傲慢さは大切な “あのチカラ” を奪う。仕事終わりの「ノート習慣」で謙虚になれるワケ。

傲慢症候群を防ぐ4つの対策01

傲慢症候群」という言葉をご存知でしょうか?

傲慢症候群とは、権力を手にしたことによって陥る一連の人格障害を指す概念です。一般に、人は権力を持つとわがままになったり、視野が狭くなったりすることが多いとされています。童話「裸の王様」にも、権力者の傲慢というテーマは皮肉を交えて描かれていますね。

王様や社長に限ったことではありません。もしも、あなたがひとりでも部下を持っているなら、あるいは後輩を指導したり指示を出したりすることがあるなら、小さくともれっきとした権力を持っていると言えます。ひょっとすると、すでにあなたも「傲慢症候群」に陥っている可能性だってあるのです

では、いったいどんな人が傲慢症候群と呼ばれるのか、そして傲慢症候群を防ぐためにはどうすればいいのか、解説していきます。

傲慢症候群には誰でもなり得る

精神科医の片田珠美氏によると、傲慢症候群とは権力を手にしたことで自信過剰になり、冷静な判断力を失った状態のことを言います。具体的な特徴としては、

  • 自己顕示欲が強い
  • 自己正当化する
  • 視野が狭い
  • 現実否認する

などが挙げられるのだそう。要は「威張り屋で人の話を聞かない独裁者」といったイメージですね。適度な自信は歓迎すべきものですが、過剰になった自信は「傲慢」と名を変え、良識や人望を失う原因になってしまいます

「でも自分は権力なんて持っていないから、関係ないな」と思ったたあなたは要注意。なぜならば、権力というのはなにも、王様や社長だけのものではないから。「権力=相手を従わせる力」と定義するなら、規模は小さくとも、あなたも何かしらの権力を持っているはずなのです。

たとえば、先輩は後輩に対して権力を持っていると言えます。親もまた、自分の子供に対して権力を持っています。同様に、上司は部下に対して、客は店員に対して、兄は弟に対して、権力があります。つまり「相手に対して優位に立っている」と少しでも自分が感じるときには少なからず権力が発生し、同時にあなたが傲慢になる可能性も生まれるのです。

特に、会社で昇進する、大きな仕事を任されるなどの機会があった場合には、自分が傲慢になっていないか常にチェックしておく必要があります。

傲慢症候群を防ぐ4つの対策02

傲慢さは「学ぶ力」を失わせる

もしも傲慢症候群になってしまった場合、あなたはビジネスパーソンとして最も大切なものを失ってしまいます。それは「失敗を認め、学ぶ力」です

リーダーシップを支援する企業「ポテンシャル・プロジェクト」創設者のラスムス・フーガード氏は、次のように解説しています。

肥大化したエゴのせいで、態度も横柄になる。自分の成功における唯一の立役者は自分自身だと信じるとき、無礼さや身勝手さに拍車がかかり、他人の話を遮る傾向が強まる。挫折や批判の矢面に立たされると、この傾向が顕著に現れる。こうして、思い上がったエゴのせいで、誤りから学ぶことができなくなり、防壁が築かれて、失敗から得られる豊かな教訓の真価を認めることが困難になる

(引用元:ハーバード・ビジネス・レビュー|エゴは優れたリーダーシップの敵である ※太字は筆者が施した)

傲慢になるということは「自分だけが正しい」と信じて疑わない、ということです。そのため、誰かに間違いを指摘されても耳を貸さず、失敗を認めることができません。したがって、新しく何かを学んだり、反省するということができなくなってしまうのです。

あなたは部下や後輩から誤りを指摘されたとき、「何を偉そうに」なんて思っていませんか。もしもそうなら、それは傲慢症候群に陥る一歩手前なのかもしれません

傲慢症候群を防ぐ4つの対策03

傲慢症候群を防ぐには?

では、どうすれば傲慢症候群を防ぐことができるのでしょうか。ダートマス大学(アメリカ)のシドニー・フィンケルシュタイン教授は、自信過剰を抑制する方法として以下の4つを提唱しています。

1. 自分ばかりアイデアを出していないか調べる

あなたは会議で、部下の意見を否定ばかりしていませんか? もしもそうなら、部下たちは「どうせ否定されるから」と発言しなくなっている可能性があります

これをチェックするには、四半期に一度、会議中に誰がいくつアイデアを出したのか集計してみてください。もしアイデアの数があなた(リーダー)に集中していたなら、改善の余地ありということになります。

対策としては、会議の中であえて「反対意見を出す役割」の部下を何人か決めておくという方法があります。つまり、反対意見を出すと決められた人は、出された意見の穴や欠点を「必ず」言わなければいけない、ということにするのです。反対意見を出す人を決めておくことによって、部下が上司の意見に反対する際の心理的負担を減らすことができますし、より多角的な視点からアイデアを練ることができますよ。

2. 1日の終わりに振り返りを書く

傲慢症候群の人は、ときに事実をねじ曲げて解釈してしまいます。自分の間違いを指摘されても認めない、データを都合のいいように解釈する、などです。

自分が事実をねじ曲げて解釈していないか確かめるには、仕事終わりに10分、ノートに振り返りを書いてみてください。内容は、その日自分へ向けられた批判などに対しどのように思ったか、ということ。以下のような具合です。

【不都合なこと】
「課長、もう少し僕の話を聞いてください」と部下に言われた。

【それに対して思ったこと】
「聞いてほしいのなら、もっとまともな意見を出せよ」とイライラした。

上の例では、「話を聞いてほしい」という部下の要望を結局受け入れていない、ということがわかります。このように出来事と感情を書き出すことで、自分の傲慢さを客観的に自覚することができるのです。

3. 他の人に脚光を浴びさせてみる

立場が上になると、つい業績や権限を独り占めにしたくなってしまいます。部下のほうも、常に「課長、お先にどうぞ」という具合に、あなたに花を持たせようとするでしょう。だからこそ、部下から持たされた花をこちらから返していくよう意識しなければなりません。

具体的には、成果を上げた部下には功績を与える、部下へ積極的に権限を移譲する、会議をほかの人に仕切ってもらう、といった方法が挙げられます。とにかく「自分が一番偉い立場であろう」という考えを捨て、部下がどんどん力を持てるようにしましょう。活躍の機会を与えることで部下の成長が促され、仕事全体に良い循環が生まれるはずです。

4. 人の話を聞くようにする

傲慢な人は「自分だけが答えを持っている」と思っているため、他人の意見を軽視してしまいます。そのため、会議では人の話を遮り、自分だけが喋りすぎてしまうことも。

他者の意見を軽視することを防ぐ対策としては、信頼できる同僚やチームのメンバーにフィードバックしてもらう、会議の議事録を振り返ってみるなど、自分がどのくらい他人に耳を傾けているか、客観的に知る機会を持ちましょう

もしも自分が人の話を聞けていない、と自覚した場合は、なるべく自ら誰かに質問する、教えてほしいと頼むなど、「積極的に聞く」姿勢を持つよう心がけてみてください。

***
人間誰しも、傲慢になってしまう可能性を持っています。もしも「自分は常に正しい」といった思いがよぎりそうになったら「それはただの自己満足であり、合理的な判断ではない」ということを思い出してください。傲慢に振る舞うのは一時的には気持ち良いかもしれませんが、代わりに多くのものを失う危険をはらんでいるのです。

(参考)
ダ・ヴィンチニュース|職場や家庭…あなたのまわりの「オレ様=傲慢人間」たち。「傲慢症候群」の11の特徴と6の対策とは?
AERA dot.|安倍首相の「傲慢症候群」3つの要因 それを支えるメディアの罪とは?
ハーバード・ビジネス・レビュー|エゴは優れたリーダーシップの敵である
Oxford University Press|Hubris syndrome: An acquired personality disorder? A study of US Presidents and UK Prime Ministers over the last 100 years
ダイヤモンド・オンライン|リーダーの心得:自信過剰になるのを防ぐ4カ条

【ライタープロフィール】
佐藤舜
中央大学文学部出身。専攻は哲学で、心や精神文化に関わる分野を研究。趣味は映画、読書、ラジオ。人生ナンバーワンの映画は『セッション』、本は『暇と退屈の倫理学』。好きな芸人はハライチ、有吉弘行、伊集院光、ダウンタウン。

 

 

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