば、精神的に余裕がなくなると、私たちの脳は緊張状態に陥ってしまうとのこと。緊張時に分泌される「ノルアドレナリン」などの神経伝達物質が脳へ過剰に働きかけることで、思考がフリーズしてしまうそうです。

「ノルアドレナリン」には、脳内の短期記憶機能をつかさどるワーキングメモリを鈍らせる働きがあります。そのため脳内の情報処理がうまくいかず、「言われたことが頭に入らない」といった状況を引き起こしてしまうのだとか。つまり、「テンパる」ことによって、結果的にミスをしやすい脳の状態になってしまうのです。

また、睡眠不足やストレスによる前頭葉の疲労も、「テンパる」要因になりえます。前頭葉は感情のコントロールに加えて論理的思考や判断をつかさどる器官であるため、前頭葉がうまく働かなければ仕事でのミスに直結してしまうのです。

テンパることへの対処法02

テンパったときの対処法

「テンパって何も考えられない」という状態に陥ってしまったときは、どうすればよいのでしょうか。具体的な方法を3つご紹介します。

【対処法1】落ち着いて深呼吸する

テンパっているときは浅い呼吸になりやすく、身体・精神ともに緊張状態にあります。これは、交感神経が副交感神経よりも優位に働いている証拠。

精神福祉士の大美賀直子氏は、「深呼吸」は、自分の意思で自律神経のバランスを調整できる貴重な手段だと言います。意識的に息を深く吐くよう心がけることで、副交感神経の働きを高め、自律神経のバランスを整えられるのです。

「深呼吸」をすれば、頭のなかが徐々に整理されていき、物事をすっきりと考えられるようになるはず。まずは呼吸という身近なところから、「テンパる」状態にうまく対処していきましょう。

【対処法2】人にサポートしてもらう

テンパってしまったときは、無理に自分で何とかしようと焦るのではなく、素直に周囲の人へ助けを求めることも重要です。

前述の西多氏は著書『テンパらない技術』のなかで、「テンパっているときには、他人からのサポート、もしくは他人から好意的な眼差しで見守られることが大切である」と伝えています。そして、サポートを得るためには「愛されキャラ」になることがポイントなのだそう。

この「愛されキャラ」になるには、普段から笑顔をつくり、愛想よく振る舞っていることが重要です。たしかに、常に無表情でいたり仏頂面でいたりすると、周囲の人から好かれるのは期待できませんよね。

また、「焦って早とちりしがちだ」「細かい見落としが多くなりがちだ」など、自分の弱みをあえてさらけ出してみましょう。そうすると、周囲の人は「何かしてあげたい」という気持ちになり親近感を抱くそう。どうすればいいかわからない仕事を直接手伝ってもらう以外にも、テンパっている自分を励ましてもらって落ち着きを取り戻すことができるでしょう。

「自分はテンパりやすい」と感じている方は、周囲の人からサポートを得られるよう、「愛想よく振る舞う」「弱みをさらけ出す」の2点に注目してみてください。

テンパることへの対処法03

【対処法3】テンパりやすい状況をリストアップする

一番の理想は、「テンパらない人間」でいることですよね。そのためには、いつもならテンパってしまう状況にも対応できる状態にしておく必要があります。

そこで西多氏は、「自分がテンパりやすい状況を過去の経験からリストアップする」ことをおすすめしています。ノートとペンを用意して、たとえば以下のように箇条書きで「テンパりやすい状況」をリストアップしていきましょう。

  • 上司に仕事の進捗を聞かれたとき
  • 同時に複数の人から仕事を頼まれたとき
  • ミスをしてしまったことにあとで気づいたとき

リストアップが終わったら、次に、それぞれの状況に対応する解決策を準備して書いておきます。

  • 上司に仕事の進捗を聞かれたとき
    →すでに終わらせたタスクをまず伝え、そのあと、いま取りかかっている作業内容について知らせる
  • 同時に複数の人から仕事を頼まれたとき
    →頼んできた人へ重要度や目安となる期限を聞いておき、優先順位をつけてから仕事に取りかかる
  • ミスをしてしまったことにあとで気づいたとき
    →してしまったミスを再度確認し、担当の上司に状況をすぐ報告する

このように、自分なりのルールを明記しマニュアル化しておくことで、いざというときにもテンパることなく、落ち着いて対応することができるようになるはずです。

***
一度テンパると、私たちはミスを次々と誘発してしまいがち。どんな仕事でもテンパることなく、冷静に対処できるよう対策していきましょう!

(参考)
THE21オンライン|どんなに仕事が多くても「テンパらない」技術
Panasonic|深呼吸で気分をコントロール。ストレスと上手に付き合う呼吸法
西多昌規(2012), 『「テンパらない」技術』, PHP文庫

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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