「すぐキレる人」は、“許容ゾーン” を広げる努力ができていない。

コアビリーフの歪みを解消して怒りを解消する01

ビジネスの場では、「怒る」という行動はなかなかとりづらいですよね。とりわけ、職場でのキャリアがまだ浅く強気で出られない人や、取引先やお客さん相手に下手(したて)に出る必要のある人であれば、なおのこと。いつも「自分が我慢すればいいや……」というところに収まってはいないでしょうか?

しかし、それではストレスがたまる一方ですし、いつか怒りが爆発して取り返しのつかない事態に発展する可能性もゼロではありません。

そこで今回は、怒りのメカニズムに迫りつつ、なるべく我慢しないかたちで怒りに対処する方法について考えていきます

「なぜ怒ってしまうのか」を理解しよう

そもそも、私たちはなぜ怒ってしまうのでしょうか。その答えは、「アンガーマネジメント」をヒントに見つけられるかもしれません。

アンガーマネジメントとは、「怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング」のこと。決して怒らないようにするのではなく、“怒る必要のあるときには怒り、怒る必要のないときには怒らない” という考え方が根底にあります。

日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏によれば、怒りの発生は下記の3つのステップをたどるとのこと。

「出来事に遭遇」→「出来事の意味づけ」→「怒りの発生」

たとえば、会議で自分が話している最中に突然遮られてイラっとした場合、次のようになります。

「話の途中で遮られた」→「人の話は最後まで聞くべきだ」→「失礼だ!(イラっ)」

 この中でも一番のポイントは、「人の話は最後まで聞くべきだ」という「出来事の意味づけ」。アンガーマネジメントでは、このような判断の価値基準にしているものを「コアビリーフ」と呼びます

つまり、このコアビリーフに照らし合わせて、それにそぐわなかった場合に怒りを感じるというのが、怒りのメカニズム。先の例で言えば、「人の話は最後まで聞くべきだ」というコアビリーフを持っていなかったとしたら、そもそも怒りを感じることはありませんよね。むしろ、「有益なアドバイスを入れてくれた」ととらえて、感謝するケースすらあるわけです。

このように、怒りの本当の原因は、相手でも環境でも状況でもなく、“自分自身の中” にあるのです。

コアビリーフの歪みを解消して怒りを解消する02

「~すべき」という “コアビリーフの歪み” に要注意

特に注意したほうがいいコアビリーフは「~すべき」という考え方だと、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実氏は述べます。「~するのが常識だ」「~するのが当たり前だ」といったものも同類ですね。それぞれ例を挙げてみましょう。

  • 君のことを思って話しているのだから、もっと私に感謝すべきだ
  • このくらいのことは、いちいち説明しなくてもわかるのが常識だ
  • 上司なんだから、面倒をみてくれて当たり前だ

戸田氏は、各人が持っている「~すべき」という考え方は、誰にでも通じる共通のものではないと指摘します。つまり、自分にとっての常識は、相手にとっての常識ではないということ。

「すべきだ」「常識だ」「当たり前だ」――そんな “コアビリーフの歪み” が自分の中に根づいていないか、いま一度確認してみてください。

コアビリーフの歪みを解消して怒りを解消する03

怒りの感情に振り回されない人になる3つのステップ

では、コアビリーフの歪みを直すには、どうすればいいのでしょうか。以下の3つのステップを実践してみましょう。 

1. 自分のNGゾーンを知る

戸田氏は、まず「べき」の境界線をチェックすることを推奨します。ひとことで「べき」と言っても、「OKゾーン」「許容ゾーン」「NGゾーン」の3種類あるとのこと。「OKゾーン」「許容ゾーン」だと怒らない、「NGゾーン」だと怒る、といった具合です。

OKゾーン:自分と同じ「べき」だから、怒る要素がない
許容ゾーン:自分と少し違う「べき」だけれども、許容範囲だから怒らない
NGゾーン:自分とは違う「べき」で、許容できない範囲のため、怒る

 ここで、前述した「人に話を遮られる」というケースを当てはめると、次のようになります。

OKゾーン:単なる言い間違いを指摘する程度であれば、まったく問題ない
許容ゾーン:説明を補足する行為は、少し気になるが許容範囲
NGゾーン:突然反論しだすのは、どうしても受け入れがたい

2. 自分の許容ゾーンを広げる

自分のNGゾーンを特定できたら、それを修正する作業に移りましょう。

たとえば、「突然反論しだす」ことに受け入れがたさを感じている場合でも、反論の対象が何であるかによって、受け止め方は変わってくるかもしれません。自分という人格ではなく、プレゼン内容自体が否定されている場合は許容なのではないか、といった具合に。このように、許容ゾーンを拡大していきます

もちろん、一気に変えるのは難しいので、少しずつでかまいません。意識して少しずつ広げていけば、自然と「まあいいか」と思えるようになっていくでしょう。

許容ゾーンを広げる

※日経doors『なぜ私たちは怒ってしまうのか「怒り」の専門家に聞く』を参考に作成

3. 自分のNGゾーンを相手に伝える

とはいえ、人間である以上、「これだけはどうしてもNG」というものがあって当たり前。その場合は、「話の途中で反論されるのは、やはりどうしてもイヤ」というNGゾーンをオープンにしてしまいましょう

たとえば、「質疑応答の時間もしっかり設けますので、まずは私の話を最後まで聞いていただけますでしょうか」と前もって伝えておくなどすれば、周りの人も協力してくれるはず。そうすれば、我慢が必要なシーンは確実に減っていくでしょう。 

***
多くの人は、自身のコアビリーフの存在すら気づいていないかもしれませんね。まずはそれを特定するところから始まります。

代表的なコアビリーフ「~すべき」という思考を少しでも修正して、怒りに振り回されない人生をつかみましょう!

(参考)
StudyHacker|怒りの感情と上手に付き合う! 欧米トップ経営者の常識「アンガーマネジメント」入門
安藤俊介(2016),『アンガーマネジメント入門(朝日文庫)』, 朝日新聞出版.
日経doors|なぜ私たちは怒ってしまうのか「怒り」の専門家に聞く
リクナビNEXTジャーナル|「怒り」をモチベーションにできるアンガーマネジメントを学ぼう

【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。

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