プレッシャーを”有効活用”せよ! うまくいく人のプレッシャーとの付き合い方。

プレッシャーを楽しんでいる様子のビジネスパーソン

「締め切りが迫っているのに、何から手をつけていいのかわからない」
「やることが山積みなのに、気が散ったままどんどん時間が過ぎていく」

こんなふうに、プレッシャーが原因で仕事が進まないことってありますよね。しかし、プレッシャーはうまく利用することで、仕事の効率を大幅に向上させることができます。

本記事では「いいプレッシャー」と「悪いプレッシャー」の違いに注目し、どうすればいいプレッシャーを味方にして、仕事の効率を上げられるか詳しく解説します。

完璧主義は「悪いプレッシャー」

仕事をいつも完璧にこなしてくれる人ほど、頼もしい人はいません。仕事の質が高く責任感もあるので、信頼されることが多いでしょう。

しかし、自分の限界を超えてまで他者の期待に “完璧” に応えようとすると、体調を崩してしまう可能性があります。かえってまわりに迷惑をかけてしまうことだってあるでしょう。つまり、このような完璧主義は悪いプレッシャーのひとつなのです。

メンタルコーチの大平朝子氏は、こうした状況にアドラー心理学の「課題の分離」をすすめています。課題の分離とは、相手にしかコントロールできないことと、自分にしかコントロールできないことの境界線を引き、自分ができることに集中するための発想です。

頑張る人ほど周囲の期待と、自分のキャパシティのギャップに気づかず(あるいは無視して)無理をしてしまうもの。この発想が大いに役立つのではないでしょうか。*1

じつは筆者も以前、頑張りすぎて体調を壊してしまった経験があります。入社したての会社の上司の期待に、完璧に応えようとしてしまったからです。

他者と自分を分けて考え、折り合いをつけながら仕事をするのは、社会人経験が浅いほど難しいかもしれません。しかし、常にこうした意識をもつようになれば、少しずつ慣れてくるはずです。

あるいは、周囲の先輩に課題の分離が上手な人がいたら、少しずつまねてみるのもいいかもしれませんね。

「課題の分離」を実現している素敵な先輩

失敗ばかり想定するのは「悪いプレッシャー」

「もしもこうなってしまったら」と、さまざまな状況を想定しておくことは、仕事を成功させるためにも必要でしょう。だからといって過度に失敗を恐れてしまえば、今度は仕事が前に進まなくなってしまいます。つまり、失敗ばかり想定するのは悪いプレッシャーなのです。

では、どうすれば難しい仕事であっても失敗を恐れずに、前に進めることができるのでしょうか?

グロービス経営大学院副学長の田久保善彦氏は、自分はできると考える自己効力感が、チャレンジの第一歩を後押しすると説きます。そして、その自己効力感を育むのが「小さい成功体験の積み重ね」なのだとか。

小さなことでも挑戦できそうなものから始めたり、長期戦の場合は合間に小さなゴールをたくさん設けたりするといいとのこと。*2

つまり、まずは目の前の小さな物事を達成し、それを積み重ねて自信をつけていくわけです。そうすれば、過度に失敗を恐れず前に進めるようになるはず。

たとえば書く仕事なら、まずは書いてみる。作業が必要なら、まずは道具を箱から出してみる。何かプロジェクトを動かす仕事なら、まずは構想を練ったり、仲間とコミュ二ケーションを取ったりしてみる、といった具合です。

どんな仕事にも最初のステップがあるはず。それを着実に踏むことで、進んでいる実感を得られるでしょう。そうすれば自信がついてくるはずです。また、思い悩まずにまずは進めてみることで、不要な想定を省くことができ、時間短縮につながる可能性があります。

前に進めないと感じるときには、ぜひ目の前の小さなゴールに意識を向けてみてくださいね。

スモールステップで、小さな達成を積み重ねているビジネスパーソン

次項からは、最強の友となる「いいプレッシャー」を紹介していきます。

仕事の意義を与えることで「いいプレッシャー」になる

どんなに大変でも、たとえば人に喜んでもらえたり、人命を救ったり、子供たちの未来につながったりなど、仕事に価値や重要な意味を感じると、やる気が湧いてきますよね。つまり、仕事に意義を感じることができれば、いいプレッシャーになるわけです。

それを裏づける2013年の研究もあるので紹介しておきましょう。

研究者らは2500人の被験者に、医療用画像のラベルつけ作業を依頼しました。被験者は3つのグループに分けられ、1のグループには医療研究者を助けるため腫瘍細胞にラベルをつけていると伝え、2のグループには作業の目的を伝えず、3のグループには作業の目的を伝えないうえに、作業が破棄されると伝えました。

結果、1のグループは作業の質には大きな変化がなかったものの、作業量が増えました。一方、3のグループは量に変化がなかったものの、作業の質は低下していました。*3

つまり――

たとえば料理を振る舞うことに意義を感じているレストランAは、提供する料理の数が増えても味の質が変わらない。その一方で、料理を振る舞うことに意義を感じていないレストランBは、提供する料理の数は変わらないけれど、味が落ちてしまう――こんなふうに考えられるわけです。

人は、物事に意義を感じるとモチベーションが高まり、力を発揮できるということです。

時には仕事に追われ、“やる意味” を見失ってしまうことだってあるでしょう。しかし、そんな状態でいいことはありません。「自分の仕事は世のなかでどう役に立っているのか?」と、自分自身に仕事の意義を問い直してみてはいかがでしょう。

何かに気づけばモチベーションが上がり、いまよりも楽に仕事でパフォーマンスを発揮できるようになるかもしれません。あるいは、そのときに気づけなくても、意義を見つけようとする意識が高まるかもしれません。

ぜひ一度お試しくださいね。

自分の仕事がどう役に立っているのか自問するビジネスパーソン

利点に注目することで「いいプレッシャー」になる

昨日まで嫌いだった人や物事が、翌日からさほどイヤではなくなった、なんて経験はありませんか?

たとえば、長い通勤時間にストレスを感じていたのに、意外と勉強がはかどるなと、思い始めるような変化です。あるいはイヤな上司のいい面を知ったら、それほど嫌いじゃなくなったという変化もあるでしょう。それを実証する米国の研究もあります。

2013年、研究者らは金融機関の従業員計388名を3つのグループに分けた。1のグループには、ストレスが免疫力・創造性・仕事のパフォーマンスを向上させる内容のビデオを見せた。2のグループには、ストレスは有害で、病気や仕事のミスを引き起こすという内容のビデオを見せた。3のグループには何も見せなかった。

結果、1のグループは1週間後もストレスに対して肯定的なイメージを持っていた。また、ストレスに対して生理的にうまく対処するようになっていた(いわゆるストレス耐性がついていた)。*4

この結果をふまえると、普段の仕事でも「このストレス要素を肯定的にとらえられないか?」と、自問することが有効だと考えられます。

職場のイヤな上司や、同僚のよくない振る舞いを反面教師にして、彼らから受けるストレスも学習材料になると考えてしまうのもいいでしょう。つまり、ネガティブな要素の利点に注目するわけです。

ただし、なんでもポジティブに活用しようとすると、抱え込めない量のストレスを受けることになりかねませんので、適度に実践することを心掛けてくださいね。

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以上、悪いプレッシャーといいプレッシャーをふたつずつ紹介しました。今回の記事をきっかけに、仕事のやる気が心地よく自然に出るようになれば幸いです。

【ライタープロフィール】
Shinya

大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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