長期休暇明けに切り替えがうまくいかず、仕事のギアが入らなかった経験はありませんか?
長く続いたリラックスモードから、緊張感を取り戻すのは難しいですよね。しかし、休暇は心身のリフレッシュに欠かせません。そこで今回は、長期休暇明けのスムーズな仕事モードへの切り替え方を紹介します。
【ライタープロフィール】
Shinya
大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。
自律神経スタンバイ:出勤前日
たとえば温泉旅行に行ったり、カフェで友人と過ごしたり、一日中ソファやベッドでごろごろしたりなど――休暇中は誰もが好き好きにくつろいで過ごしますよね。しかし、そうやってたっぷり休むほど、休暇明けの活動が鈍くなってしまいます。なぜでしょうか?
日本産業カウンセラー協会中国支部 支部長の尾崎秀人氏(当時は事業推進部部長)によると、休暇明けのだるさは、自律神経の乱れが影響しているそうです。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、活動時には前者が、リラックス時は後者が活発になるとのこと。休暇中は副交感神経が優位になることから、長く休むと元に戻しにくくなるそうです。
そのため、精神科医で広島大学 保健管理センター教授の岡本百合氏は、「休み明けの前は通常の生活リズムに近づけましょう」と呼びかけています(参考およびカギカッコ内引用元:中国新聞デジタル|連休明け 本調子に戻すこつや注意点は) 。
とすれば、長いお休み明けの前日には、あえて勤務日と同じ時間に起きて活動的に過ごし、交感神経を働かせておくといいかもしれません。早起きしてカフェのモーニングセットを食べに行ったり、ウォーキングをしたりするのもいいでしょう。
休みの日に午前中から活動するなんて……という方は、少しだけ早起きして朝日を浴びたり、コーヒーなどでカフェインをとったりするだけでもいいかもしれません。
心臓クリニック藤沢六会の院長 磯田晋氏によれば、「カフェインは朝日を浴びるように自律神経を興奮させますので、これから仕事というときにはふさわしい」とのこと(カギカッコ内引用元:心臓クリニック藤沢六会|自律神経を整える 1. 生活習慣)。
仕事気分を演出して自律神経をスタンバイしても、実際にはまだ丸1日休みなので、それほど負担にはならないのではないでしょうか。
ただし、自律神経が敏感だとコーヒー好きでもカフェインで脈が乱れることがあるそうです。自覚がある方は摂取を控えめにするか、朝日だけにしておきましょう(参考元:同上)。
背筋を伸ばす:出勤当日
では、仕事モードに切り替えるために、休み明け当日の朝にできることはなんでしょう? 前項でも挙げましたが、筆者の場合は朝日を浴びたり、カフェインをとったりすることがあります。
あるいは視線を上げて、姿勢をよくするだけでもいいかもしれません。前出の尾崎氏は「休み明けの日に気持ちを高める過ごし方の工夫」として、姿勢をよくすることを提案しています。「気持ちと姿勢はつながっているので、背筋を伸ばすだけでも気分が軽くなります」とのこと。
この言葉を受け、中国新聞記者の鈴木大介氏は、通勤時に目にする住宅の2階あたりに目線を置くといった、実践しやすいアイデアを挙げています(参考およびカギカッコ内引用元:前出の「中国新聞デジタル」記事)。
簡単な方法なので筆者も試してみたら、たしかに背筋が伸びて、気持ちも少し軽くなりました。下を向いてスマートフォンを眺めている時間が長いので、特に効果を感じたのかもしれません。これは長期休暇明けに限らず、普段の生活から取り入れてもいいのではないでしょうか。
背筋を伸ばして気分を高める方法を、もうひとつ紹介しましょう。メンタルコーチの大平朝子氏が、連休明けに効くルーティンとして紹介している方法、その名も「3秒なりきり自動改札」です。
大平氏によれば、まず理想の人を頭に思い浮かべて自動改札を通り、
「ピッ」と鳴る瞬間に、その理想の人になりきって胸を大きく開き、さっそうと歩く
のだとか。大平氏によれば、
胸を開いた状態というのは,心の状態が上向き、すなわち物事がうまくいっていることの表れです。だから、胸を開くだけでも、いい気分に切り替えられます。
(参考およびカギカッコ内含む引用元:日経xwoman|連休明け仕事行きたくない…に効く 2つのルーティン)
とのことです。ピッという音がトリガーになるのでしょうか。
筆者も実践してみたところ、想像以上によく効きました。姿勢をよくするだけでなく、理想の人をイメージすることが、モチベーションアップにつながったのかもしれません。電車通勤の方にはピッタリですね。
スタートはゆるやかに:会社到着
最後は、長期休暇を終えたあとの、会社に出勤してからの行動です。普通に考えても、休み明け直後の全力投球は負担が大きいはず。ゆるやかにギアを上げていくのが最適かもしれません。
教育学博士のダリン・ラウエル氏と、ペンシルバニア大学教育大学院 シニアフェローのカンディ・ウィーンズ氏も、リエントリーショックを防ぐ・和らげるためにはゆとりが必要だと伝えています。
リエントリーショックとは「平穏で安定した状態から、疲弊し消耗するような状態に移行する時に感じる混乱」のこと。つまり、一気にギアを上げた際のパニックです。そうしたことから「休み明けはスケジュールを軽めにし、環境に再び順応する機会を設けてオーバーワークを避ける」といいそうです。
たとえば重要な商談や会議を入れない、メールがたくさん届いていても、焦らずにひとつひとつこなすようにするなど、じわじわとギアを上げていくことがポイントになるでしょう(参考およびカギカッコ内引用元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|休暇明けにオーバーワークをしてはいけない)。
筆者も休み明けは、こうしてじわじわと仕事モードに移っていくほうが好みです。よろしければ、みなさまもお試しくださいね。
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まとめると、長期休暇明けのスムーズな仕事モードへの切り替え方はこうです。
- 前日は活動的に
- 当日は姿勢よく
- 会社に着いたら緩やかモード
この試行でみなさまが、休み明けにいい状態で仕事をスタートできたら嬉しいです。
中国新聞デジタル|連休明け 本調子に戻すこつや注意点は
心臓クリニック藤沢六会|自律神経を整える 1. 生活習慣
日経xwoman|連休明け仕事行きたくない…に効く 2つのルーティン
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|休暇明けにオーバーワークをしてはいけない