3つのシチュエーション別「伝える力」をもっと高めるコツ。“PREP” が適さない場面とは?

シチュエーション別伝える力を高めるコツ01

「部下に『同じミスはもうしないように』と注意したが、部下の行動が変わらない。こちらの意図が伝わっていないのだろうか……」
「話し方に関する本をいろいろと読んで勉強しているのに、説明するのがずっと苦手なまま……」

今回の記事では、多くのビジネスパーソンが直面する3つのシチュエーション別に、「伝える力」をぐんと高めることができるコツをご紹介します。実践してみれば、「なんだかうまく伝わらないな……」という悩みは解消に向かうはず。ではご説明しましょう。

1. 部下の行動改善を促したいときにおすすめ「ラベリング法」

「資料に誤字があったよ。次はよく確認してから提出してね」このように指摘しても、部下の行動が変わらない……。

その理由は、あなたの伝え方のせいで、部下が「責められた」と感じているからかもしれません。

コミュニケーション研究家の藤田尚弓氏はこう述べています。

責められたように感じると、人間は反応として自分の行動を正当化する理由を探します。そうなると、行動の改善を促しても、文句や批判を言われたように受け取りやすいのです。

(引用元:All About|サンドイッチ話法をうまく使おう! 悪い話を伝える時のポイント

つまり、あなたがミスや問題点を指摘しても部下が行動を変えないとき、部下は、あなたから責められ、文句を言われていると勘違いしている可能性があるということ。たとえあなたが「部下を責めているつもりはなく、単に事実を指摘しただけだ……」という場合でも、です。

シチュエーション別伝える力を高めるコツ02

そこで藤田氏は、「あなたらしくない」という言い回しで行動改善を促す「ラベリング法」をすすめています。「本当はできる人なのに」「いつもはできているのに」といったニュアンスを込めるのです。

「対応をあと回しにした部下に対して行動改善を求める」という例で、その効果を見てみましょう。

【A:ラベリング法を使わない場合】
「〇〇さんが対応をあと回しにしたから、お客さまからクレームが入ったよ。今後は同じことが起きないようにして」

【B:ラベリング法を使う場合】
「今回の件で、お客さまからクレームが入ったよ。重要な対応をあと回しにするなんて、いつもの〇〇さんらしくないじゃない

あなたが部下の立場として、同じシチュエーションにあると想像しながら考えてみてください。

上司からAの言い方をされたら、「きみの対応は間違っている」と一方的に責められているような印象を受けるでしょう。「頑張って対応したのに上司から文句を言われた」と受け取り、行動を改めようとは思えないかもしれませんね。

では、Bの言い方をされたとしたらどう感じるでしょうか。「いつもの〇〇さんらしくない」という表現からは、責められているどころか、「今回はどうしたの?」と心配してもらえているようなニュアンスが伝わってきませんか? 「いつも見てくれている上司の期待に応えたい」と思い、素直に行動を改善する気になるでしょう。

「あなたらしくない」と伝えるラベリング法。部下の行動を改善したいときは、ぜひ使ってみてくださいね。

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2. 上司の納得を得たいときにおすすめ「アクター法」

上司に説明する際は、結論だけ簡潔に話すようにしているけれど、なぜかいつも上司は不満気。時間をとらせないようサクッと話を終えることを意識しているのに、どうしてうまくいかないの……?

こうした状況に陥ることがよくあるなら、あなたの話し方は、上司の性格に合っていないのかもしれません。

ビジネスコミュニケーション講師の秋田義一氏は、自分の考えを効果的に伝えるには「相手の性格に合わせて話し方を変える」とよいとしています。

ただし、仕事上の表面的な性格を見るだけでは十分ではないようです。秋田氏は「仕事では快活でよく話す人が、私生活では物静か」といった例を挙げ、仕事上の性格は真の性格とは限らないので、「性格に応じた話し方をする場合は、あくまで相手の真の性格を意識」すべきであると解説。そうすることをせず、“この人はこういう性格” と勝手に決めつけて話をすると「相手に大きなストレスを与えることになりかねない」と述べています。(参考「Future CLIP|仕事がうまくいく「話し方」のコツ」)

たとえば、仮にあなたが上司に対し「この人はいつも忙しそうだから、早口で説明してサクッと終わるようにしよう」と考えていたとしても、上司が本当は「どんなに忙しくても丁寧な説明を欲しがる人」だった場合、あなたがよかれと思ってする早口な説明は裏目に出てしまう――ということです。

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では具体的にはどうすれば、相手の性格に合わせた話し方ができるようになるのでしょう?

ここで参考になるのが、「アクター法」というテクニック。『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(ハック大学ぺそ 著/アスコム)のなかで紹介されているもので、「上司になり切って自分にダメ出しをする」という方法です。以下の3ステップで行ないます(同書をもとにまとめました)。

【ステップ1】情報収集
上司をよく観察し、特徴的なリアクションやフィードバックをすべて記録する。
(例:「早口の説明を聞き返している」「『データはないのか?』と質問している」など)

【ステップ2】特徴を一般化する
前のステップで記録した情報をふまえ、上司の思考のクセ・好み・性格をつかむ。
(例:「早口で話されるのが嫌い」「データを重視する」など)

【ステップ3】上司になりきってセルフ批評する
自分がしようとしている説明を頭のなかで再生し、上司になりきって(上司を演じる「アクター」になって)自分の説明に対し自ら批評する。
(例:上司だったら「後半の内容が駆け足でよくわからなかった」「データを用意してもらえる?」と言うだろう……など)

上記のステップを経れば、「早口にならないよう丁寧に説明しよう」や「複数のデータを用意しよう」などと、上司の性格に合った説明をあらかじめ準備することができます。つまり、自分の上司に合わせた話し方が身につくわけです。

同書によれば、実際に上司に説明してみて新たなリアクションを得たら、それもまた「情報」として記録しておくとよいのだそう。こうして、説明の仕方をブラッシュアップしていけば、より自分の意見が通りやすくなりそうですよね。

上司とスムーズなやり取りをしたい、自分の説明を上司に気持ちよく聞いてもらいたい――そんな人は、この「アクター法」を活用して、上司の真の性格に合わせた話し方をするよう試みてください。

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3. あいさつやスピーチをするときにおすすめ「逆PREP法」

取引先との会議や懇親会などであいさつ・スピーチを求められたとき、プレゼンテーションと同様に「PREP法」で話をしている。だって、ビジネスの話し方といえばやっぱりPREPが定番でしょ……?

そんな人は、場合によって話す順番を変えることも考えてみましょう。じつは、Point(結論)→Reason(理由)→Example(事例)→Point(結論)の順番で話すPREP法が適さないケースもあるのです。

話し方講師・スピーチライターの古垣博康氏によると、PREP法には以下のメリット・デメリットがあるそうです。(参考「ことばの時間|PREP法が使えない場面~スピーチには「逆PREP」のアレンジを」からまとめています)

  • PREP法のメリット
    相手が知らない情報をわかりやすく説明できる。
    知識を教える場面で使用すると効果的(例:講義、プレゼンテーション)

  • PREP法のデメリット
    結論と理由を冒頭に述べるので、主張が強く聞こえ、浮いた印象を与える。
    事例があとにくるので、おまけ程度に聞こえ、聴衆を飽きさせる。
    事例・エピソードをしっかり伝えたい場面には不向き(例:スピーチ)

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そこで古垣氏は、スピーチではPREPを逆にした「PERP」の順番で話すことをすすめています。Point(結論)→Example(事例)→Reason(理由)→Point(結論)の流れにするのです。

「社内の懇親会で自己紹介する」という例で、「PREP法」と「逆PREP法」の違いを確認しましょう。

【A:PREP法】
「……趣味は野球観戦とキャンプです。野球観戦の魅力は、応援を通してまわりのファンと一体になれること。キャンプの魅力は、自然に触れてリフレッシュできることだと思います。最近は〇〇球場と△△キャンプ場へ行きましたが、どちらも便利なので初めて行くのにもおすすめです。こんな感じで、私は野球観戦とキャンプに夢中になっています。……」

【B:逆PREP法】
「……趣味は野球観戦とキャンプです。最近は〇〇球場と△△キャンプ場へ行きましたが、どちらも便利なので初めて行くのにもおすすめです。野球観戦の魅力は、応援を通してまわりのファンと一体になれること。キャンプの魅力は、自然に触れてリフレッシュできることだと思います。こんな感じで、私は野球観戦とキャンプに夢中になっています。……」

冒頭に結論と理由を話すAの例では、「野球観戦とキャンプが好き」ということは伝わりますが、やはり主張の強さが否めません。一方、結論のあとすぐに事例を話しているBの例では、聞き手は自然とエピソードに耳を傾けてくれるでしょう。

古垣氏は逆PREP法の効果について、こう述べています。

押しの強さという個性が消える代わりに、事例をよく味わったあとに、「理由」と「結論」を聞かされて、聞き手には自然な納得感がうまれます。

(引用元:ことばの時間|PREP法が使えない場面~スピーチには「逆PREP」のアレンジを

あいさつやスピーチでは、押しが強いと思われるよりも、最後まで飽きずに話を聴いてもらいたいもの。逆PREP法をうまく使って、聴衆を惹きつけましょう。

***
ご紹介した3つのコツのなかに、あなたの悩みを解消できそうなものはありましたか? 実践しやすいものから、ぜひ試してみてくださいね。

(参考)
All About|サンドイッチ話法をうまく使おう! 悪い話を伝える時のポイント
Future CLIP|仕事がうまくいく「話し方」のコツ
ハック大学ぺそ(2022),『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』, アスコム.
ことばの時間|PREP法が使えない場面~スピーチには「逆PREP」のアレンジを

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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