勉強用のノートがなぜか汚くなる人に最適。「3つのノート」の使い分けで勉強効率が上がる!

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」01

「勉強のノートを一生懸命とるけれど、毎回ごちゃごちゃしてしまう……」
「ノートを見返しても情報が雑然としていて、何が大切だったかいまいち思い出せない……」

勉強用のノートについてこのように困った経験がある人は、多いのではないでしょうか。せっかくとったノートが復習の役に立たないと、いちから勉強をやり直す羽目になるため、とても非効率なものです。

そこで今回は、内容を整理しやすくて学習効率が高まる「3種類のノートの使い分け術をご紹介します。試験がある勉強をしている人に特におすすめのノート術です。筆者の実践例も参考にしてみてくださいね。

勉強ノートを「ごちゃごちゃ」させてはいけない

ノートは、単なる記録のためだけでなく、思考を整理するために活用すべきだ――こう説くのは、研修・コンサルティング会社の株式会社コンパス代表取締役で、“思考の整理家®” としてクライアントの問題解決を支援する鈴木進介氏です。

インプットした情報や頭のなかにある漠然とした考えを、ただ単に文字化するだけでは、なんとなく頭がスッキリするだけで「次につながらない」と鈴木氏。

特に、仕事を確実に前進させるという観点では、ノートを単に「記録」のために使っても無意味だと言います。大切なのは、次にとるべき行動を考え出すために、ノートの上で諸々の情報を「整理」することなのだとか。具体的には、ノートを分割したり図を使ったりすると、思考を整理しやすいそうです。

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」02

鈴木氏は、主に仕事のノートについてこのように主張していますが、勉強にも同じことが言えるはずです。

たとえば、「できるだけたくさん覚えたい」という気持ちが強いと、本で読んだり授業で聞いたりした情報をノートへとにかく書き込んでしまいがち。ですが、情報がびっしり書かれているだけの無秩序なノートでは、復習しようと思っても、重要な情報や要復習箇所を見極められません。

だからこそ、勉強のノートもごちゃごちゃさせてはいけないのです。教育事業を行なう株式会社カルぺ・ディエム代表で、東大生の勉強法に関する著書を多くもつ西岡壱誠氏によると、東大生たちの多くは、勉強した内容をあとで自ら再現できるよう、ノートを整理しながら書いているそうです。

テキストや授業の内容をあとで自分で説明するつもりでノートをとると、記憶に定着しやすく、成績も上がりやすいと西岡氏。

実際、東大生たちは、「要するにどういうことか」を自分の言葉でまとめたり、因果関係を矢印で示したりすることを通じて “整理” しながらノートをとって、効率よく記憶と理解を深めているそうですよ。

勉強内容の整理には「3つのノート」の使い分けが効果的

勉強ノートをごちゃごちゃさせないためには、ノートを3種類つくることが効果的です。この簡単な方法を考案したのは、東京大学医学部家庭教師研究会代表で勉強法作家の吉永賢一氏。

吉永氏の言う3種類のノートとはわかるノート」「覚えるノート」「慣れるノート。知識を身につけるために理解して、暗記して、練習するためのノート手法だそうです。

この手法は、吉永氏が1,000人以上もの生徒に教えてきた勉強ノートのノウハウをまとめた、同氏の著書にて紹介されているもの。名門大学合格者を数々輩出したと言いますから、試験のある勉強をしている人にはうってつけの方法でしょう。

では、3つのノートの特徴を詳しく説明します。

1. わかるノート

「わかるノート」とは、知識を体系的にまとめながら書いたもの。みなさんがよく書くような、講義の内容をまとめたノートだと考えればよいでしょう。

吉永氏いわく、独学の場合は市販の参考書やテキストを「わかるノート」として使ってもよいとのこと。自分が使いやすいと感じた参考書やテキストを使用すれば、ノートを一からつくる時間を削減できそうですね。

2. 覚えるノート

「覚えるノート」とは、暗記すべき内容を書き込んだもの。ポイントは、覚えておかなければならないことをすべて「自分なりの覚え方」とともにノートへ書き込む点です。

吉永氏によると、インターネットや巷にあふれているような覚え方ではなく、オリジナルの語呂合わせ、自分なりのイメージやイラストを一緒に書いておくと、頭に残りやすくなるのだそう。

覚えたい内容が見つかった際にすぐメモできるよう、このノートは常に携帯しておくといいようです。

3. 慣れるノート

「慣れるノート」とは、問題の解き方を、時系列に沿って書いたもの

重要な問題の解答や解法を、正しく理解して記憶に定着させるために、正解に至るまでの作業手順を、マニュアルをつくるようにひとつひとつ順番に書いていきます。数学の証明問題を想像するとわかりやすいかもしれませんね。

以上が3種類のノートの概要です。上記のように目的別にノートを使い分ければ、自然と整理されたノートをつくることができ、より効率よく理解・記憶できるようになるのです。

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」03

3つのノートを使い分けて勉強してみた

今回、実際に筆者も、「わかるノート」「覚えるノート」「慣れるノート」の3種類を使い分けて独学してみました。学習トピックは、「フランス革命とそれに関連したキーワード」です。

▼ まずわかるノートには、参考書のおよそ30ページ分を、詳しい用語説明などは抜きにして、矢印などを使って整理しながらまとめました。

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」04

▼ 次に覚えるノートには、「わかるノート」では省いた詳しい説明を、未知の用語に絞って書きました。これらの用語を覚えるのに役立つオリジナルの語呂合わせや、用語から連想できた事項なども併記。

オリジナルの語呂合わせには、たとえばこんなものを考えてみました。

「いーな野球から早6年(フランス革命は1789年〜1795年にかけて起こった)」
「ピエー!ルソーは一般人?(ロベスピエールはルソーが説く一般意志に影響を受けた)」

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」05

▼ そして慣れるノートでは、高校世界史の問題集からフランス革命に関する問題を選び、解法をノートに書きました。

誤答の選択肢が誤りだと言える理由も確認しつつ、答えをひとつに絞るためのポイントを、歴史上で起こった出来事順に並べながら書いていきました。

勉強効率を上げる「ノートの使い分け」06

ノートを使い分けると、内容整理がラク&知識がしっかり身についた!

「わかるノート」「覚えるノート」「慣れるノート」の3つを使い分けながら勉強を進めてみたところ、インプットとアウトプットを同時進行できました

「わかるノート」でフランス革命の概要をざっくりとらえて重要な用語をつかむ
→「覚えるノート」でそれらの用語を覚えやすくする
→「慣れるノート」で問題を解き、理解度合いをチェックする

というワンセットをスムーズに行なうことができ、効率よく勉強できたと実感しています。

また、これら一連の流れを一度にやるとノートはおのずとごちゃごちゃしそうなものですが、今回は3つにノートを分けたため、意外なほど整理されたノートをつくれました。このノートなら、復習の際にもかなり見やすいと思います。

そして、試験を控えた勉強に関して言うと、特に「慣れるノート」が有効だと感じました。試験できっちりと点数をとるためのトレーニングができるからです。資格試験など短期間で成果を出さなければならないような勉強に、とても向いていると思います。

***
勉強のノートを科目別につくったことはあるけれど、目的別に使い分けたことはなかった――そんな人こそ、ぜひ3種類のノートの使い分けを試してみてください。ノートがスッキリすると当時に、勉強効率が高まることを実感できるはずですよ。

(参考)
鈴木進介 (2021), 『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』, 明日香出版社.
note|なぜノートに書けば、脳内が整理されるのか?
ダイヤモンド・オンライン|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた
吉永賢一 (2016), 『東大家庭教師の結果が出るノート術―――仕事・勉強を成功に導く新記憶ルール』, あさ出版.

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト