「勉強時間の圧縮」と「記憶強化」を実現できるノート術。大切なのは “全部書かない” ことだった

短時間で効率よく知識を身につけている様子

「勉強したことを確実に覚えるため、ノートづくりにはこだわっている。でもどうしても時間がかかってしまう……」

こうお悩みではありませんか? 

仕事が忙しくて勉強に時間をあまり割けないので、ノートづくりはできるだけ短時間で済ませたい。そしてもちろん、勉強した内容はしっかりと記憶に刻みたい――そんなあなたへ、実際に勉強で成果を出した人もやっていた「学習効率がよいノート術」をご紹介します。非効率的なノートのとり方についても触れますので、ご自身のノートが当てはまっていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。

勉強内容を「ノートに丸写し」する効果はある?

とにかく書いて覚えようと、参考書や講義の内容をノートに丸写しする人は、非効率的な勉強の仕方をしてしまっているかもしれません。

多くの人がおそらく一度は経験しているとおり、何も考えずにただ丸写ししてもノートの見栄えが整うだけ。せっかくきれいに書いたのに、何日かしたら忘れてしまった……ということはありがちですよね。

なぜそういうことが起きてしまうのか。それは、丸写しすることが勉強の目的になってしまうからです。

『ずるい暗記術』著者で弁護士の佐藤大和氏も、「本来、ノートに書く目的は『勉強したことを記憶に定着させるため』ですが、何も考えずにただ書いてしまう人が多」いとし、自身の経験にも触れながらこう述べています。

私も大学2浪中に数学の教科書をノートに丸写ししていました。マーカーで色分けし、定規やコンパスを使ってきれいなノートを作りましたが、肝心の問題は一問も解けませんでした。
いつのまにか「きれいに書く」ということに目的がすり替わってしまっていたのです。

(カギカッコ内および枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|なぜ、勉強にノートをつかうと、時間と記憶が奪われるのか? ※太字は編集部が施した)

つまり、懸命に勉強をしていたつもりだったが、結果的にはただノートづくりをしていただけだった……ということになってしまうわけです。これでは、長い時間をかけたわりには覚えられていない状況に陥りかねません。

勉強内容をノートへ丸写ししている様子

ノートは「キーワードベース」で書こう

では、どのようなノートのとり方が効果的なのでしょうか。その答えは、「キーワード」を抽出すること。そして、キーワードどうしを関連づけることです。

勉強内容をしっかりと覚えるには、文章全体を書き抜いて丸ごと頭に入れるべきなのでは? と思う方もいるかもしれません。ですがじつは、キーワードとキーワードを線でつなげるだけというシンプルな書き方のほうが効果的。

実際にそうしたノートのとり方で勉強していたと語るのは、東京大学卒で首都大学東京法科大学院を首席で修了した弁護士の小林航太氏です。東大入試の受験勉強中、ノートをつくるときには「ある事象の中のキーワードから、次のキーワードを枝葉を伸ばすように書き込んでい」たとのこと。そのメリットについて、小林氏は次のように語っています。

キーワード同士のつながりを意識しながら覚えると、その出来事の全体像がよりはっきりつかめるんです。それに、キーワード同士を関連付けて記憶すると、試験の際に覚えたことを引き出しやすくなる、という利点もあります。

(カギカッコ内および枠内引用元:文春オンライン|勉強と筋トレに違いはない NHK『筋肉体操』出演・小林航太弁護士インタビュー ※太字は編集部が施した)

キーワードだけを抽出して線でつなぐほうが、すべてを書きとるよりも簡単なのに、記憶定着がしやすくなるのですね。

このことは、脳の記憶の仕組みの観点からも説明がつきます。関西大学総合情報学部教授の植原亮氏いわく、

記憶は(中略)それぞれが関連づけられながらネットワークのようなかたちで存在します。

そのため、思い出すときにもひとつのものだけをポンと思い出すのではなく、関連づけられた多くの記憶を芋づる式に思い出す仕組みになっています。

(引用元:STUDY HACKER|勉強家ほど要注意? “知識があるほど間違える” という問題は「遅く考える」ことで回避せよ ※太字は編集部が施した)

とのこと。つまり、キーワードをほかのキーワードと関連づけて覚える方法は、脳の記憶のあり方に合致しているのです。

また、「キーワードを見極め、書き出す」という作業を行なうことによって、前出の佐藤氏が述べていた「何も考えずにただ書いてしまう」状態から抜け出すことができます。頭を使いながら勉強することになるので、学習効果を得やすくなるでしょう。

キーワードをノートにざっと書き出している様子

「丸写しノート」と「キーワードノート」を比較してみた

勉強中はすべての内容が重要に思えて、丸写しに近いノートをつくりがちな筆者。たとえば、以下は、色彩検定についていつものやり方で勉強したときのノートです。

「丸写しノート」の具体例

見た目は整っていますが、じつは復習時にポイントがわかりづらいのが悩みでした。また、このノートをとったときは動画教材を使用しており、ノートをとるために動画を頻繁に一時停止しました。そのせいで、1単元勉強するのに30分もかかっていたのです。

そこで同じ内容を、今度はキーワードだけを書き出すというスタイルで勉強してみることにしました。キーワードはオレンジ色のペンで書き、それに付随して重要だと思う言葉もノートにメモしていきます。関連するキーワードどうしは、線で結びました。

「キーワードノート」の実践例

「キーワードノート」を実践したら、“時間短縮” と “記憶強化” の効果が!

キーワードだけをノートに書き出しながら勉強してみると、動画を一時停止する必要がなく、1単元を勉強するのにかかった時間はたった10分ほど。3分の1に短縮できました。

さらに「キーワードは何か」「どの知識とつながりがあるか」を合間に考えていたためか、丸写ししていたときに比べ、内容をスムーズに覚えることができたのです。

また翌日ノートを開いてみると、キーワードとそれらをつなぐ線を見ただけで勉強内容を思い出せました。たとえば、「光源」「電磁波」「波長」「振幅」という4つのキーワードが線でつながっているのを見たら、「光源は電磁波の一種で、波長と振幅によって種類が異なるんだった」と、まさに芋づる式に記憶を引き出すことができたのです。

筆者は罫線ノートを使用しましたが、無地のノートや方眼ノートならより自由に線を引くことができ、さらに振り返りやすいノートに仕上がるでしょう。みなさんもお好みのノートを使って、ぜひ試してみてくださいね。

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凝ったノートづくりについ時間をかけてしまう人や、ノートをとってもなかなか覚えられないと悩んでいる人は、より効率よく知識を定着させるため、ノートの使い方を見直すことをおすすめします。

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