“純ジャパ” の私がハーバードで得た4つの学び。MBA留学をする意味は学位だけじゃなかった

ハーバード・ビジネス・スクールへの留学で得た4つの学び01

STUDY HACKERの読者のみなさま。外資系コンサルティングファーム、投資銀行、プライベートエクイティファンドなどの在籍者らを中心に、グローバルに活躍するプロフェッショナルのキャリア形成を支援する「Liiga(リーガ)」の編集部です。

今回は、大手広告会社に勤めながら、世界最高峰のビジネススクール、ハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)留学を果たしたSさんの経験談を紹介します。

いわゆる「純ジャパ」で、MBA取得者に多いコンサルや金融業界出身でもないSさんがHBS留学で得たものとは、なんだったのでしょうか。

HBS最大の特徴はケースメソッド

HBSについて、簡単に説明します。HBSは、ボストンにあるハーバード大学附属のビジネススクールです。1908年に世界初のMBAプログラムとして設立されました。1学年の人数は、たとえばSさんの所属していたClass of 2020で930人。2年制のため計1,800人以上が、ハーバード大学の学部キャンパスとチャールズ川を隔てたHBS専用キャンパスで学んでいます。

1年めはRC(Required Curriculum)つまり「必修課程」で行なわれ、2セメスターにわたり全930人が、同じ科目、同じ授業内容を履修します。

授業は「Section」と呼ばれる90人前後のクラスに分かれ、「ケースメソッド」という形式で行なわれます。このHBSの最大の特徴であるケースメソッドでは、「ケース」と言われる、特定企業が実際に直面した課題と、それに付随する設問が授業ごとにあてがわれます。

学生は、そのケースを事前に読み、設問への自分なりの回答を用意したうえで授業に参加。基本的にディスカッション形式で、多様なバックグラウンドをもつSection mates 90人前後が、それぞれ自分なりの意見を戦わせつつ授業を進めるのです。 

2年生にあたるEC(Elective Curriculum)に進級し、選択科目を自分で選べるようになると、グループプロジェクト形式の授業や、教授と直接行なう日本でいうゼミ形式のような科目も増えますが、それでもそれら一部の科目以外は基本的にケースメソッドです。

そのほか、詳しいHBSの授業内容については、こちらの記事で読むことができます。

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入学後に待ち構えていた「ふたつの壁」

HBSに入学後、Sさんを待ち構えていたのは、「ふたつの壁」でした。

ひとつめの壁は、なんといっても「英語力」です。

Sさんは、日本で生まれ育ったいわゆる「純ジャパ」です。「正直言って、ネイティブや帰国子女、英語で教育を受けてきた各国からの同級生たちと比べたら、英語力に雲泥の差があった」とSさん。

しかし、HBSのケースメソッドで生き残っていくには、「読む・話す・聞く・書く」の4技能すべてが必要。ケースを理解するリーディング力、成績評価の半分を占める発言点を得るためのスピーキング力、発言のタイミングをつかむためのリスニング力、長文のエッセイを書くためのライティング力――非ネイティブ英語話者のSさんにとって、「英語の総合格闘技状態」だったそうです。

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ふたつめの壁は「Academic/Professionalのバックグラウンド」です。じつはSさんはマクロ経済学やミクロ経済学、会計学やファイナンスも、ビジネススクールに入るまで学んだ経験がありませんでした。

また、当時働いていた日系広告代理店で経験してきたのは、プロジェクトマネジメントなどが多かったようです。

一方、まわりはというと、コンサル、金融、IT系の出身者だけで、全学年の約6割を占めているような状態。HBSで勉強することはすべてが未知のものというSさんは、事前知識のあるクラスメイトとの大きな差を感じたと言います。

大事なのは “打席に立ち、バットを振り続ける” こと

では、Sさんは、そんな過酷な環境をどうやって生き残ってきたのでしょう。

心がけたのは、とにかくまず「自分で努力をすること」、そしてそれ以上に「自分の努力だけでダメな場合は人を頼ること」だと、Sさんは話します。まず前者をトライして、「あ、これはダメそうだな」と思ったら「何か手はないかと考え、策を打つ」。それはSさんの場合、日本人の同期を頼り、教え合うことでした。

もうひとつ、生き残るうえで大切だとSさんが言うのは「とにかくバットを振るマインドセット」。仮にケースの準備ができ、理解することができても、発言をしなければ評価につながりません。

「90人近くいるクラスメイトの前で英語で自分の考えを表現する」ということは、多くのアメリカ人学生にとっても、緊張をともない勇気がいることだそうです。そのような場では、「簡単なことでも、たとえ間違えていてもいいから、とにかく手を挙げ発言をする」というマインドセットに切り替えることが必要だったと語ります。

Sさんが経験した「ふたつの壁」について、詳しい内容は、こちらの記事で読むことができます。

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「自分はやれる」――。逆境のなか “積極的な” 自己暗示で生き残る

高くそびえ立つ「壁」を越えるため努力を続けてきたSさんは、HBSで「4つの学び」を得ることができたようです。

1つめの学びは、「自分のポテンシャルを信じて努力をすることが大切」ということ。

Sさんは、「自分はできる。ポテンシャルがある」と言い聞かせ、そばで支えてくれた妻や、日本人スタディグループの仲間、同じセクションの友人たちに励まされて、食らいついていったそう。

そんないわば訓練と言えるような日々を、時に打ちのめされつつも、自分を信じなんとか切り抜けた結果、優秀な成績で卒業できたのです。

イスラエルでのグループワーク。結果は……まさかの最低評価

2つめの学びは、「『行動』が評価される」ことです。

Sさんは2年生のとき、Immersive Field Course(IFC)というコースを受講しました。チームを組んで、学期中に準備を進めつつ、冬休みの2週間を使って実際に外国に赴きプロジェクトを行なう、という実践型授業です。Sさんはテーマが「start-up, venture capital」で自分の興味に近く、まだ行ったことのなかったイスラエルのIFCを選びました。

数か月後に成績が発表されてみると、Sさんはその授業で最低評価を得てしまったそう。Class Participation(授業での発言・貢献度)は評価にいっさい関係なく、完全にPeer Evaluation、すなわち「他のチームメンバーからの評価」のみで決まった成績だと判明しました。

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“空気を読む” は特殊なバリューの出し方。「日本人らしさ」が評価されないこともある

なぜ、メンバーからの評価が低かったのでしょうか。

それは、Sさんが “空気を読んで” しまったから。チームでディスカッションをするとき、Sさんは「質問をして流れを止めてしまうよりも、わからなかったところはあとで個人的にキャッチアップするほうが、チーム全体のアウトプットにとってベターだろう」と思っていました。

しかしこのアプローチの欠点は、「議論に積極的に加わって自分の意見を言うことや、議論の方向性へのリードをとることが、おのずとできなくなる」ということ。つまり、この「個よりも全体を優先し、空気を読む」アプローチは、Sさんがバリューを示す方法としては、全く的外れでした。

チームの「空気を読む」のではなく、チームの「空気をつくる」ために「行動」する、そしてその「行動」は常に評価を得るのだと知ったと、Sさんは言います。

「4つの学び」のうち「自分のポテンシャルを信じて努力する」、「行動が評価される」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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率直な議論がリーダーに必要なVulnerabilityとEmpathyを育む

3つめの学びは、「リーダーに必要なのはVulnerability(弱さや脆さ)とEmpathy(共感、感情移入)である」ということです。

HBSの授業の特徴のひとつは、ビジネスに関わるあらゆるテーマを幅広く扱うところ。ビジネスは人によって成り立っているものなので、そこには人の価値観や人生観に関わるテーマも含まれます。いわゆる「知識やスキル」ではなく、「リーダーとしての在り方」「人としての生き方」に関わるような授業があったそうです。

これらは、知識やスキルの習得以上に大切な、今後のキャリアや人生において投げかけられるであろう「答えのない問い」を、数多く学生に提示してくれました。そのリアルさや熱気・緊迫感はすさまじく、時には涙を流すセクションメイトすらいたのだとか。

そうした過程では、自分の弱さをさらけ出すような勇気を振り絞ったコメントをした人が、スタンディングオベーションで迎えられる場面や、センシティブなテーマについてきわどいディスカッションを行った学生どうしが、休み時間に笑顔で握手をする場面が、たびたびあったそう。相手の気持ちを汲むことの大切さを知ったとSさんは言います。

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「キャリア」ではなく「人生」を生きよう

4つめの学びは、「キャリア」ではなく「人生」を生きようと認識できたことです。「キャリアのために行くのがビジネススクールである」という一般的認識からすると、意外かもしれません。

SさんはHBSで、同級生、教授、ゲストスピーカーとして来校した多くのアルムナイなど、いわゆる「素晴らしいキャリア」を築いてきた世界中の人たちに出会ってきましたが、そのなかで感じたのは「完璧なキャリアなどない」ということでした。

さまざまな努力と幸運の結果、HBSにたどり着き、あるいは卒業した彼らのことを知るにつけ、

「余裕しゃくしゃくとしている人間よりも、時に迷いながらも常に努力を続けている人たちこそ、輝いて見えましたし、実際にそういう人の方が素晴らしい功績を残していることを知りました」(Sさん)。

「4つの学び」のうち、「リーダーに必要なのは弱さや脆さ、共感や感情移入」、「キャリアではなく、人生を生きる」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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まとめ:自分のポテンシャルを信じて行動してみよう

Sさんは、「MBA留学に興味をもっているならば、自分のポテンシャルを信じて、行動に移してみてほしい」と言います。

高い「壁」が立ちはだかる可能性もあります。ですが、キャリア以上に「人生」を豊かにしてくれる時間を得られるかもしれません。

【ライタープロフィール】
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