“あのひとこと” で部下はやる気をなくす。「こんな上司は嫌……」と思われかねない3つの口癖

「この人の下では働きたくない」と思われてしまう上司の口癖3つ01

「部下が指示通りに動いてくれない。何がダメなんだろう……」
「部下へ意見を積極的に聞いてみても、なかなか話してくれない……」

こうした悩みがあるなら、あなたにNGな口癖があるのかも。今回の記事では、「この人の下では働きたくない」と思われてしまう上司の口癖を3つご紹介します。部下から慕われたいのになかなかうまくいかない……という方、ぜひご一読ください。

NG口癖1.「ちゃんと」「しっかり」「徹底的に」

ちゃんと対応して」「徹底的に調べて」「しっかりやっておいてね」などと、部下につい繰り返し言ってしまう人は要注意。

あなたは部下の指導に力を入れているつもりでも、肝心の部下はあなたに対して「この人の下では働きづらいな……」と感じているかもしれません。

というのも、「ちゃんと」「しっかり」「徹底的に」といった曖昧な表現は、人によって受け取り方が異なるものだから。日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏が、そう説明しています。

上司が考える「ちゃんと」と部下の考える「ちゃんと」が一致するとは限りません。上司に「ちゃんと」と言われても、部下は何をどの程度やればいいのかわからない可能性があります。上司・部下間の行き違いが続けば、部下はあなたに対し「指示内容がいつもよくわからない」と思ってしまうもの。

また、ビジネスインストラクターの鈴木真理子氏は、上司からの指示がわかりづらいと、部下は不満を抱えたりモチベーションが低下したりすると警鐘を鳴らします。結果、そういう指示ばかり出す上司は、信頼を失いかねません。

「この人の下では働きたくない」と思われてしまう上司の口癖3つ02

そこで、鈴木氏がすすめる「6W3H」を活用し、的確な指示を出すようにしましょう。「6W3H」とは、次の単語の頭文字をまとめたものです。

  • When(いつ、いつまでに)
  • Where(どこで、どこに)
  • Who(誰が)
  • Whom(誰に)
  • What(何を)
  • Why(なぜ、なんのために)
  • How(どのように)
  • How much(いくら)
  • How many(いくつ)

必ずしもすべてを盛り込む必要はないようですが、「6W3H」のうちひとつでも多く含まれていれば、より具体的でわかりやすい指示になるでしょう。

たとえば、購買情報に関する資料の作成を部下へ求めるとき。こんな指示を出すのはよくありません。

「まずは徹底的に情報収集して」
「きちんと作成して」

これだと部下は、どの程度情報収集したらいいのか、どう仕上げればいいのかわかりません。ですから、以下のように指示を具体化し、部下が行動しやすくなるようにしましょう。

「商品Aの○年分と×年分の売上を比較したいので(Why)、2年分の売上データを(What)月別推移がわかるかたちで調べて、パワーポイントで表とグラフにまとめてください(How)。△月□日までに作成して(When)、私に送ってください」

ちなみに、自分が指示した内容をメモしておけば、進捗管理やアドバイスがしやすくなると鈴木氏。「ちゃんとやっておいてね」とだけ言ってほったらかしの上司より、「△月□日までにやってね」と指示し、後日「順調に進んでる?」と経過をフォローしてくれる上司のほうが頼りがいがありますよね。心がけてみてください。

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NG口癖2.「(あなたは)……だよね」

(あなたは)この前も同じミスをしていたよね」「(あなたは)いつも残業しているよね、効率が悪いんじゃない?のような指摘を重ねていませんか? 

上司としては部下を成長させたい一心でも、実際はかえって部下を萎縮させているかもしれません。

臨床心理士の高橋美千代氏によると、相手を主語にした言い回しである “ユー・メッセージ” で注意すると、相手を非難するニュアンスが強くなるそう。相手は自分が責められているように感じて、コミュニケーションがうまくとれなくなると言います。

「この人の下では働きたくない」と思われてしまう上司の口癖3つ04

そこで代わりに使いたいのが、自分を主語にした “アイ・メッセージ。「私」を主語にして伝えると、相手を非難することなく自分の意見や気持ちを伝えられると、高橋氏は説明しています。

また、産業カウンセラーの大美賀直子氏によれば、“アイ・メッセージ” には「私はこう思う」という素直な気持ちがこもっているため、相手にとっても素直に受け入れやすいそうです。

たとえば、以下のような注意の仕方は、避けるべき “ユー・メッセージ” のわかりやすい例。

「(あなたは)どうして大きな声で発言できないの?」
「(あなたは)書類をいつも締切間際に提出するよね」

こうした指導ばかりしていると、部下はあなたのことを攻撃的だと感じて、しだいにあなたと接すること自体を避けるようになるかもしれません。部下との関係を良好にしたいなら、

「大きな声で話せばみんなに伝わりやすくなると(私は)思うよ」
「締切に余裕をもって書類を提出してもらえると(私は)助かるな」

といった具合に、 “アイ・メッセージ” を活用して自分の気持ちを伝えましょう。

さらに、大美賀氏によると、注意を受け入れてくれた相手に「ありがとう」「嬉しい」と伝えると、相手の心をさらに動かせるそう。あなたの注意を部下が受け入れたら「声が大きくなって聞き取りやすくなったよ。嬉しい!」「早めに書類を提出してくれて助かるよ、ありがとう」などと伝えれば、部下はいっそう上司のアドバイスに耳を傾けやすくなるはず。

部下を注意するときは、“アイ・メッセージ” で自分の素直な気持ちを伝えることを意識してみてください。きっと部下に、「この人の指示はしっかり受け止めよう」と思わせることができるでしょう。

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NG口癖3.「いや」

部下が言ったことに対して「それは違うな」と感じたとき、「いや、違うんじゃない?」「いや、BじゃなくてAがいいよ」と言っていませんか? 

「最近、部下から意見がなかなか出てこない……」という悩みの原因は、あなたの「いや」という口癖にあるかもしれません。

人事コンサルタントの大橋高広氏によると、上司から「いや」と言われると、部下は二度と発言したくなくなるとのこと。

これには研修トレーナーの太田章代氏も同意見。上司から「いや」と言われた部下は、嫌な思いをしても言い返さないまま、「この上司に何を言ってもダメだ」と意見を言わなくなる恐れがあると指摘します。部下との関係が悪くなる可能性も高まるのだそうです。

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そこで、太田氏がすすめるのが、返事を「いや」から「なるほど」に変えること。「なるほど」から入って部下の意見を聞くようにすれば、人間関係が好転すると言います。

たとえば、「商品AとBのどちらが売れるか」という話題について、あなたは内心「Aが売れる」と考えていたところ、部下が「私は、Bのほうが売れると思います」と言ったとします。

そんな場面で、いつもだったら「いや」と言ってしまうところを、次のように変えてみましょう。

「いや、Aのほうがいいと思うんだけど」
⇒「なるほど、Bがいいと思ったんだね。選んだ理由を聞かせてくれる?」

また、精神科医の和田秀樹氏がすすめるのは「それもそうだね」。自分と相手の意見が違ったときに「それもそうだね」と最初に返せば、「あなたの意見は確かに聞きましたよ」というメッセージを伝えることができて便利だそう。

企画書の修正点を話し合っているとき、部下が「○○という点を修正したほうがよいと思うのですが」と言ってきたら……

「いや、その点は修正はいらないよ」
⇒「それもそうだね。修正したほうがいい理由を聞かせてくれる?」

何を話しても「いや」と返す上司に対しては、発言したくなくなっても仕方ありませんよね。部下の意見は「なるほど」「それもそうだね」とまず受け止めて、「この上司には、自分の意見を聞いてもらえる!」という安心感を部下にもたせてあげましょう。

***
3つのNG口癖を使っている心当たりはありますか? 心当たりがあるなら、ご紹介した改善例を参考に口癖を直してみてください。部下との関係がきっとよくなるはずですよ。

(参考)
NIKKEI STYLE|余計な一言を「好かれる言葉」に変える25のフレーズ
NHKラジオ らじる★らじる|大野萌子さん 見つめ直そう言葉の使い方
日経xwoman|ちゃんと伝わる、成果が必ず出る「指示の出し方」
富士巧芸社|コラムVol.20 伝え方でがらりと変わる「アイ・メッセージ」「ユー・メッセージ」の使い方
All About|攻撃的な「YOUメッセージ」・気持ちを伝える「Iメッセージ」
プレジデントオンライン|「自己評価の高い人ほど口にしがち」口先だけのダメ上司が使いがちな7つのパターン
アイキャリア株式会社|部下が心を閉ざす上司の口癖|人間関係が悪くなる否定的な返事
プレジデントオンライン|「どうせ」は絶対に言ってはいけない…なぜか人生がうまくいく明るい人に共通する"ある口癖"

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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