リーダーあるいは上司として、部下を育成する立場にいるみなさん。「部下が指示待ち人間で、自発的に動いてくれない……」と困ってはいませんか?
こちらが指示を出しさえすればきちんと動いてくれる――指示待ち人間には、たしかにこういう側面もあるでしょう。とはいえ、自ら率先して考えたり行動したりしようとせず、仕事に向かう姿勢がいつも受身なのは考えもの。チームのためにも、彼らの将来のためにも、「自分できちんと考えて動ける人」に育てていきたいですよね。
そこで今回は、指示待ち人間を変えていく方法をご紹介します。
彼らが「指示待ち人間」になった本当の原因
仕事の要領をまだつかめていない新人であれば、上司の指示を待って動くのはまったく問題ないでしょう。しかし、新人をとうに卒業したにもかかわらず、依然として指示待ち状態から抜け出せないような人も少なくありません。いったいなぜなのでしょうか。考えられる原因は主に2つあります。
【原因1】上司がいちいち細かく指示をしている
『ケンタッキー流 部下の動かし方』の著者で、日本KFCホールディングス株式会社在籍時には人財育成コーチとして5,000人以上を育ててきた森泰造氏は、部下が指示待ちになる原因として、上司の「指示の出しすぎ」を指摘しています。
事あるごとに上司がいちいち細かく指示をしてくる――そういう環境に身を置き続けると、部下のなかには「上司が次の指示を出してくれるだろう」「言われたことだけをこなしていればいいのだろう」という安心が生まれます。結果、部下は自発的に考えることをやめ、上司の指示に依存してしまうようになるのです。
もちろんこれは、部下が以前いた会社やチームの上司に原因があるという可能性も考えられますね。過去の指示依存の癖が抜けきらず、いまに続いてしまっているということです。
【原因2】「自分で考えて行動してもロクなことがない」と思っている
また、一度は指示待ち人間から脱却しようと行動に移したものの、そこでの失敗が原因で指示待ち人間に戻ってしまうパターンもあるようです。『自分の頭で考えて動く部下の育て方』の著者である篠原信氏は、次のように分析しています。
(前略)多分、「指示待ち人間」は自分の頭で考えられないのではない。自分の頭で考えて行動したことが、上司の気に入らない結果になって叱られることがあんまり多いものだから、全部指示してもらうことに決めただけなのだ。叱られないようにするための防衛本能なのだろう。
(引用元:東洋経済オンライン|「指示待ち人間」はなぜ生まれてしまうのか ※太字は筆者が施した)
自発的な行動が望ましいということは、きっと本人も理解しているのでしょう。しかし、自発的な行動が原因で上司に怒られるという不幸な出来事を経験してしまったがゆえに、自発性を引っ込めて指示を待つようになったというわけですね。
指示待ち人間を変えていくには、どうすればいいのでしょうか。具体的な方法を3つ紹介します。
1.「どうしたらいいと思う?」と聞く
まずは “指示のしすぎ” という慣習を改めていきます。部下に指示を出したくなっても、部下から次の指示を仰がれても、少し我慢。「どうしたらいいと思う?」というフレーズを部下に投げかけ、部下自身の頭で考えさせましょう。前出の篠原氏もよく使うとのこと。
たとえば、部下が担当するプロジェクトの進行が遅れ気味で、1週間後に迫る納期に間に合わない可能性が出てきたとしましょう。部下から「どうしましょう?」と尋ねられました。そんなとき、すぐに指示を出すのではなく、「どうしたら間に合わせられると思う?」と反問してみてください。
考えることに慣れていない部下は、初めは戸惑うかもしれません。それでも、せいいっぱい考えて「社内に応援を要請して一時的に増員するのはどうでしょう?」「残タスクをあらためて整理して、削れるものがないか探してみます」などと自分なりの意見を述べてくれるでしょう。
こういったコミュニケーションを繰り返していると、部下は「指示を待つ(仰ぐ)だけじゃダメなんだ」と学習します。しだいに、提案をともなう能動的な姿勢に変わっていくことでしょう。
2. こちらの考えを伝え続ける
部下が自分の頭である程度考えられるようになっても、それが上司であるあなたの考えとズレてしまっては惜しいですよね。とはいえ、最初のうちはズレてしまうのも仕方がないこと。篠原氏によれば、こちらの考えを伝えて軌道修正を促すことが大事なのだそう。
たとえば先ほどの例で、部下が「納期を後ろにずらせないか交渉してみる」という意見を述べたとしましょう。しかし、あなたは「納期の後ろ倒しは絶対NG」と考えています。
そんなときは、「たしかにそれも選択肢のひとつだね。でも会社の信頼に関わるから、納期はずらすべきではないと思う」などと諭し、別の意見を促しましょう。部下は、「納期の後ろ倒しはNG」という制約のなかで、ほかの手段を模索し始めます。
こういったやり取りを繰り返すうちに、部下は、上司が何を考えて何を希望しているのかを上手に忖度できるようになっていくでしょう。結果、あなたの考え方とのズレは徐々に解消され、こちらが望むような考えが出てくるようになるというわけです。
3. 失敗を怒りに任せて否定しない
指示待ち人間になってしまう原因として、前半で「自発的な行動をして怒られた不幸な経験」を指摘しました。裏を返せば、せっかく自発的に動いてくれた部下に対して、仮に失敗だったとしても、無下に突き放すような態度をとらないように注意するのが大切だということ。積極性を評価する姿勢は忘れずに、適切に対処しましょう。
たとえば、部下がアポイントなしで顧客を訪問してしまい、先方からお叱りの電話をもらったとします。たしかに部下には、新しい情報を得意先にいち早く届けたいという思いがあったのかもしれませんが……。
そんなとき、「アポイントをとるなんて、社会人として当たり前のことじゃないか!」と怒りのままに叱っても、部下の反発心を生むだけ。「長期的に仕事を依頼してもらうためには、相手との信頼関係が第一。スピードは評価するけれども、アポイントは絶対に忘れないでね」と丁寧に伝えれば、部下はきちんと理解してくれることでしょう。
部下を過度に委縮させないためにも、怒りに任せたコミュニケーションは厳禁。失敗は、丁寧にロジカルに正していきましょう。そうすれば、同じ失敗が繰り返されないのはもちろん、次に似たような状況に遭遇したときにも、部下は自分で正しく判断して動いてくれるはずです。
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部下の指示待ち体質は、上司であるあなたの働きかけで変えていけるかもしれません。お伝えした3つの方法をぜひ実践してみてください。
(参考)
森泰造(2017),『ケンタッキー流 部下の動かし方』, あさ出版.
東洋経済オンライン|「指示待ち人間」はなぜ生まれてしまうのか
【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。