誰にも「ついやりがちな癖」や「何も考えずにしている習慣」というのはあるはず。でも知らないうちに、それらがあなたに悪影響を及ぼしているかもしれませんよ。見直すべき「7つの悪癖」と改善策を提案しましょう。
【NG1】大音量のアラーム音で起きている
定刻に起きられるようにと、目覚まし時計やスマートフォンのアラーム機能を使っている人は多いはず。でも、毎日大音量のなか目覚めているのだとしたら注意が必要ですよ。
医師で睡眠や疲労に詳しい梶本修身氏は、睡眠中に突然大きな音が鳴り響くと、緊張をつかさどる交感神経が刺激されると指摘します。頭痛や不快感の原因になるほか、脳が疲れてしまうので日中の活動に影響が出てしまうことも。
梶本氏がすすめるのは、脳に緊張をもたらさない優しい音。鳥のさえずりや川のせせらぎといった自然音が少しずつ大きく聞こえてくるようなものがいいそうです。朝は脳に負担をかけないように起床しましょう。
【NG2】ToDoリストに全部のタスクを書いている
その日のタスクをまずは全部ToDoリストに書き出したうえで仕事を始める――こんな人もいることでしょう。でも、優先順位がわからず重要なタスクが後回しになってしまうなど、ToDoリストにすべてを詰め込んだ結果、タスク管理の方法としてうまく機能しなくなるといったケースも多々あります。
『ライフハック大全』著者である堀正岳氏は、頭を整理するためにToDoリストを書くのはいいものの、「やらなくてはいけないこと」と「できればいいこと」は分けるべきだと説いています。つまり、ToDoリストに書くのは「やらなくてはいけないこと」だけ。すべてを載せると、本来は優先度が低いはずの「できればいいこと」に業務が圧迫され、先述のように重要なタスクが後回しになりかねないからです。
「今日1日で何をこなす必要があるのか」という観点で、ToDoリストを書いていくようにしましょう。
【NG3】散らかった環境で作業している
書類がうずたかく積み上がっていたり、文房具が放り投げられていたり――散らかった場所で仕事をしている人は要注意ですよ。
プリンストン大学神経科学所の研究により、無秩序な状態が目に入り続けると集中力が低下することが判明しています。乱雑な環境は脳に負荷を与えてしまうのです。逆に、作業環境を整理すると仕事の生産性が高まることもわかっています。
書類は内容別にファイリングして引き出しにしまう、文房具は頻繁に使うもの以外は机の上に置かないなど、視界に余計な物が入らないように、日頃から整理整頓を心がけましょう。
【NG4】マルチタスクが当たり前になっている
精神科医で禅僧の川野泰周氏は、「マルチタスク」の危険性を指摘しています。川野氏によれば、脳が一度に注意を向けられる総量には限りがあるため、一度に並行して複数のタスクを進めると脳が疲弊し、やる気の欠如やイライラを引き起こしてしまうのだそうです。
仕事は、ひとつのタスクに集中して取り組む「シングルタスク」を基本とするべき。とはいえ、急に仕事を振られたりメールが来たりすると、つい気になってしまいますよね。そんなときは「パーキングロット」を実践しましょう。
パーキングロットとは「駐車場」という意味。つまり、メモに書き留めるなどし、あとでやるタスクを意図的に脇へ置いておくのです。目の前のタスクが完了したら、順次それらに取りかかっていきます。ひとつひとつのタスクに集中できる仕組みをつくりましょう。
【NG5】休憩なしで頑張りすぎている
時間がないからといって、息抜きなしで勉強をこなし続けるのはやめたほうがよさそうです。
東京大学教授の池谷裕二氏と株式会社ベネッセコーポレーションが中学生を対象に行なった実験によると、英単語の勉強を「休憩を挟んで15分×3回行なったグループ」と「60分間休みなく続けたグループ」を比較したところ、前者のほうが翌日や1週間後のテストの成績がよかったとのこと。適度に休憩を挟んだほうが、長期的な記憶の形成に有効であることが示唆されたのです。
また、彼らの脳波を調べたところ、集中力に関与するガンマ波が、休憩なしの場合だと下降し続けるのに対し、休憩を挟むと回復することもわかりました。休憩がないと脳が疲れてしまうのも当たり前。記憶力アップのためにも集中力維持のためにも、躊躇せずに休憩を入れていきましょう。
【NG6】否定形の言葉を使いすぎている
自分を否定しすぎていませんか。その習慣は、あなたのメンタルをますます苦しめる悪循環の要因になっているかも。
メンタルトレーナーとして数々の有名アスリートを指導した経験をもつ飯山晄朗氏は、「自分なんて……」といった自己否定の言葉を使いすぎると、脳がそれを認識し、自己肯定感が本当に低くなってしまうと指摘しています。
飯山氏によれば、「だからこそ」という言葉を使い、意識して物事のプラス面を見るのが大切なのだそう。たとえば、上司からミスを指摘されたとき。「どうせ自分は仕事がデキない人間だ」と考えてしまうのは仕方ありませんが、「だからこそ伸びしろがある。今回の指摘を今後に生かそう」とポジティブに転換できれば、必要以上に落ち込む必要もなくなりますね。
【NG7】寝る直前にスマートフォンを見ている
“くつろぎのひととき” と、寝る直前にベッドのなかでスマートフォンをいじっている人は多いはず。しかし、画面から発せられるブルーライトは、睡眠をつかさどるホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、私たちを覚醒させてしまいます。寝不足になれば、翌日に影響が出ること必至でしょう。
メンタルコーチの大平朝子氏がすすめているのは、シンプルに時間を区切ること。「夜8時まではスマートフォンでダラダラしてもよい」などと決め、それ以降はスマートフォンのオフタイマー機能を使ってスリープ状態にしてしまうのです。半ば強制的にスマホ習慣を断つのですね。
スマートフォンに未練を感じるようならば、代わりの習慣を用意するのもおすすめ。ヨガをする、本を読むなど、違うことで気を紛らわせれば、スマートフォンの使用時間も徐々に減っていくはずです。
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以上をまとめると、こうなります。
ついやりがちな悪癖を7つ指摘しました。心当たりのあるものは少しずつ変えていきましょう!
(参考)
wotopi|アラームは起床の20分前に、大音量はNG! 脳が疲れない目覚め方
プレジデントオンライン|"よいToDoリスト"を作る3つのポイント
ハーバード・ビジネス・レビュー|デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する
THE21オンライン|「シングルタスク」に集中すれば、 脳にゆとりが生まれる
ダイヤモンド・オンライン|いつも「集中できない」人は脳が縮んでいる!?
朝日新聞デジタル|勉強時間は短い方が好成績?
東洋経済オンライン|自己肯定感が低い人が使いがちな「マズい口癖」
ブルーライト研究会|睡眠への影響
日経電子版|必勝「スマホ絶ち」 あの100均アイテムの裏ワザ
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。