“空欄” で資料を作ると情報収集が爆速に。マッキンゼー流「ブランク資料」を作ってみた

ブランク資料をつくってみた01

皆さんは、資料作りは得意ですか? 

レポート資料の作成に苦戦している学生や、プレゼンテーション資料の作成に時間をとられているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。

資料作りに時間がかかってしまう人は、そもそも、手順が間違っているかもしれません。今回は、「ブランク資料」 を使って効率的に情報収集し、短時間で資料を作成するメソッドをご紹介しましょう。

ブランク資料とは

ブランク資料は、激務で知られる外資系コンサルタントたちが活用している、資料作りの方法です。マッキンゼー・アンド・カンパニーで活躍した伊賀康代氏も、自身の著書『生産性』(ダイヤモンド社)の中で、コンサルタントにとってブランク資料は不可欠なものであると解説しています。

資料を作る際「まず情報をたくさん集めて、それから資料を作り始める」という方法をとっている人は多いのではないでしょうか? 情報が集まってから、資料の全体構想を決め、実際に作成し、少しずつ修正していく……という流れが一般的かもしれませんね。しかし、この手順は、じつは非常に効率が悪いのです。

ブランク資料の場合は、初めに全体構想を決め、以下の手順で作成します。

  1. 全体構想を決める(=ブランク資料の作成)
  2. 情報を収集する
  3. 実際に作成し、何度か修正する(=ブランク資料に値を埋める)

ブランク資料をつくってみた02

スピードが上がり、質も高まる

なぜ、最初にブランク資料を作成すると効率が上がるのでしょうか。マッキンゼー・アンド・カンパニーでリサーチ業務に携わっていた上野佳恵氏は、資料作りに関して以下のように述べています。

「まずやるべきことはグーグル検索ではない。“地図”の中の目的地を明らかにして、そこにたどり着く最短ルートをプランニングすることが先決」

(引用元:「マッキンゼー式資料づくり」, 日経トレンディ, 2017年4月号, p.32)

最初に大枠を決め、ブランク(空欄)のある資料を作ることで、“地図の目的地”がわかり、必要な情報の詳細をあらかじめ把握できます。それによって、資料作成に必要な最低限の情報を把握することができますし、インターネットで調べるのか、書籍や論文、新聞を使って調べるのか、専門家から直接情報を得るのかなど、「どう調べるのか」事前に戦略を立てることが可能です。その結果、「とりあえず情報をたくさん集める」よりも、はるかに効率的に情報収集ができるのです。

明確なゴールを持たないまま、Googleの検索結果を延々とスクロールし、あらゆる情報を読み漁っても、実際に役に立った情報はその中のごく一部だったり、「せっかく調べた情報だからどこかで使いたい」と無理にねじ込んだりしてしまいがち。しかし、初めにブランク資料を作れば、最短距離でゴールに到着することができるのです。

また、ブランク資料を作成することで、質が高まるメリットも。ブランク資料があると、詳細情報が入っていなくても完成像がイメージしやすいため、情報収集前から上司に確認をとることが可能になります。そのため、完成前に、不要な情報や、逆に不足している部分を指摘してもらいやすくなり、あとから無駄な修正などが発生しづらくなるのです。このように確認作業をしっかり行なうことで、上司からの信頼も得られますね。

加えて、それによって、早めに資料を完成させることができるため、資料をブラッシュアップすることに時間を取れます。結果、速さだけでなく、クオリティも向上させることができるのです。

ブランク資料をつくってみた03

ブランク資料を作ってみた

実際に、ブランク資料を作ってみました。以下のように、必要な情報が埋まっていない大枠を作ります。

実際に「ブランク資料」を作成した例

それから、必要な情報収集をし、資料を何度か修正して、完成させました。

ブランク資料を元に作成した資料の例

ブランク資料によって、制作スピードがかなり上がったと感じます。情報を調べる前に、すでに最終的なアウトプットイメージが出来上がっていたことが時短につながりました。やみくもに情報を調べていると終わりがありませんが、ゴールが決められているぶん、スムーズに情報収集ができた実感があります。

一方で、「そもそも知りたい内容が集まっていない段階で、どのような資料にするか考えるのが大変」という面もありました。今回は、ある程度の知識があるものについて資料を作ったので、それほど苦戦しませんでしたが、内容によってはブランク資料を作るのに時間がかかってしまうかもしれません。しかし、それを差し引いても、ブランク資料の作成は、とても効果的な手段だと感じました。

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資料作りに苦手意識がある人や、どうしても時間がかかってしまう人は、ぜひブランク資料を作ってみてくださいね。

(参考)
伊賀康代(2016),『生産性』, ダイヤモンド社.
「マッキンゼー式資料づくり」, 日経トレンディ, 2017年4月号, pp. 32-34
「その情報、本当に必要? ネット検索の“迷走”を防ぐ“ムダ激減”の情報収集術」, 日経ビジネスアソシエ, 2015年12月号, pp. 52-53

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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