上司から「段取りをもっと考えろ」と言われた……。どうしたら段取りよく仕事ができるのか知りたい。
仕事の速い人は行動経済学を学んでいるらしい……。でも行動経済学ってなんだろう?
仕事のパフォーマンスを上げたい。要領よく仕事を進めたい——このように悩んではいませんか? やさしいビジネススクール学長の中川功一氏は、行動経済学についてこう述べています。
人が経済的な活動の中で見せる独特の心理を知れば、マネジメントも、マーケティングも、意思決定も、もっと上手にできるようになる。
(引用元:やさしいビジネススクール|行動経済学(中川功一・やさしいビジネススクール学長))
本記事では、行動経済学を取り入れて仕事のパフォーマンスを上げる方法を自分自身のマネジメントの部分に焦点をあててご紹介します。
【ライタープロフィール】
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。
行動経済学は経済学と心理学が融合した学問
コトバンクによると「行動経済学は経済学と心理学が融合した経済学の新領域」とのこと。(カッコ内引用:コトバンク|行動経済学)
経済学は合理的なものですが、人は自分の利益のためだけに動くわけではなく、非合理な行動をすることがありますよね。その理由は、人間の「心理」が働くから。
たとえば、スーパーマーケットで買い物をする際、合理的な経済行動をするなら、最も安い商品を選ぶはずです。しかし、実際には「期間限定」といった表示に惹かれて、本当に必要かどうか考えずに購入してしまうこともありますよね。1個100円の商品と3個で250円の同じ商品があった場合、「3つも食べる気分じゃないな」と割高の単品商品を買うこともあるでしょう。
このような “合理的” な経済学と “人間の非合理な側面も説明する” 心理学を合わせた学問が、行動経済学なのです。
では、この行動経済学を取り入れて仕事のパフォーマンスを上げるにはどうすればいいのでしょうか。前出の中川氏はSTUDY HACKERのインタビューで、行動経済学は「自己のモチベーション管理への活用」に役立つと述べています。
自分はどのようなシーンでどのような行動をすれば、いわゆるゾーンに入れるのかというのを知っておけば、意図的にモチベーションを上げられます。
(カギカッコ内および上記引用元:STUDY HACKER|仕事ができる人は自然と使いこなしている「行動経済学」の基本。“ある工夫” で仕事が速くなる! )
京都芸術大学文明哲学研究所教授によると、ゾーンとは、「なにかに夢中になっているときのこころの状態」である「フロー」の「なかでもとくに集中の強い状態」。(カギカッコ内引用元:WEBアステイオン|「ゾーンに入る」──アスリートの「ゾーン」と心理学の「フロー」の共通点とは?)
何かに没頭して最高のパフォーマンスを発揮できた、“ゾーンに入った経験” がある方もいるのではないでしょうか。意識的にゾーンに入ることができれば、格段に仕事のパフォーマンスは上がるはずですよね。
段取りがいい人は「ゲーミフィケーション」を取り入れている
ここまでご説明したように、行動経済学は、仕事へのモチベーションの管理やパフォーマンスの向上に役立ちます。具体的な方法としておすすめなのが、行動経済学を応用した「ゲーミフィケーション」を仕事に取り入れることです。
前出の中川氏いわく、「ゲーミフィケーション」とは、「仕事にゲームの要素をとり入れるもので、タスクをなるべくプレイ、つまり遊びにする」もの。(カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|仕事ができる人は自然と使いこなしている「行動経済学」の基本。“ある工夫” で仕事が速くなる! )
楽しさや競争心などを利用し、意欲やモチベーションを向上させるのです。つまり、仕事のタスクを「遊び」にしてしまえばいいのですね。
たとえば……
- ポイント制で業務達成度を可視化させる
- チーム対抗で目標達成に向けて競争する
- 時間制限のミッションを設ける
- プログレッションバーで進行状況を視覚化させる
このように、日々の仕事のタスクにゲーム要素を取り入れると、楽しさを感じ、モチベーションが上がりやすくなるのです。精神科医の樺沢紫苑氏も、『「楽しい」はアクセル』と説いています。
「楽しい!」と思って仕事に取り組む人は、(中略)ドーパミンの魔法によって、スーパーマンのように効率的に働き、圧倒的な結果を出します。
(二重カッコおよび上記引用元:プレジデントオンライン|「仕事ができる人ほどよく遊び、できない人ほど残業する」精神科医が解説する納得の理由)
合理的に考えれば、仕事を速く終わらせるにはスピードを速くすればいいはず。しかし、分かっていてもなかなか行動に移せないのが私たち人間ですよね。そんなときに楽しむ要素を入れながら仕事をすれば、スピードも速くなり、生産性を高められるのです。
実際に筆者もゲーミフィケーションを取り入れてみた
筆者は仕事においてタスクが溜まっていく状況に焦っています。今回は、前出の中川氏のすすめる以下のタスク管理の方法を実践してみることにしました。
- 「タスクを「ToDo(作業前)」「In Progress(作業中)」「Done(完了)」の3つに分けて管理します。」
- 「作業に手をつけたらそのタスクを「ToDo」から「In Progress」に、作業を終えたら「Done」に移動させます。」
(カッコ内引用元:STUDY HACKER|仕事ができる人は自然と使いこなしている「行動経済学」の基本。“ある工夫” で仕事が速くなる! )
表を作成し、可視化することで「Done(完了)」に付箋を移動させることが明確なゴールになり、モチベーションが高まるのを感じました。「早くタスクを終わらせて付箋をDoneに持っていきたい!」という気持ちになり、サクサク作業が進みましたよ。
進捗状況が一目でわかるので「いまのペースでは今日中に終わらない」と時間の配分にも気を回せるようになったのもよかった点。実践してみて、要領よく作業できているのを実感しました。実践方法がシンプルで、いますぐ試せるメソッドなのでおすすめですよ!
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段取りがいい人が取り入れている「行動経済学」。本記事でご紹介した「ゲーミフィケーション」をぜひ試してみてくださいね。
やさしいビジネススクール|行動経済学(中川功一・やさしいビジネススクール学長)
コトバンク|行動経済学
STUDY HACKER|仕事ができる人は自然と使いこなしている「行動経済学」の基本。“ある工夫” で仕事が速くなる!
WEBアステイオン|「ゾーンに入る」──アスリートの「ゾーン」と心理学の「フロー」の共通点とは?
プレジデントオンライン|「仕事ができる人ほどよく遊び、できない人ほど残業する」精神科医が解説する納得の理由