この “10個のしかけ” で、あなたも「息をするように勉強できる人」になれる。

「息をするように勉強する人」になるための10個のしかけ01

勉強しないといけないのはわかっているけれど、どうしてもおっくうで、始めるまでに時間がかかる。もっと楽に勉強に取り組めれば……。そう思っていませんか。今回は、面倒だった勉強を「息をするように」こなせてしまう10個の工夫をお伝えします。

1. 起き抜けに机の前へ座る

起きてすぐに机の前で過ごすと、その日1日、机に向かうことに脳が抵抗しなくなる。そう語るのは、東大法学部を首席で卒業、司法試験合格、ハーバード大ロースクールをオールAで修了、ニューヨーク州弁護士資格合格、といった輝かしい成果を挙げてきた山口真由氏です。

かつて朝に弱く集中も続かないタイプだった山口氏は、子どもの頃からベッドと机の距離を縮めていたうえ、起床直後にカーテンを開け、光を浴びたら即座に机を見る癖をつけたと言います。そして朝食までの10分間、椅子に座って何かしらの本を読んでいたそう。勉強に取りかかる習慣をつけるため、まずは起き抜けに机へ向かって、本を開いてみる。朝一番のひと工夫が、その日のモチベーションをぐっと上げてくれるでしょう。

2. 勉強道具を目に見える場所へ置く

子どもはカバンに勉強道具を入れたままだと、道具を取り出す手間がハードルになり、宿題をしようという意識が高まらない。そう教育評論家の親野智可等氏も言うように、大人でも、勉強道具が本棚や引き出しにしまわれた状態だと勉強に意識は向きません

つまり、勉強道具を目に見える場所に並べておけばハードルはなくなるということ。さらに親野氏は、問題を解くページへ付箋をつけておくなど、勉強に取りかかりやすい状態を整えるようすすめています。勉強道具は、しまわない、閉じない、目の前に置く。楽に勉強を始められるひと工夫です。

3. 先に1問だけやっておく

同じく親野氏がすすめるのが、先に1問だけやっておく方式。たとえば朝食のあとに資格試験の勉強をすると決めたら、朝食前に問題集を1問だけやっておくのです。

親野氏いわく、先に1問だけやっておくことで自然と全体が目に入り、「今日やるべき勉強は、あとこれくらいで済むな」という見通しがつくのだそう。見通しが立たないと、どこまでやればいいかわからないという不安で逃げたくなり、やる気が湧きません。とりあえず手をつければ不安を解消でき、その先の勉強を難なく進めることができますよ。

4.「5分間だけやる」と決めて取り組む

「まず1問」に加えてまず5分間というのもいい方法。これは、受験ストレスを専門に扱う本郷赤門前クリニック院長の吉田たかよし氏がすすめるものです。ずっと集中しなければいけないと思うとおっくうなものですが、たった5分間だけならハードルが低いはず。

「まず5分間」が有効な理由は、作業興奮という脳の仕組みにあります。つまり作業しているうちにスイッチが入って、やる気が湧いてくるのです。試験勉強をする気が起きないようなときでも、5分間だけ問題集を開いて解き始めてしまえば、案外気分が乗ってくるようになりますよ。

5. とりあえず音読する

すばやく脳のスイッチを入れるには、音読も効果的だと吉田氏は言います。音読は、黙読よりも多くの刺激を脳に加えるため、脳を活発に働かせやすいそう。仕事で必要な本を読む際など、まずは音読から始めてみるといいでしょう。

ただし、音読は5分間で切り上げること。というのも、音読は黙読と比べてスピードが遅く、いつまでもやっていては効率が悪いからです。あくまでも、最初に脳を目覚めさせる手段だととらえましょう。

なお、吉田氏いわく大きな声・低めの声を出すと自信が高まるとのこと。自信が高まれば、勉強のやる気も出るはずです。ぜひ意識してみてください。

「息をするように勉強する人」になるための10個のしかけ02

6. ゲーム感覚で勉強する

札幌市で教育事業を行なう池端祐次氏は、勉強をゲーム感覚で楽しむことをすすめています。

池端氏いわく、人がゲームに夢中になる理由は、「レベルを上げたら(行動)、敵を倒せる(報酬)」というプロセスにより、脳内にドーパミンが分泌されて行動を起こしたくなるからだとのこと。勉強する気になれないのは、勉強による報酬が明確でないせい。そこで池端氏は、次のようにゲーム感覚で勉強することを提案しています。

  • 「◯点以上とったら欲しいものを買う」など、自分にとって価値のある目標を決める
    →報酬が明確になる。
  • 定期的に小テストを実施し、短期間での成功体験を重ねる
    →勉強したら(行動)いい成績がとれる(報酬)と脳が認識する。
  • 友人と成績を競う
    →対戦型ゲームのように、競争意識はモチベーションにつながる。

つらいだけだった勉強にゲーム要素を取り入れれば、きっと夢中になれるはずです。

7. 好きなことと結びつける

偏差値30だった高校時代を経て、大学で勉強に目覚め、司法試験に一発合格した弁護士の佐藤大和氏は、面倒な勉強を楽にする方法として、勉強に「好き」や「得意」をかけ合わせることをすすめています。佐藤氏はかつて、なんと好物のラーメンを食べながら勉強していたそう。

佐藤氏いわく、強い感情に結びつけると、その感情がトリガーとなって覚えたことが思い出しやすくなるとのこと。歌が好きなら、参考書にある専門知識にメロディーをつけて歌って覚える。絵が好きであれば、模擬テストで間違えた問題をイラストで整理して。「好き」を活かした勉強法なら、勉強が楽しくなること間違いなしでしょう。

8. 笑顔で勉強する

「勉強が楽しいと脳に信じ込ませる」簡単な方法もあります。勉強をしながら笑顔をつくるだけでいいのです。

脳科学に詳しい、東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二氏によると、歯をイーッとむき出しにしてペンをかんだまま漫画を読む場合と、唇だけでペンをくわえたまま漫画を読む場合では、前者のほうが漫画をおもしろいと感じることがわかったそうです。これは、表情筋の使い方が笑顔と似ているから。

つまり顔が笑えば、脳はおもしろいと感じるようにできているのです。難しくて面倒な問題を解く際も、笑顔をつくりながらなら楽しく取り組めるでしょう。

9. 中途半端に区切る

旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニク氏は、ドイツの心理学者クルト・レヴィン氏の考え方に基づいて、人は完了したタスクよりも未完了のタスクをよく覚えているという「ツァイガルニク効果」を実験で検証しました。

その実験では、ひとつひとつのタスクを完了させてから次のタスクを始めたグループと、毎回タスクを中断して次のタスクへ移ったグループとでは、後者のほうが2倍程度タスクの内容を覚えているという結果が得られたそう。キリよく終わらせるよりも、キリの悪いところで中断するほうが、脳はタスクを意識し続けるとわかったのです。

これからは、専門書を読むのを1章の途中でやめるといった具合に、勉強をあえて中途半端なところで終わらせてみましょう。そうすれば、自然と続きが気になって、次の勉強に楽に取りかかれますよ。

10.「勉強の喜び」を知る

脳科学者で東日本国際大学特任教授の中野信子氏によれば、脳科学の観点では、人間はそもそも「学ばないこと」がストレスになる生き物なのだそう。にもかかわらず、勉強を苦痛に感じてしまう人は、「義務としての学び」の比重が大きくなりすぎている――そう中野氏は指摘します。勉強を「しなければいけない」ものだと思うからきついのです。

勉強の喜びを得るには、たとえば英作文を書けるようになるために英単語を覚えるなどといった、義務的な勉強ももちろん必要です。しかし英作文を書けたときの喜びが、勉強へのモチベーションをさらに上げてくれるのもまた事実。

勉強をしているときには、「できて楽しい」「わかって嬉しい」という瞬間に着目してみてください。面倒でしんどいだけではない、「楽しくてどんどんやりたくなる」勉強の一面が見えてくるはずです。

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以上をまとめると、次のとおりになります。

「息をするように勉強する人」になるための10個のしかけ03

お伝えした10個の方法を効果的に使って、勉強するのがおっくうだった自分を、息をするように勉強できる人へと生まれ変わらせましょう。

【ライタープロフィール】
梁木 みのり
大学では小説創作を学び、第55回文藝賞で最終候補となった経験もある。創作の分野のみでは学べない「わかりやすい」「読みやすい」文章の書き方を、STUDY HACKERでの執筆を通じて習得。文章術に関する記事を得意とし、多く手がけている。

(参考)
NIKKEI STYLE|東大もハーバードも頂点 真由さんの癖になる勉強法
schola|勉強ハードルを下げる「取りあえず準備方式」とは?
schola|「取りあえず1問方式」なら、 勉強に取りかかるのが楽になる
大学受験パスナビ|脳の性質から考える 勉強を“ラク”にする吉田式10のメソッド/[Column]秋からの学習を支える“朝勉”のすすめ
チーム個別指導塾・大成会|ゲーム感覚で勉強する「ゲーミフィケーション」で楽しく学ぼう!
ダイヤモンド・オンライン|自分の「長所」と「好きなもの」を利用して、自分だけのオリジナルの勉強法を生む
ベネッセ教育総合研究所|やる気は脳ではなく体や環境から生まれる
プレジデントオンライン|池谷裕二が指南!やる気が出る「脳」のだまし方
UX TIMES|ツァイガルニク効果
STUDY HACKER|あなたの学びは「よろこび」に到達しているか? 勉強がいつまでもつらいのは、それが「義務」でしかないから

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