アサーティブとは? 必須のスキル・アサーティブコミュニケーションで快適な人間関係を目指そう

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「アサーティブ」という言葉が何を意味しているかご存知ですか?  “assertive”“assertiveness”といえばピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんね。今回は、身についていると皆さんの対人関係がより充実したものになる「アサーティブ」についてお教えしましょう。

アサーティブとは?

アサーティブとは、そもそもどういう意味なのでしょうか。アサーティブとは、「相手にも配慮した自己主張」を意味する“assertiveness”がカタカナ化したものです。原語の通りにアサーティブネスと呼ばれることもあります。感情をそのままぶつけるのではなく、かといって感情を押し殺すのでもなく、相手に配慮しながら自分の気持ちを正当に主張しようというものです。

この思想は、1960年代以降のアメリカにおける人権運動の土台として発展しました。現在では欧米に限らず日本においても、ビジネスや、看護などの医療現場、教育機関などで広く知られている思想です。最近では、追手門学院大学をはじめとした複数の大学が「アサーティブ入試」という入試形態を実施していることからもわかる通り、アサーティブであることは個人の能力としても昨今かなり重視されていると言えるでしょう。

また、対人関係に重要な要素として「アサーティブ・コミュニケーション」「アサーティブ行動」という言葉も頻繁に用いられています。アサーティブコミュニケーションとは、「アサーティブなコミュニケーション」つまり「相手の意見を尊重しながら、誠実に自分の意見を主張するコミュニケーションをとること」

英語の “assertive” は「はっきりと断定的に主張する」という意味ですが、日本語における「アサーティブ」は往往にして「アサーティブコミュニケーション」と同じ意味で使われていると言えるでしょう。

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アサーティブにおける「4つの柱」

アサーティブは、「誠実」「対等」「率直」「自己責任」4つの柱からなっています。

「誠実」とは自分に対しても、相手に対しても誠実であることを指します。感情を押し殺しても、感情と裏腹な行動をとってもいけません。まずは、自分がどう感じているのか、自分自身に尋ねましょう。同時に、相手にとっても誠実に、嘘のない真っすぐな態度で接することが必要とされます。

「対等」とは、たとえ相手との間に上下関係があったとしても、人間として対等に接することを指します。相手を見下すことなく、かといって卑屈になることもなく、自分のことも相手のことも尊重した対等な態度をとることが大切です。

「率直」とは、相手に率直に向き合うことを指します。自分の意見を主張するときは、「 “みんなが” こう言っています」「“上司が” こう言っています」などと第三者を巻き込んで保身に走ることなく、相手の顔をしっかりと見て「“私は” こう思います」と率直に話すことが重要です。

「自己責任」とは、自分のコミュニケーションによって生じた結果は自分が引き受けるということを指します。同時に、相手とのコミュニケーションの半分は自分に責任があるという意味でもあります。

アサーティブは、これら4つの柱を元に成り立つものです。

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「アサーティブでないコミュニケーション」の特徴

では、アサーティブな会話アサーティブでない会話はどのような違いがあるのでしょうか。アサーティブでないコミュニケーションの特徴をご紹介しましょう。

アサーティブでないコミュニケーションは、「攻撃的タイプ」「受身的タイプ」「作為的タイプ」の大きく3つに分かれています。自分のコミュニケーションがどのタイプに当てはまっているか、チェックしてみてくださいね。

攻撃的タイプ

攻撃的タイプは、自分の意見を主張することに重きを置いており、相手を尊重することができていません。人との関係を勝ち負けで考えており、「負けたくない」「間違いを指摘されたくない」という自己防衛心理が働いている状態とも言えます。自分の意見をはっきりと言うことはできますが、相手に「ノー」と言わせません。また、過剰な自己主張によって相手を傷つけていることも大いにあります。

受身的タイプ

受身的タイプは、関係悪化を恐れるあまりに相手の意見に合わせてしまい、自分の意見を主張できません。表面的には相手を思いやる優しい人だと思われがちですが、根源にあるのは、「自分が嫌われたくない」という自己中心的な心理です。遠回しな表現や自信のない態度によって周りをいらだたせていることもあります。

作為的タイプ

作為的タイプは、言葉にして主張しない代わりに態度や雰囲気で感情を表したり、第三者を介したりして主張するタイプです。何か主張したいことや不満があっても言葉にはせず、かといって受身的タイプのように黙っているのは我慢ならないので、どうにか相手に察してもらおうとします。正面から人と対立することはありませんが、心の中では相手を見下している場合が多いのが作為的タイプです。

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アサーティブなコミュニケーションの例

「攻撃的タイプ」「受身的タイプ」「作為的タイプ」の3つに比べ、「自分中心」でも「相手中心」でもない、自分も相手も尊重したコミュニケーションを取ることができるのが「アサーティブ」です。アサーティブな会話の例やアサーティブの例文をご紹介しましょう。

【アサーティブな会話例1】次の約束があるのに取引先との会議が長引いていたら

次の約束の時間が迫っているにもかかわらず会議が長引いていたら、あなたならどうしますか? 

「もう区切りつけましょうよ!」と、相手に一方的に感情をぶつけてしまうのは攻撃的タイプ。ビクビクしながら「あのー……」と切り出すのは受身的タイプ。机をとんとんとたたいたり、時計を何度も見たりして、急いでいることを態度でアピールするのは作為的タイプ。どれも人を嫌な気分にさせたり、不要に下手に出たりしてしまっています。

アサーティブな会話としての正解は、「今日はこの後予定があるため○時になったら切り上げさせてください」と会議の前に伝えておき、予定時間になったら率直に「そろそろ○時になりますので、ここで終わりにさせていただきます」と伝えることです。

【アサーティブな会話例2】突然意見を求められたら

あなたにとって完全に専門外の分野に関して突然「どう思うか」と意見を問われた場合は、どうしたらアサーティブな受け答えができるでしょうか。

「○案がいいです」という答えは一見率直に思えますが、意見を問われているのは、あくまであなたにとって専門外の内容。このような断定的な言い方をしてしまうと、あなたがその分野に詳しいという誤解を招きかねませんし、あなたの発言が間違っていた際に責任を被ることになります。そのため、アサーティブにおける4つの柱のうちの2つである「誠実」と「自己責任」を満たすことができていないと言えるでしょう。

「Aさんのほうが詳しいのでAさんの意見がいいと思います」では、自信に欠けすぎています。また、意見を述べる責任を他の人に押しつけているため、こちらも上記の「○案がいいです」と同様に無責任であり、アサーティブにおける4つの柱のうちの1つである「自己責任」を満たしていません。

アサーティブな会話としての正解は、「その件に関してはあまり詳しくないので、あくまでも個人的な見解ですが、○案が良いと思います」と答えること。詳しくないことを正直に伝えたうえで、自分の意見を伝えることによって、アサーティブの4つの柱に基づいた主張ができていますよね。

アサーティブな会話例 3. 上司から無理な依頼をされたら

では、仕事を抱えて手一杯なときに、「急ぎで書類を作成してもらえないか」と上司から頼まれた場合は、どうしたらアサーティブな対応ができるでしょうか。 

上司から頼まれた仕事は断りにくいですよね。かといって、引き受けてしまっては負担が増える一方ですし、キャパシティを超えた量の仕事を抱えることはミスにつながります。しかし、「今は忙しいので……」と言いにくそうに断ってもアサーティブとは言えませんし、きっぱり断っては印象が悪くなります。

この場合、アサーティブなのは「今は○○を行なっていて時間を取れません。この仕事が終われば取りかかることができますが、それでもよろしいですか?」と、自分の状況を説明して代替案を述べること。このように主張すると、上司も急ぎの場合は他の人に頼み、遅くなってでもあなたに頼みたければ待ってくれますよね。自分のことも相手のことも尊重しているアサーティブな主張だと言えます。

アサーティブな会話05

アサーティブ・スキルを手に入れる方法

アサーティブがどのようなものかわかったところで、アサーティブ・スキルを手に入れる方法として、アサーティブトレーニングについてご紹介しましょう。アサーティブトレーニングとは、長い年月をかけて身についてしまったアサーティブでない言動を変えていくトレーニングです。まずは自分がどういったコミュニケーションをとっているかを認識し、ロールプレイングなどを通してアサーティブ・スキルを手に入れることを目標としています。

言葉の癖や態度をいきなり変えるというのは難しいもの。自分のアサーティブでない言動を変えたい方におすすめしたいのは、アサーティブトレーニングを行なうことのできるセミナーへの参加です。

・特定非営利活動法人アサーティブジャパン
特定非営利活動法人アサーティブジャパンは、東京や大阪で定期的にセミナーを行なっています。

例えば、2日間かけてアサーティブの基礎を学ぶことのできる基礎講座や、8時間かけて職場で使えるアサーティブを学べるビジネススキルアップ講座アサーティブトレーナーの養成講座まで、本格的な講座が多数あります。

加えて、手軽に参加してコミュニケーションやアサーティブについて談話することのできるアサーティブカフェも定期的に開催されており、本格的なものから気軽に参加できるものまで、さまざまです。

・リクルートマネジメントスクール
リクルートマネジメントスクールは、リクルートグループの実施する異業種交流型研修サービスです。リクルートマネジメントスクールは、都内にてビジネスパーソン向けのセミナーを開催しています。こちらでも、アサーティブジャパンの講師の講習を受けることが可能です。

上司や同僚・後輩へのアサーティブ・コミュニケーションに特化した「リーダーのためのアサーティブ・コミュニケーション」は3時間のコース。おおむね月に一度の頻度で開催されているので、スケジュールを調整して気軽に参加できますね。

ほかにも、朝10:00から17:30まで一日かけて本格的にアサーティブ・コミュニケーションを学ぶことのできるビジネスパーソン向け講座もあります。こちらも月に一度開催されているので、基礎から応用までしっかりとアサーティブ・コミュニケーションを学びたい方は、一日予定を空けて参加してみてはいかがでしょうか。

セミナーに参加する余裕がないという方は、日常の会話の中にアサーティブコミュニケーションを取り入れることを意識してみてはいかがでしょう。例えば、次のように心がけることだけでも、相手に今までと違った印象を与えることが可能です。

1. 率直かつ柔らかい表現で伝える

自分の意見を伝えることが苦手な人や、反対に自分の意見ばかりを主張してしまう人が自己主張をする際には、率直かつ柔らかい表現で、相手の目をしっかりと見ながら伝えるよう意識することが重要です。

2. 3つの要素を整理してから伝える

相手に伝えたいことがある場合には、「起きていること(事実)」「感じたこと(感情)」「してほしいこと(要求)」の3つの要素を紙などに書き出し、頭の中を整理してから伝えることがおすすめです。こうすることで、自身を一度クールダウンさせて必要なことだけを述べられるので、不必要に感情的になって相手を威圧することなく、意見を主張できます。

3. 代替案を提示して断る

相手の要望を断る際には「事実」「感情」「要求」を整理して伝えたうえで、代替案を提示しましょう。代替案を提示することによって、要望を断られたほうにも誠実な印象を与えることができます。

今回の記事を読んで、「私は攻撃的タイプだ……」「作為的タイプだ……」とアサーティブコミュニケーションができていないことに悩んでしまった方も、セミナーに参加したり、自らの言動に少しずつ注意を払ったりといった努力で、自分の言動をアサーティブなものへと改善していくことは大いに可能なのです。

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アサーティブな行動が身についていると、自分にとっても相手にとっても快適なコミュニケーションをとることができます。アサーティブを心がけ、円滑な人間関係を築きたいですね。

(参考)
株式会社日立ソリューションズ取引先や上司・部下と上手に対話する!アサーティブ・トレーニング 
STUDY HACKER|相手を気遣いながらも主張する! 「アサーティブコミュニケーション」3つのポイント
Worker’s Library|アサーティブネスの4つの柱 
アサーティブジャパン|自分のコミュニケーションタイプを知ろう
アサーティブジャパン|私たちの講座について
アサーティブジャパン|基礎講座
BizHint|アサーション・トレーニング
追手門学院大学|アサーティブ入試 
リクルートマネジメントスクール|アサーティブ・コミュニケーション(相手を尊重しながら自分の意見を率直に伝えるマインドとスキル)【1日】
リクルートマネジメントスクール|リーダーのためのアサーティブ・コミュニケーション ~対人関係を良好にする伝え方~(142)

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