どうも最近、学んだことを覚えられない。もしかしたら学習スタイルがマンネリ化しているのかも。ちょっとした変化があって、意欲も湧いてくる、効果的な学習法はないだろうか……?
そんな方々に、ぜひ試していただきたいことがあります。東大生が考えた学習法からヒントを得た、複写用紙を使って勉強する方法です。実践を交えて紹介しましょう。
シンプルで合理的な “穴埋め” 暗記学習法
覚えたい箇所をカラーマーカーでなぞる・ペンで書くなどしたあと、赤や緑のシートをかぶせてその部分を隠し、自分だけの穴埋め問題をつくる――このような暗記学習法をやったことがある人は多いでしょう。
この勉強法はよく知られたものであるだけでなく、脳が記憶をする仕組みにも合ったものです。心理学者の竹内龍人氏によると、
教科書や参考書をただ読んで覚えるよりも、テストを利用して自分で思い出す努力をするほうが、ずっと効果的
だとのこと。これを「テスト効果」と呼ぶそうです。
(カギカッコ内および枠内引用元:ベネッセ教育情報|科学的な実証に基づいた「効率のよい勉強法」とは? ※太字は編集部にて施した)
先に述べた暗記学習法は、隠した部分を思い出すというテスト形式での勉強法。私たちは自然とこのテスト効果を利用していたのですね。
しかし、この暗記学習法にはちょっとした難点も。みなさんにもこんな経験はありませんか? 隠しすぎて覚える部分がやたら多くなってしまったり、マーカーが裏抜けして読みづらくなったり、隠れた部分しか覚えなくなったり、隠したはずの部分がうっすら見えてしまったり……、といったことです。
そうしたなか、ある東大生は上記のデメリットを解消しうる、シンプルかつ合理的な学習法を考えたそう。手順はこうです。
- ノートや教科書、配布プリントなどをコピーする。
- コピーしたほうの、覚えたい箇所を太い黒ペンで塗りつぶす。
- あとは穴埋め問題を行ない、わからなければ答えを確認して、しっかり覚えるまで繰り返す。
(参考元:学研プライム研究所|【東大生の勉強法カタログ】- 暗記編- ノートまとめよりも手軽 白黒コピー問題集)
これなら原本そのままなので、必要に応じてまたコピーすれば改善できるし、別バージョンの穴埋め問題もつくれるし、インクが裏抜けして見えにくくなることも、うっすら見えてしまうなんてことも起こりません。
しかしながら、学校でコピー機を自由に使える学生とは違い、仕事以外で職場のコピー機を使えない社会人にとっては、少し面倒な作業かもしれません。自宅にコピー機がなければ、コンビニや図書館等に出向かなければならないからです。
オリジナルの穴埋め問題をつくりながら勉強してみた
そんなときふと、ノーカーボンなら複写できるし、裏に黒いカーボンインクが塗布されていないので手を汚す心配もなく、ノートのように使えそうだと思いつきました。
ちなみにカーボンインクなしで複写できるのは、紙にそれぞれコーティングされた薬剤が、筆圧等の圧力によって接触し、化学反応を起こして発色するからなのだそうです(参考元:製本のひきだし・東京都製本工業組合|ノーカーボン、ノンカーボン)。
そこで、勉強によさそうなノーカーボンを探してみたところ、こちらが見つかりました。ノーカーボン便箋とでも呼びましょうか。
このツールを使い、さっそく勉強してみようと思います。まずは、1ページ目にある下敷用厚紙をミシン目に沿って切り取り、(2枚1組なので)2枚下に敷きます。
そして、普通に勉強します。
(ノーカーボン便箋内の中身参考元:公益財団法人日本生産性本部|メンタルヘルス用語集 ※以降、便箋の中身はすべて同じ参考元)
確かめてみると、しっかり複写されていました。なんだか嬉しいし、楽しい……! 気分が上がり、勉強がはかどりそうな予感です。
次に、複写されたページの、覚えたい箇所を塗りつぶします。
これで、オリジナルの穴埋め問題が完成です。
ただ、これだと複写は1枚しかできないので、あとで穴埋め箇所を変える場合を考慮して、マーカーではなく2Bの鉛筆を使って塗りつぶしました。
1枚めと2枚めの裏と表にコーティングされた薬剤が、接触したうえで圧が加わらなければ発色しないので、複写されたほうだけに消しゴムを使っても紙は汚れません。
ただし、そのあとのページに影響が出ないよう、消しゴムを使う際にも必ず下敷用厚紙を下に挟んでおきましょう。
あとは、穴埋め問題をやったり、答えを確認したりを、覚えるまで繰り返します。
勉強と問題づくりが同時にできて学習効果アップ!
こうやって、実際にノーカーボン便箋を使い勉強してみたら、以下のメリットを感じることができました。
- 複写されている様子を見るだけで楽しくなり、学習意欲が高まる
- 複写を意識して力強く筆記したので、より脳への刺激を感じた(手書きは脳を活性化するという)
- 勉強すると同時に “穴埋め問題集のもと” がどんどんつくられていくので効率的
- 手書き&複写、塗りつぶす、消すなどの工程が学ぶ情報をより印象深くする
- 前のページですぐ答え合わせができる
一番最後の「前のページですぐ答え合わせができる」という部分は、脳の活動を高め続けることにも貢献するかもしれません。なぜならば、公立諏訪東京理科大学工学部教授・脳科学者の篠原菊紀氏が、次のように述べているからです。
――思い出そうとすれば瞬間的に脳活動は高まる。しかし、手がかりもヒントもないままずっと考えていても、脳の活動は落ちてしまう。わからないときは早々に答えを確認して、「なるほど、そうか」などと思っているほうが、脳活動は高まる。
(参考元:日経Gooday|スマホに頼って、自力で思い出す努力をしないと脳の機能は衰える?)
言ってみれば、答えは前のページにあるというだけですが、パッと確認する際にはとても便利だと感じました。
ちなみに複写したものは、ミシン目に沿ってきれいに切り離せるので、勉強ノートと穴埋め問題集に分けることもできます。よろしければ、ご自身の使いやすいようにカスタマイズしてみてくださいね。
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ノーカーボン便箋で東大生をまねてみたら、覚えられない、意欲の低下、マンネリ化といったいくつもの悩みを解決できそうなうえ、穴埋め問題もどんどん製造されました。仕事と勉強の両立を目指すみなさまの、勉強法アイデアのひとつに加えてもらえたら嬉しいです。
ベネッセ教育情報|科学的な実証に基づいた「効率のよい勉強法」とは?
学研プライム研究所|【東大生の勉強法カタログ】- 暗記編- ノートまとめよりも手軽 白黒コピー問題集
日経Gooday|スマホに頼って、自力で思い出す努力をしないと脳の機能は衰える?
製本のひきだし・東京都製本工業組合|ノーカーボン、ノンカーボン
(ノーカーボン便箋の中身参考)
公益財団法人日本生産性本部|メンタルヘルス用語集
STUDY HACKER 編集部
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