「無関心」な相手を一気に味方へ引き込む最強フレーズ3つ。YESと言わせる “BYAF法” がすごい!

「無関心」な相手を一気に味方へ引き込む最強フレーズ01

「サービス内容を説明しても、相手の反応が薄い。どうしたら興味をもってくれる?」
「ひとりでは終わらない仕事。でも、あまり親しくない同僚に頼むのは気が引ける……」

このようなときは、言葉の選び方に気を使うだけで、相手の心を動かすことができるかもしれません。今回は、無関心な相手を味方へ引き込むフレーズを3つお伝えします。

1.「あいさつ+ひとこと」

職場の人と距離を感じて、声をかけにくい。仕事の質問すら、気が引けてしまう——そんなときは、「あいさつ+ひとこと」から始めてみてはいかがでしょう。自分に関心をもってくれない相手との距離を、ぐっと縮めることができるかもしれませんよ。

コミュニケーション研修を行なう(※)宮本秀明氏によると、あいさつをするかしないかで、職場にもたらされる影響は次のように異なるのだそう(※2017年6月16日付の資料に基づく)。

  • 「あいさつをしない社員」に対し、周囲はマイナスの先入観を抱き、仕事について非協力的な態度をとるようになる。結果的に、仕事の能率が下がる

  • 「あいさつをする社員」に対しては、周囲はプラスの印象をもつため、仕事面で協力的に関わるようになる。その結果、おのずと仕事の能率が上がる

「あいさつが仕事の能率を左右する」ということは、事例を通しても理解することができます。ここで、「無印良品」を手がける株式会社良品計画のエピソードをご紹介しましょう。

元会長・松井忠三氏が社長に就任した当時(2001年)、同社は38億円の赤字を抱えていました。どん底状態から脱却するには、社員の意識や考え方、つまり社風を変えることが不可欠だと考えた松井氏。そこでまず取り入れたのが、「朝のあいさつ運動」だったそうです。

その結果、社員のあいだに自発的にあいさつをする「新しいクセ」が定着。あいさつの習慣によって、社風が変化していったといいます。その後業務改革を経て、同社の業績は奇跡のV字回復を遂げました。先述したように、あいさつが仕事の能率を左右することを考えると、うなずける結果だと言えますよね。あいさつには、単なるコミュニケーション以上の役割があるのです。

「無関心」な相手を一気に味方へ引き込む最強フレーズ02

さらに、自分にあまり関心をもってくれない相手との距離をより縮めるには、あいさつのあとに「雑談」をするのも有効です。『会話がはずむ雑談力』著者で明治大学教授の齋藤孝氏によると、人は無意識のうちに、雑談を通して、相手の人間性や社会性を瞬時に判断しているのだとか。相手を味方に引き込むには雑談を活用しない手はありません。

そこで、齋藤氏が提案する「あいさつプラス α」を実践してみましょう。ただのあいさつが雑談へと発展するかしないかは、いつものあいさつのあとに、ひとことフレーズを足せるかどうかにかかっているそうです。以下、例を挙げてみます。

  1. 朝のあいさつ+ひとこと
    「おはようございます。会社の近くに新しいベーカリーカフェがオープンしていましたよ。もう見ましたか?

  2. ねぎらいのあいさつ+ひとこと
    「資料作成、お疲れさまでした。いつも仕事が正確で助かっています

あいさつにひとことつけ加えるだけで、次の会話へと運びやすくなりますよ。

距離を感じる「無関心」な相手には、まず「あいさつプラスα」を実践することから始めてみてはいかがでしょうか。いままでよりも仲が深まり、仕事もスムーズに進むようになるはずです。

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2.「鋭いですね」

顧客に説明を始めたが、なげやりなリアクションしかしてもらえない。その場をもたせるためにとりあえず質問はしてくれるが、こちらに関心がないのは目に見えている——そんな「反応の薄い相手」には、知識欲を刺激する言葉を使ってみてはいかがでしょうか。

『超一流の雑談力』の著者・安田正氏によれば、会話をうまく広げるには「聞き方」が非常に重要なのだそう。なぜなら、人は自分の話を聞いてもらうことで、安心したり嬉しく感じたりするから。

安田氏が、聞き方のなかでも特に重要視するのが「相づち」です。一般的に、相づちは「さしすせそ」を心がけるのが効果的と言われています。

  • さ……さすがですね
  • し……知りませんでした
  • す……すてきですね
  • せ……センスがいいですね
  • そ……それはすごいですね

しかし、「さしすせそ」が効果的ではないケースもあると安田氏は述べます。たとえば、何を話しても薄い反応しかしてくれないような、どちらかというと無関心な人を相手にする場合です。そのようなタイプの人と話すときは、「鋭いですね」と言うとよい――そう安田氏は言います。

安田氏いわく、このフレーズは相手の知識欲求を刺激できる言葉。ジャーナリストの池上彰氏が時事解説をするとき、「いい質問ですね」とよく言うのも、意図は同じなのだとか。このフレーズを使えば、”あなたの視点は優れている” というメッセージを遠まわしに伝えることができるそうです。

加えて、「鋭いですね」のあとに感想をひとりごとのようにつぶやくのもポイントだとか。

たとえば、顧客に自社サービスの説明をしているが、どこかつまらなそうに見える場合は、相手の発言をすかさずキャッチして、以下のような言葉を挟んでみてはいかがでしょうか。

  • 「鋭いですね」(相手の知識欲を刺激する)
  • 「その点に気づかれる人はあまりいないんですよ」(自分の感じたこと)
  • 「ご指摘いただいたとおりデメリットがあるのですが、じつはそれを解消するためにBプランを併用することもできるんです」(再び、説明に戻る)

このように「鋭いですね」と言えば、自然に相手を立てられます。結果、反応が薄い「無関心な相手」を振り向かせることができるはずです。

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3.「あなたにお任せします」

あの同僚に、頼みたい仕事がある。でも、たいして仲が良くない相手なので、頼んでもあまり自分に協力してくれなさそう——そのような場合には、前のめりなコミュニケーションをせず、あえて引いてみることも大切。”判断はあなたにお任せします”相手に委ねる言葉を使えば、協力を得やすくなります。

西イリノイ大学による2013年の論文で、コミュニケーションに関する40以上の研究をメタ分析した結果が報告されました。それによると、人に協力を募るとき、最後に「ですが、決めるのはあなたの自由です」という言葉をつけ加えると、相手がYESと答える確率が2倍にも上がったとのこと。この手法を、“But You Are Free(=ですが、あなたの自由です)” の頭文字をとってBYAF法と呼びます。

なぜ、相手に判断を委ねることが効果的なのでしょうか。研究者たちは、「“拒否する自由がない”という認識を弱めることが、相手を協力的にさせる」と考察します。

ストレートに「私の仕事を手伝ってください」と伝えると、相手は助けることに義務感を感じてしまうもの。一方、「(手伝うかどうかは)あなたの自由です」と伝えれば、相手の自由意志を尊重していることになります。“自分の意志で選べる” ことが、助けてあげようという心理にさせるのです。

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たとえば、もし仕事の助けが必要なときは、こんな言葉でお願いしてみたらどうでしょうか。

お忙しいところ、すみません。資料探しが間に合いそうにないんです。一緒に探してもらえませんか? もちろん、手伝うかどうかはあなたにお任せします。

大切なのは、相手に「ノー」と言える余地を残しておくこと。強く要請するのではなく、自由に選ぶ権利を与えれば、非協力的な「無関心な相手」を味方にすることができますよ。

***
今回の記事で紹介したフレーズをヒントに、“近よりがたい” と感じる人を味方にして、心地よく仕事を進めていってくださいね。

(参考)
東洋経済オンライン|無印良品、課長以上は「朝8時」から挨拶当番!
PHP人材開発|挨拶が職場にもたらす効果~若手社員に理解させるには?
ダイヤモンド・オンライン|困った! 会話が続かないときの「雑談力が上がる話し方」のコツ
まいにちdoda|雑談力を上げるコツとは?雑談力本の筆者が教えてくれた「一流の雑談力」
ダイヤモンド・オンライン|相手の知識欲を刺激するには「このひとこと」を使えばいい
Inc.|Why Emotionally Intelligent People Embrace the BYAF Rule
Research Gate|A Meta-Analysis of the Effectiveness of the “But You Are Free” Compliance-Gaining Technique

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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