世界最大求人サイト・Indeed社によると、『世界仕事満足度調査』で日本人の仕事満足度は世界35ヵ国中最下位だったのだそうです。今この記事を読んでいる人の中にも、「仕事が楽しくない」「今さら仕事に楽しさを求めていない」という人は多いのではないでしょうか?
一方で、仕事を楽しんでいる人がいるのも事実です。彼らのように仕事を楽しむにはどうすればいいのか、4つのルールを説明します。
1. つらいことだらけの時間にあるわずかな「楽しさ」を原動力にする
学生時代のクラブ活動について質問すると、「つらいことが多かったけれど、今考えると楽しかった」と思い返す社会人も多いのではないでしょうか。雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏は、仕事で得られる楽しさは、上記のような学生時代のクラブ活動で得られる楽しさに似ていると述べます。
運動部を例に挙げた場合、クラブ活動のほとんどは練習時間に費やされます。基礎からみっちり鍛え上げる地道な練習を繰り返す時間は、まさにつらい時間です。練習の成果を出せる試合は「楽しみ」ではありますが、ベンチを温めるだけで終わった、思うようなプレイができなかったとなると、これもまたつらい体験になります。
そうなると、クラブ活動で本当に楽しいと感じられる時間は、試合に出られて結果が出せた場合のみ……という、本当に限られた時間になるのです。
ホンのちょっとしか楽しいことはないけれど、それでも「今考えると、楽しかった」と感じられるところが、実はサークルやクラブ活動と仕事が共通している点なのです。
(引用元:東洋経済オンライン|「仕事が楽しい」の本当の意味を教えよう)
仕事もつらい時間がほとんどで、頑張りが上司に認められたり、社会的な貢献が称えられたりすることは、ほんのわずかに過ぎません。おそらく仕事が楽しい時間は、全体の1割にも満たないでしょう。しかし、仕事が楽しいと思える人は、このほんのわずかな時間を原動力にしています。つまり、「仕事が楽しい人=いつも良い思いをしている人」というわけではないのです。
たまに、ホンのたまにですが、お客さんから感謝されたり、ヒットを飛ばして上司から褒められたりすることもある。こういう、たまにあるうれしいことが「楽しさ」になって、四十数年間も続けられる原動力になっているのです。
(引用元:同上)
2.「自己犠牲」から「自己実現」に考え方を変える
経営コンサルタントの小宮一慶氏は、仕事を楽しくやるには、流されるように働くのではなく、自分からどっぷり浸かることが大切だと述べます。
どっぷり浸かるというと、自分を犠牲にして会社に尽くすというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そうではありません。小宮氏は、会社のため、あるいは周りの人や家族のために働く必要はないと強調します。なぜなら、自己犠牲のもとに働いても長続きしないからです。
「どっぷり浸かる」とは、なりたい自分に近づくために、ひとつひとつの仕事を熱意を持って取り組むことを指します。そもそも、仕事が楽しくない人は努力の方向性が間違えているのだそう。自己犠牲のために労力を割くのではなく、その頑張りを自己実現のために使うように考え方を変えるべきなのです。
努力することが自己犠牲だなんて思うのは間違いです。努力は自己犠牲ではありません。努力を楽しむくらいでないといけないのです。もっと言うと、人より能力を高める努力もせず、人と同じことをやっていて、人より評価されたいなんていう考え方では、一流どころか一人前にもなれません。
(引用元:日経BizGate|仕事は「楽しくやる」もの)
小宮氏が考える自己実現とは、「なれる最高の自分になること」です。個人的な月間目標を立てるといった、今より一歩踏み込んだ仕事との関わり方が、仕事の楽しさに気付くきっかけとなる可能性がありますよ。
3. 言いたいことをきちんと伝え、気持ちのいい人間関係を築く
仕事はひとりでできるものではないので、職場の人間関係は重要です。なかには「仕事内容は好きだけれども、人間関係に悩んでいるせいで楽しめない……」という人もいることでしょう。
アサーティブ・トレーナーの森田汐生氏は、言いたいことをきちんと伝えられない「伝え下手」を解消するだけでも、人間関係のストレスは軽減されると述べます。
「伝え下手な人は、『私さえ我慢すれば』と受け身になって黙り込むか、肩に力が入って相手を責める言い方をしてしまう。どちらも失敗です」
(引用元:NIKKEI STYLE|職場の人間関係が円滑に 嫌みなく伝わる魔法の言葉)
嫌味なく言いたいことを伝えるには、次の点に気をつけるといいのだそう。
- 相手の気持ちを尊重しつつ、自分のこともないがしろにしない。どちらか一方に負担を強いることなく、意見をすり寄せる姿勢を見せる。
- “少し早めに” といった抽象的な表現は避け、数字を用いるなどして具体的に内容を伝える。
- 主語は常に “私” にする。第三者が言っていたことを引き合いにして交渉の材料にしないこと。
伝え方に加えて、どうしても気が合わない人がいる場合は、上手に距離を置くことも大切です。心理カウンセラーの鈴木雅幸氏は、共感できる人との付き合いに重きを置くことが、気持ちのよい人間関係作りに役立つと述べます。
人間関係はどんなときでもつきまとってきます。しがらみなどもあるでしょう。ですから、できるだけ共感できる人との付き合いは大事にして、気持ち良い人間関係のあり方や状態を体に染み込ませるようにしてください。そうすれば、少々苦手な相手ともそれなりに付き合えるようになれるでしょう。
(引用元:プレジデント・オンライン|「きもちいい」人間関係を基準に生きよう)
4. 仕事はロールプレイングゲームと捉える
部下のミスや営業先でのトラブルなど、頻繁に嫌なことが起こるせいで疲労やストレスをためているという人は、仕事をロールプレイングゲームと捉えるのが有効です。人気ロールプレイングゲーム『ドラゴンクエスト』を世に送り出した元エニックス社員のJUNZO氏は次のように述べます。
仕事をドラクエ化すると、仕事嫌いの原因となる不安や不満に対して、『攻略したい!』とプラス思考で考えることができるようになります。
(引用元:まいにちdoda|嫌いな仕事が楽しくなる! 元エニックス社員が語る「仕事ドラクエ化理論」とは?)
仕事上のミスやトラブルは、ゲームの中では「敵」になります。ロールプレイングゲームでは敵を倒すほど経験値が上がるので、敵との遭遇は嬉しいイベントですよね。その気持ちを仕事に対しても持ち続けると、攻略しがいがある楽しいゲームになる可能性があります。
自分には無理だと尻込みしたくなる仕事も、どのコマンドを選択して攻略しようかと考えるとワクワクしてきます。退屈な仕事を押し付けられたとき、「やる気が出ない」で終わらせたらゲームオーバーです。仕事の細分化を通して楽しめるポイントを見つけ、情熱的に取り組めるようになると、経験値稼ぎにつながります。
仕事のミスは、レベルアップに必要な経験値を積むためのものと捉え、次はどうやって敵を倒そうか戦略を練ると良いでしょう。
ミスをしても、こうやるとダメなのだと分かり、それを次回に生かせる。つまり、ミスをしてもそこから学ぶことで経験値を得られるため、経験値は増える一方であり、レベルも上がる。経験値のたまるミスとの遭遇を、メタルスライムとの遭遇だと思い、楽しむことにする。
(引用元:同上)
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ビジネスパーソンになると、1日の3分の1を仕事に費やすことになります。それにもかかわらず、「つまらない」「早く終わらないかな」と考えるのはもったいないですよね。
仕事が楽しくないという状態から抜け出して、より充実した毎日を送るようにしましょう。
(参考)
ダイヤモンド・オンライン|世界最下位!日本人の「仕事満足度」はなぜ低いのか
東洋経済オンライン|「仕事が楽しい」の本当の意味を教えよう
日経BizGate|仕事は「楽しくやる」もの
NIKKEI STYLE|職場の人間関係が円滑に 嫌みなく伝わる魔法の言葉
プレジデント・オンライン|「きもちいい」人間関係を基準に生きよう
まいにちdoda|嫌いな仕事が楽しくなる! 元エニックス社員が語る「仕事ドラクエ化理論」とは?
【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。