メンタルの弱さを克服する3つの習慣。本当に優秀な人がもつ「AQ:逆境指数」の高め方

本当に優秀な人がもつ「AQ(逆境指数)」01

  • ピンチになると弱く、力を発揮できなくなる
  • ちょっとした失敗で心が折れてしまう
  • 失敗を恐れ、新たなチャレンジに踏み出せない

そんな “メンタルの弱さ” にお悩みの方に知っていただきたいのが、AQ(逆境指数)という概念。AQを高めれば、あらゆる逆境をたくましく乗り越え、どんな状況でも高いパフォーマンスを発揮できます。

では、AQとはどのような概念なのか? 高めるためにはどうすればいいのか? 詳しく解説しましょう。

AQとは「逆境への対応力」のこと

AQとは、Adversity Quotient(逆境指数)の頭文字をとったもので「逆境的な状況への対応力」を数値化したものです。

たとえば仕事上のトラブル、対人関係上のストレスなどの困難に遭遇したとき。“AQが高い人” は「この逆境はたいしたものでなく、解決可能である」と前向きにとらえ、問題解決に向かって意欲的に行動することができます。

逆に、ちょっとした逆境に見舞われるとすぐに逃げ出したり、諦めたりするような人が “AQが低い人” です。

AQの高さは、以下5段階のレベルによって評価されます。

  • レベル1:Escape(逃避)
    逆境から逃避することしかできないレベル。
  • レベル2:Survive(生存)
    なんとか生存するのが精一杯のレベル。
  • レベル3:Cope(対処)
    ただ単に対処するだけのレベル。
  • レベル4:Manage(管理)
    逆境を管理し、解決できるレベル。
  • レベル5:Harness(利用)
    逆境をむしろ力として活用し、さらなる成長につなげられるレベル。

本当に優秀な人がもつ「AQ(逆境指数)」02また、AQを提唱したポール・G・ストルツ博士(当時ハーバード・ビジネス・スクール客員教授)によれば、AQは「CORE」という4つの要素から構成されるのだそう。(枠内の解説は、花まる学習会代表の高濱正伸氏がAQについて説いた著書『へこたれない子になる育て方』に基づくもの)

  • Control:コントロール
    その逆境は、自力でコントロール可能なものであると認識できているか。
    (例)AQが高い人は……「仕事のトラブルが起きた。でもきっと解決できるだろう」

  • Ownership:責任
    「問題が起きたのは、自分のせいだけではない」と認識できているか。
    (例)AQが高い人は……「仕事のトラブルが起きた。でも自分だけが悪いわけじゃないから、気にしすぎなくていい」

  • Reach:範囲
    その逆境は、限定的な範囲に過ぎないものだとみなせているか。
    (例)AQが高い人は……「仕事のトラブルが起きた。でも売上には大きな影響がなさそうでよかった」

  • Endurance:忍耐時間
    その逆境は一時的で、いつか解決可能なものだと思えているか。
    (例)AQが高い人は……「仕事のトラブルが起きた。でももう2~3日くらいの辛抱だろうから、大丈夫だ」

この4つについていい意味で楽観視し、「きっと解決できるはずだ」と自信をもてるのが、AQが高い人の特徴です。

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AQはビジネスパーソンにとって重要な能力

AQは、仕事で高いパフォーマンスを発揮するために必要な能力のひとつです。

いくらIQ(知能指数)が優れていても、逆境に立たされるとすぐ「ダメだ」と諦めてしまうようでは台無しですよね。仕事における想定外のトラブルやピンチをたくましく乗り越えるには、 “逆境への対処力” であるAQが高くなければならないのです。

ストルツ博士が創設したリサーチ・コンサルティング会社PEAK LEARNINGのWebサイトでも、AQを高めれば、生産性や問題解決能力の向上、イノベーションの促進など、さまざまなメリットがあると解説されています。

ちなみに、発明家のトーマス・エジソン氏「私は失敗したことがない。ただ1万通りの、うまくいかない方法を見つけただけだ」という名言を遺しています。

つまりエジソン氏は逆境や失敗を「学び」として前向きにとらえることで、“発明王” と呼ばれるほどの成功を得たのです。このメンタリティは、先述のAQレベル5「Harness」(逆境を力に変えられるレベル)に相当すると言えるでしょう。

そのほか、

  • ニトリ創業者の似鳥昭雄氏は、90年代以降の不況をむしろ「他社が動けないチャンス」ととらえ、業績アップに成功した。
  • メジャーリーガーの大谷翔平選手は、ピンチの場面になると平均球速が2.4キロ上がる(ピンチ=得点圏にランナーを背負った場面。データは2021年のもの)。

など「ピンチを力に変える」ことに長けた成功者の事例はたくさんあります。彼らのエピソードからも、AQが仕事のパフォーマンスを大きく左右することがうかがえるでしょう。

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AQを高める3つの方法

AQを高め、逆境をたくましく乗り越えられるようになりたい方は、以下3つの方法をお試しください。

AQを高める習慣1.「楽観的」に考える

逆境に立たされたときは、状況を悲観しすぎず、いい意味で楽観的に考えることが大切。先述したAQの4要素「CORE」を意識しながら、いま自分が置かれている逆境を冷静かつ前向きにとらえ直してみましょう。

心理学者の渋谷昌三氏が「AQが高い人の考え方」を次のように紹介しています。ネガティブに考えるクセがある方は、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「その逆境がどんなもので、どうすれば乗り越えられるのか?」を考える(C:コントロール)
  • 「自分のせいだ」とばかり考えず、その他の外因もないか考える(O:責任)
  • 根拠もなしに悲観的な予測をしない(R:範囲)
  • 「ピンチは一時的なものにすぎない」と考える(E:忍耐時間)

    (※「CORE」との対応関係は筆者が当てはめたもの)

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AQを高める習慣2.「小さなストレスを乗り越える」経験を積む

渋谷氏は、AQを高めるために「小さなストレスやピンチを放置せずに乗り越える」ことも推奨しています。

たとえば、仕事上の小さなミスや、他人に対するちょっとした不満などの “些細なストレス” を感じたら、「たいしたことないから」と放置するのではなく、そのつど面倒くさがらずに対応し、解決策を考えるのです。

「問題発見→解決」という経験を日常的に積むことで、目の前のストレスから逃避せず、きちんと向き合おうとするクセやスキル——つまりAQが、しだいに養われていくことになります。

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AQを高める習慣3.「LEAD法」

最後に、前項で言及した “逆境への具体的な対処策” を考えるうえで参考になる、ストルツ氏提唱の「LEAD法」をご紹介します。「Listen」「Explore」「Analyze」「Do」の4ステップで問題に向き合い、いまの状況を合理的に分析し、解決に導くというものです。

詳しい手順を、「仕事でミスをした場合」を例にご説明しましょう。(以下の解説は渋谷昌三著『いちばんやさしい心理学の本』に基づくもの)。

ステップ1. Listen(自分の声を聴く)

自分の内面に耳を傾け「何が問題なのか」「どんな内容に落ち込んでいるのか」などを書き出す。

  • 顧客に大事な連絡をし忘れた
  • 契約を切られてしまうのではと不安
  • 上司に落胆されたのではないかと落ち込む

ステップ2. Explore(掘り下げる)

ステップ1で浮かび上がった問題の解決策を考え、書き出す。

  • 次は決して忘れないよう、メモやスケジュール管理を徹底する
  • 顧客に丁寧にお詫びし、誠意を見せる
  • 上司にも、今後の対処などをしっかり報告する

ステップ3. Analyze(分析する)

ステップ1~2をあらためて見直し、最終的な解決策を決める。

まずは明日、直接顧客にお詫びをしに行こう。

ステップ4. Do(行動する)

決めた解決策を実行に移す。

顧客の会社を訪問し、お詫びをする。

上記のような手順で対処法を考えれば、目の前の問題が「行動次第で解決可能な問題」であるとわかり、気持ちが前向きに切り替わるはず。なんらかの逆境に立たされたときは、ぜひ実践してみてください。

***
ピンチに弱い。心が折れやすい——そんな自覚がある方は、今回ご提案した3つの方法でAQを高め、どんな場面でも活躍できる強いメンタルを養いましょう。

(参考)
PEAK LEARNING|PEAK
PEAK LEARNING|AQ Adversity Quotient
PEAK LEARNING|AQ PROFILE 10.0 2019 Technical Report
高濱正伸(2015)『へこたれない子になる育て方』, プレジデント社.
渋谷昌三(2012)『心理学者は知っている リーダーシップのある人、ない人 - 部下を持つ人のセルフ・トレーニング』, PHP研究所.
鈴木博毅(2018)『1時間で歴史とビジネス戦略から学ぶいい失敗悪い失敗』, 株式会社かんき出版.
ニトリホールディングス|ニトリというビジネスモデルの可能性
Full-Count|大谷翔平、ピンチで増す球速はメジャートップ級 活躍の裏にあった“変貌”ぶり
かもめの本棚|ピンチをチャンスに変える心のカギ「AQ」とは? 最終回 逆境の等身大の姿を見つめるためには?
かもめの本棚|ピンチをチャンスに変える心のカギ「AQ」とは? 第1回 ささいな違和感がやがて大きな逆境に
かもめの本棚|ピンチをチャンスに変える心のカギ「AQ」とは? 第2回 ピンチのもとをキャッチする
渋谷昌三(2012)『いちばんやさしい心理学の本』, 西東社.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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