東大生のノートは常に “これ” が意識されている。本当に成果が出る「勉強ノート」のとり方

学習効果が爆上がりする東大生のノート01

「復習の際に授業ノートを見返しても、結局どこが大事なのかさっぱりわからない」
「授業中にメモをとるとき、どう書けばあとで役立てられるのだろう」

勉強には欠かせない「ノート」ですが、ただなんとなく書いているだけで、うまく活用できていない……という方は少なくないでしょう。そこで、この記事では「東大生のノート」に焦点を当て、学習効果が爆上がりするノートづくりのコツや工夫を紹介していきます。

1. 試験に出るポイントは「赤・オレンジ」で書く

東大生は「アウトプット」のためにノートをとっている――そう断言するのは、働きながら勉強を重ねて東京大学理科三類に合格した、『東大生のノートから学ぶ天才の思考回路をコピーする方法』の著者片山湧斗氏です。

片山氏は、100人以上の東大生による受験生時代のノートを調査。その結果、彼らは「アウトプット」つまり「学んだ知識を試験時に確実に思い出すこと」を目的にノートを書いている、ということがわかったそう。多くの人がしがちな、「インプット」つまり「授業の内容をあとで振り返ること」だけを目的としたノートをとるわけではないのだと言います。

片山氏いわく、アウトプット目的のノートをつくるコツは、「試験で出題されるポイントを意識しながらノートをとる」こと。「試験ではこんなふうに出題されそうだ」「試験に出たら確実に答えられるようにしよう」と考えながら、ノートを書くのです。

その方法のひとつとして片山氏が挙げるのが、赤色やオレンジ色のペンを使うというもの。たとえば日本史の授業でノートをとる場合、人名や年号、歴史上の出来事の名称など、試験で特に出題されそうな知識を赤やオレンジで書きます。そうすれば、暗記できたかどうかを赤いシートで隠して確認するのに便利。また、覚えられていなかった部分にはチェックマークで印をつけておくと、再度の復習に役立つとのこと。

上記のポイントを意識して、筆者が作成した日本史ノートの例がこちらです。

学習効果が爆上がりする東大生のノート02

特に出題されそうな年号や出来事は赤で書き、何度か復習してもまだ覚えられていないところには青色でチェックマークをつけています。たしかに、ただインプットのためだけにノートをとっていたときよりも、試験に出題される本当に覚えるべき大事な情報を重点的に勉強することができました。

学習効果が爆上がりする東大生のノート03

2. 「言い換え」「ロジック」「とっかかり」で再現性を高める

東大生の勉強法に関する著書の多い西岡壱誠氏も、片山氏と同じく、東大生はアウトプットを意識してノートをとっていると分析します。

西岡氏の言うアウトプットとは「再現性」のこと。東大生100人以上に西岡氏がアンケートをとったところ、彼らがノートをとる目的として最多だったのが、この再現性だそう。東大生の多くは、授業で教えられた内容や本を読んで得た情報を、あとから自分で説明できるようなノートをとっているのです。こうしたノートのとり方は、記憶定着や成績アップに確実に貢献するとのこと。

再現性が高いノートをとるテクニックとして西岡氏が紹介しているのは、以下の3つです。

  • 言い換える
  • ロジックを残す
  • とっかかりをつくる

「言い換える」とは、情報をかみ砕き、ひとことでまとめ直すこと。授業で先生が言ったことや板書の内容について「結局何が重要なのか」「要するに何が言いたかったのか」を自分の言葉に変換し、ノートに書く作業です。たとえば先生が、小論文の書き方について多くの具体例を出しながら説明していた場合、数々の例を通して先生が言いたかった要点とはなんなのかを考えて抽出し、「結論を先に述べる」などとメモしておけば、先生が話していた具体例をずらずらと書くよりも理解や納得感が深まります。

「ロジックを残す」とは、物事の原因と結果をノート上に整理すること。情報が圧倒的に頭へ入りやすくなるそうです。東大生は、西岡氏による以下の例のように、因果関係を整理するのに矢印「→」をよく使うのだとか。

1873年イギリス不況→植民地を欲する
→1874年 第2次ディズレーリ保守党内閣が成立
→1875年 スエズ運河の買収を行う
→1876年 ヴィクトリア女王がインド帝国皇帝に推戴
→1877年 ヴィクトリア女王がインド帝国皇帝に正式に就任

(引用元:東洋経済オンライン|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた

そして最後の「とっかかりをつくる」とは、感情が動いた話をメモすること。授業内容とは直接関係がなくても、おもしろいと感じた先生の小話などをノートにメモすれば、そのときの感情がとっかかりとなり、学習内容をよりよく覚えることができるそうです。自分の感情や意思が入った情報ほど脳に残りやすいことが脳科学的にも証明されているそうですよ。

これら3つのポイントを参考にして、筆者が実際に作成した世界史のノートが以下のとおり。

学習効果が爆上がりする東大生のノート06

内容をひとことで言い換えたところは青で書き、さらに丸で囲みました。原因と結果は矢印でつなぎ、因果関係を明示。印象に残った小話などは吹き出しの形でメモしたところ、勉強した内容を説明できるレベルにまで思い出しやすくなりました。

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3.「7つの法則」に沿ってノートをつくる

『東大合格生のノートはかならず美しい』の著者で、東大生のノートを200冊以上見てきた太田あや氏も、やはり東大生は受け身ではなくアウトプットを見据えてノートをとっていると分析し、次のように述べています。

彼らのノートは、ただ黒板を写すとか、先生に言われたことを書くというような「受け身のノート」ではなかった。授業ノートであれば、板書の内容に加えて先生のコメントや自分の疑問、「これは後でもう少し調べよう」「ここはテストに出そう」というようなことなど、いろいろな要素が互いに関連を持ちながら書き加えられていたのです。

(引用元:STUDY HACKER|「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。

太田氏いわく、東大生のノートは目的が明確で、効率を重視したものになっているとのこと。そんな彼らのノートの共通点として、太田氏は7つの法則を見いだしたそう。

  1. 文頭をそろえる:大見出しは左端から書き、小見出しは左端から1〜3マス分空けて書く
  2. コピーを活用する:書き写す必要がない問題文などは、コピーをとってノートに貼る
  3. 余白を大きくとる:文字をノートの隅から隅までむやみに書き込まない
  4. インデックスをつける:ページの左上に単元名・科目名などタイトルを書く
  5. ページごとに内容を区切る:片ページか見開き1ページごとに、ひとつの内容・事柄をまとめる
  6. フォーマットを統一する:自分なりのルールに沿ってノートをとる
  7. 丁寧に書く:筆圧は一定に、同じテンションで書く

なかには、片山氏や西岡氏が紹介する点に通じるものも。たとえば、6つめ「フォーマットを統一する」方法の一例が、片山氏の言う「赤・オレンジのペンの活用」だと言えそうです。

さらに、東大生のノートでは、ページのなかで言葉同士がストーリーとしてつながりまとまっていると太田氏。この点は、西岡氏の言う「ロジック」に当てはまりますね。

筆者もこれらのポイントを意識しながら、法律学の授業ノートを実際に書いてみました。それが以下の画像です。文頭をそろえ、余白をとりつつ区切りを意識してメモをとっています。

学習効果が爆上がりする東大生のノート04

実践してみると、7つの法則を意識したノートは復習に便利でした。ページにタイトルをつけたことでどこに何が書いてあるのかがわかりやすくなりましたし、余白は復習時に新しく気づいたことを書き込むのに最適でした。

また、西岡氏が紹介していた「ロジック」を明示し、「重要ポイントは赤丸で囲む」などフォーマットの統一も実践したところ、ストーリーが把握しやすくなりました。さらに、筆圧や文字の大きさをそろえたことで見た目も美しくなり、何度も読み返したくなるノートをつくることができたのです。

あなた自身はなんのためにノートを書きますか? それを考えたうえで、7つの法則のうち1つでも2つでも意識すれば、いままでより役に立つノートが書けるはずです。

***
東大生のノートのとり方にはさまざまな工夫が施されていることがわかりましたね。あなたのノートにもこれらの工夫を取り入れれば、学習効率アップが期待できるに違いありません。

(参考)
東洋経済オンライン|ノートの使い方が全然違う「東大生」凄い思考術
東洋経済オンライン|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた
ダイヤモンド・オンライン|「東大生のノートは美しい」はウソ!? 「矢印を活用する」東大式ノート術とは?
STUDY HACKER|「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。
文藝春秋|『東大合格生のノートはかならず美しい』特設サイト
太田あや(2008),『東大合格生のノートはかならず美しい』, 文藝春秋.

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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