「勉強」は私たちをステップアップさせてくれる大切なもの。せっかく忙しいなか時間をつくって勉強するのですから、しっかりと結果を出したいですよね。
そこで今回は、「勉強でついやってしまいがちだけど “じつはNGなこと” 」を3つ指摘します。当てはまる方は要注意です……!
【NG1】山盛りのTODOリストをつくっている
みなさんのなかには、「あれもやらなければ」「これもやらなければ」と膨大なTODOをこなそうとしている人もいるかもしれません。しかしTODOリストの欠点は、多くの課題を自分に課しすぎて効率が悪くなったり、時間が絶対的に足りなくなったりするところ。また、「やることがたくさんある!」と思って気持ちが焦り、精神的なゆとりを失ってしまう恐れもあります。
時間は有限。本当にやるべきことに注力するためには、やるべきことをすべて列挙するのではなく、「やらないこと」を見極めるのが重要なポイントですよ。資格コンサルタントの鈴木秀明氏も、「勉強で最も大事なのは、やらないことを決めること」だとしたうえで、やらないことには、「明らかにやらなくていいこと」と「あえて捨てること」の2種類があると述べています。
「明らかにやらなくていいこと」とは、たとえば試験に出ない範囲まで勉強すること。あれもこれもと欲張らず、不要な箇所はあえて勉強しない選択をしましょう。
「あえて捨てること」は、時間や労力をかけても得点につながりにくい箇所の勉強です。鈴木氏は、あえて捨てるべきポイントとして次の5つを挙げています。
- 自分には難しすぎる、習得に時間がかかりすぎるところ
理解には多大な時間が必要か、そもそも無理だと思われる箇所 - 配点が低い科目・分野
全体の4%未満など、ほとんど出題されない箇所 - めったに出題されない分野
目安は、直近10回の試験でまったく出題されていないところ - ほかの受験者も解けないだろうと思われる分野・問題
マニアックな分野やきわめて細かい規定など、ほかの人も解けないため差がつきづらい箇所 - 直近の回の試験で出題されたばかりのところ
ほとんどの試験では同じような問題が繰り返し出る傾向がありますが、2回連続で同じところから出る可能性は比較的低いとのこと(※ただし、10回のうち3~4回は出題されているような問題は、直近の回で出されていてもふたたび出題される可能性が高いため、押さえておきましょう)
あまり得点につながらない箇所に時間をかけていませんか? 「やらなくていいこと」と「あえて捨てること」を洗い出してみましょう。
【NG2】勉強方法にこだわりすぎている
画像やイラストを使って覚えたり、オリジナルのノートをつくったりと、勉強方法を工夫している人は多いはず。しかし、「どの勉強方法がいいのだろう」と迷ってこだわりすぎることは、かえって時間の無駄かもしれません。
カリフォルニア大学のハル・パシュラー教授と、サウスフロリダ大学のダグ・ローラー教授によると、勉強方法が学業の成績に影響を与えるという科学的な証拠は存在しないそう。また、学会誌「Learning and Individual Differences」に掲載された記事によると、「学習方法によって勉強の精度が上がるというのは神話である」とのこと。
インディアナ大学医学部が行なった研究もこれを証明しています。数百人の学部生たちにアンケートを実施し、それぞれの学生が視覚・聴覚・読み書き・実践のうち、どの勉強方法を最も得意としているかを測りました。その後、期末の時点で彼らの勉強方法が成績に影響したかを確認したところ、勉強方法と成績に関係性が見られなかったそう。また、生徒たちのうち67%は、最初のアンケートで確認した「得意な勉強方法」以外の方法で学習していたことも判明。一方、得意な勉強方法に沿って学習した生徒たちに関しても、ほかの学生たちよりもよい成績を出したという事実は特に確認されませんでした。
いろいろと試行錯誤しすぎたり、こだわりすぎたりするのも考えものなのです。
【NG3】暗記ばかりやる
「勉強量と結果がなかなか比例していかない」という人は、もしかしたら「ゴールの見えていない暗記をしている」かもしれません。
現役東大生で『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』などの著書をもつ西岡壱誠氏は、勉強したことを本当に理解できているか確認するためには、毎晩自分で「今日勉強したことを真っ白い紙に再現できるか」を確認すればいいと述べています。
たとえば英単語を暗記したとしても、単語の意味しか覚えていなければ、その単語を使った文章をつくったり、その単語が入った長文を理解したりするテストでは点数がとれませんよね。また、数学の公式の意味がわかっていても、それを使って問題を解けなければ意味がありません。
本当に理解できているかどうかは、暗記できているかではなく、「学んだことを使ってアウトプットできるかどうか」がポイントになります。初めから暗記を目的とするのではなく、「白い紙に表現する」というアウトプットを意識すれば、インプットの質も上がるでしょう。また、再現できるかチェックすることで、覚えきれていなかった箇所に客観的に気づくことができます。
西岡壱誠氏は東大受験の際、「どういう場でアウトプットするために暗記しているのか」を明確にしたことで、勉強の効率が上がって成績も向上したそう。やみくもに暗記するのではなく、どのようにしてアウトプットするかを考えながら学ぶことは、受験以外の勉強でも効果が発揮されるでしょう。
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勉強の効果をしっかり出すためには、残念な勉強方法は避けたいもの。当てはまっているものがあったら、ぜひ改善していきましょう。
(参考)
The Best Colleges|17 SCIENTIFICALLY PROVEN WAYS TO STUDY BETTER THIS YEAR
ダイヤモンド・オンライン|勉強で最も大事なのは「やらないこと」を決めること
PHP Online|「TODOリスト」は諸悪の根源だった? 本当に生産性が上がるタスク管理のコツ
Business Insider|The idea that we each have a 'learning style' is bogus — here's why
Science Direct|Testing the ATI hypothesis: Should multimedia instruction accommodate verbalizer-visualizer cognitive style?
Psychological Science in the PUBLIC INTEREST|Learning Styles: Concepts and Evidence
VARK|The VARK Questionnaire
東洋経済オンライン|元偏差値35の東大生が教える「残念な勉強法」
【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。