1日 “たった1行” から始めて読書好きになれました。「1行読書」が未来にもたらす大きな効果。

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紙の本を読んだほうがいいと、先輩や上司によく言われる。活字嫌い仲間だった同僚が、本を読み始めたと聞いて焦った。なぜか後輩は本好きが多い。それでも、本を読む気が全くしない。いったい、どうしたらいいですかね?

ならば「1日1行だけでも読むこと」から始めてみませんか? 「ふんっ、そんなこと意味がない」と思うなら、「楽観主義になること」から始めてみましょう。

楽観主義になることのメリットや、ベビーステップの絶大な効果、そして「1行」から始める読書の効果について説明します。

楽観的になると何が起こるか?

東京成徳大学応用心理学部健康・スポーツ心理学科の本多麻子准教授によると、物事をポジティブに考えられる楽観的な人は、次の傾向が強いと研究で明らかになっているそうです。

楽観的な人の傾向
  • 病気にかかりにくく、長生き
  • 勉強、スポーツ、仕事などあらゆるパフォーマンスが良い

また、全米ネットワークCBSのニュースキャスターから、ペンシルバニア大学ポジティブ心理学リサーチャーに転身後、ベストセラー作家になったミシェル・ギラン(Michelle Gielan)氏は、『Harvard Business Review』で次のデータを示しています。

【大きな買い物のためにお金を蓄えている割合】
  • 楽観主義者90%がお金を蓄えている
  • 悲観主義者70%がお金を蓄えている
【いざというときのための蓄え】
  • 楽観主義者の場合は3分の2に及ぶ人が蓄えている
  • 悲観主義者の場合は蓄えている人が半分にも満たない

楽観主義者は悲観主義者に比べ、自分が信頼する人の助言に従う傾向が強いといいます。「貯蓄しておいたほうがいいよ」と言われ素直に従ったのかもしれませんね。

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また、アメリカの心理学者で、ペンシルベニア大学教授であり、ポジティブ心理学センター長でもあるマーティン・セリグマン(Martin Seligman)博士による研究では、楽観主義的な営業担当者は、悲観主義的な営業担当者よりも、売上げが56%多いとわかったそうです。

カリフォルニア大学リバーサイド校の心理学科教授であるソニア・リュボミアスキー(Sonja Lyubomirsky)氏も、世界15カ国で翻訳された同氏のベストセラー『幸せがずっと続く12の行動習慣』の中で、幸せになる(科学的に証明された)方法として「楽観的になること」を挙げています

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雨が降ってもハッピーですが、何か?

つまり、どうやら楽観的になると、色々と良いことが起こるようです……!

構想と実行は楽観的に、計画は悲観的に

前項をまとめると、楽観主義になるメリットは次の通り。

  • 体や脳にいい
  • 仕事や人生に好影響
  • お金がたまる
  • 幸せになれる

このように状況が良くなりやすいので、大変なことがあってもくよくよせず、物事を明るいほうに考えることが可能となります。だからこそ、まずは何でもチャレンジしてみるようになるわけです。

しかし同時に、どんなに大きなリスクがあっても平気でチャレンジしてしまうので、危機管理が万全な悲観主義者の起業家に比べ、楽観主義的な起業家は、平均で30%稼ぎが少ないというデータもあるのだそう。

そうは言っても「どうせムダだ」「きっと無理だ」ばかりでは物事が始まりません。京セラ、第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫氏の経営哲学にも、

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」

とあります。何かを習慣づけたいなら頭でっかちにならずに、「きっと自分にもできる」「とりあえず始めてみればなんとかなる」といった具合に、楽観的な思考を取り入れていきましょう。

ただし、自分にとって実現不可能な目標を据えてしまうと、後で拒否感が生まれるので、目標設定だけは悲観的に。

全く読書習慣がない状態で、たとえば「必ず1日30分間だけ読書をする」のは、簡単そうでいて意外に高いハードルです。ここだけは、「きっとムリ」だとネガティブに構え、ハードルを低くしていきましょう。いわゆるベビーステップです。

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ベビーステップの効果

世界的な大ベストセラーの『小さな習慣』で、著者のスティーヴン・ガイズ(Stephen Guise)氏は、良い習慣を取り入れていくにあたり

  • 目標はバカげているほど小さくする
  • モチベーションを上げたいなどと思わないようにする

といったことを述べています。ためらいなく始められるバカバカしいほど小さな習慣を、とりあえず始めてみれば、モチベーションのほうが後を追いかけてくるとのこと。

なぜならば、ガイズ氏にはこんな経験があるから。

体を鍛えようと決意したにもかかわらず、アップテンポな音楽をかけても、ムキムキになった自分の体を想像をしても、一向にモチベーションが高まらなかったガイズ氏は、目標を「毎日30分の筋トレ」から「毎日1回だけ腕立て伏せをする」に切り替えたそうです。

すると、筋トレへの拒否感が消え、「1日1回腕立て伏せ」が習慣づいたのだとか。

なおかつ、そのうち―― 「せっかくだから、もう何回かやってみよう」になり 「ついでに懸垂も」といった展開になり、気がついたら当初の目標「30分の筋トレ」に近づいていた――とのこと。

「極めて小さな習慣」を始めることこそが、「大きな変化と成果」をもたらしたわけです。

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「1行」から始める読書の効果

少し楽観的になること、行動のハードルをできるかぎり低いところまで下げることが、良い習慣をつくる第一歩になるとわかりました。

じつを言うと筆者も、ガイズ氏の筋トレに近いかたちで好ましい習慣が身についたひとりです。好ましい習慣とは、今回のテーマである読書習慣のこと。流れはこうです。

推理小説や純文学を読みあさっていた時期もありましたが、そこから数十年のあいだ、紙の本からはすっかり遠ざかっていました。しかし、あるとき思い立ち、読書習慣を身につけるべく本を買い始めたのです。ところが、なかなか読書習慣は定着しません。それどころか、本を見るとプレッシャーを感じるように……。

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そこで、「読みたいだけ読む」かたちに切り替え、本を枕元に置いて、1~2行読んで眠くなったら迷わず寝る、を繰り返すようにしました。すると、そのうちツァイガルニク効果(ゼイガルニク効果)が生まれ、どうも先が気になってしまうようになったのです。

ツァイガルニク効果とは、達成できた事柄よりも、未達成かつ中断している事柄のほうが印象に残りやすく、興味を引かれてしまう現象のこと。 そうして「気になる」を続けているうち、いつの間にか1冊読み終わり、言いようのない達成感がこみ上げました。

そんなことを繰り返してきた結果、今となっては自発的にどんどん本を読むようにまでなったのです。

「1行」から始める読書の意味

つまり、新しい習慣を始める際に必要なのは、「まあ、何でも始めてみれば、なんとかなるさ」といった楽観的な思考。そして大切なのは、

  • いかにプレッシャーのない状況で始められるか
  • いかにプレッシャーのない状況で続けられるか

といったことです。それらさえクリアすれば、「ついでだから」「どうせだから」思考が働いたり、「ツァイガルニク効果」やらが働いたりして行動が加速し、モチベーションがあなたに追いついてくるはずです。

「1回」の腕立て伏せから始める意味、そして「1行」の読書から始める理由は、圧を取り除き、楽観的になって行動し始めるためでした。

***
ロンドン大学によると、新しい習慣を身につけるために必要とされるのは、平均して66日間とのこと。「66日間もあるの?」ではなく、「わーい、66日間もあればきっと身につくぞ、イヤッホウ」と発想を切り替え、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

(参考)
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|HBR.org翻訳リーダーシップ記事|楽観主義者でいることは経済的メリットをもたらす
ダイヤモンド・オンライン| 気になるあの本を読んでみた!ベストセラー目のつけどころ|脳をだまして、いつの間にか目標を達成する!
STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア|習慣は平均66日の繰り返しによって作られる。成功を導く「習慣の作り方」
東京成徳大学・東京成徳短期大学|学長短信|本多先生.pdf
HR-AGORA|「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」
Wikipedia|ツァイガルニク効果
Wikipedia|楽天主義
スティーヴン・ガイズ著, 田口未和訳(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.
ソニア・リュボミアスキー著, 渡辺誠監修, 金井真弓訳(2012),『幸せがずっと続く12の行動習慣』, 日本実業出版社.

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
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