「話が通じない」その原因は “思考タイプの違い” にあり! まずは相手のタイプを見極めよ

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「客観的なアドバイスをしたのに、なぜあの人は不機嫌になるのだろう……」
「感情を込めて必死で主張したのに、なぜわかってくれないのだろう……」
こういった悩みは「思考タイプの違い」から生じているのかもしれません。

大切なのは、相手がどんな思考をする傾向にあるのかを把握し、それに合わせた伝え方をすること。今回は、「ゴール指向問題解決型」と「プロセス指向共感型」というふたつの思考タイプを取り上げ、それぞれに適したコミュニケーション方法をご紹介します。

【タイプ1】ゴール指向問題解決型

まずは「ゴール指向問題解決型」について。感性アナリストの黒川伊保子氏は「事実を客観的に把握し、ゴールを定めて問題解決を図ろうとするタイプ」と説明しています。

たとえば、会社の業績が低迷しているとき、このタイプの人は「売上◯%減少」というように客観的な数字で状況を把握しようとします。そのうえで、さまざまなデータをもとに業績低迷の要因を探っていくのです。そこで「ホームページのアクセス数減少」が主原因だと特定できたら、「アクセス数◯%アップ」という最優先ゴールを設定。「SEO対策を強化してAページとBページを改善する」など、具体的な策を練っていきます。

ゴール指向問題解決型の人の念頭には、最終到達地点すなわちゴールが常に存在すると言えるでしょう。そして、客観的なデータや論理を武器に、ゴールに向かってまっすぐ突き進んでいくのです。

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【タイプ2】プロセス指向共感型

ふたつめの「プロセス指向共感型」は、共感をはじめとする感情をトリガーに、記憶を想起しプロセスを解析することによって思考を深めていくタイプです。

先ほどと同じシチュエーションで説明すると、プロセス指向共感型の人の思考は「うちの会社は時代にちょっと取り残されていますよね……」といった感情から始まっていきます。そして、「そういえば私も友人も、最近は検索エンジンではなくSNSで情報収集しているな」と記憶を掘り起こし、最終的に「インフルエンサーの影響力を借りてSNSからの流入を狙うのはどうか?」といった考えにたどり着きます。

このタイプの人は、徐々に思考を前に進めながら最適解を模索していくと言えるでしょう。一見すると非論理的で感情的のように思えますが、黒川氏は「意外にも合理的かつ俯瞰的」と述べます。つまり、数値データからはなかなか発想できない意外なアイデアを、思考プロセスのなかで無意識のうちに見つけ出す力に長けているのです。

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相手の思考タイプに応じて伝え方を変えるべき

このように思考タイプが違うと、解決策をひとつ導くにしてもアプローチの仕方がまったく異なってきます。そして注意すべきは、これが両者間のコミュニケーション・ギャップを生んでしまうということ。記事冒頭で書いた「客観的なアドバイスをしたのに、なぜあの人は不機嫌になるのだろう……」「感情を込めて必死で主張したのに、なぜわかってくれないのだろう……」という事例も、自分の思考タイプと相手の思考タイプが違うことで起こる問題なのです。円滑なコミュニケーションをするには、相手の思考タイプに合わせた伝え方をする必要があります

ゴール指向問題解決型の人には「まず結論を示す」

黒川氏によれば、ゴール指向問題解決型の人の脳は、相手の話を聞くときに「ゴールを探そう」と強く緊張する傾向にあるとのこと。そして、ゴールのない長い話に対しては、脳はいつまでも緊張しておくわけにはいかないため「最後まで聞くことを諦めてしまう」のだとか。

あなたがコミュニケーションをとろうとする相手が「ゴールから逆算して考えるタイプ」「客観的データを大事にするタイプ」だったら、その人はゴール指向問題解決型である可能性が高いでしょう。ぜひ「真っ先に結論を提示する」ことを心がけてください。

心理カウンセラーの五百田達成氏は、「結論から言います」などの言葉を取り入れるのが有効だと述べます。ビジネストークの枕詞を変えることで、結論ファーストを意識づけるのです。たとえば、「結論から言いますと、今回はA案を進めるべきだと思います」と述べたあとに客観的根拠を提示するようにすれば、話のゴールが明確になりますよね。理路整然とした主張ができるため、ゴール指向問題解決型の人はストレスを感じることなく耳を傾けてくれるはずです。

プロセス指向共感型の人には「感情に寄り添う」

一方で、もし相手が「言葉では説明しづらい『感覚』を大事にしているタイプ」「よく過去の経験を思い出して話をするタイプ」だったら、その人はプロセス指向共感型である可能性が高いでしょう。

プロセス指向共感型の人は、結論を先に置くことは必ずしも重視しません。感情をトリガーに、これまでの記憶を想起して振り返るというプロセスを経ながら、結論となる深い気づきを得ていく――こういうタイプがいきなり結論を提示されると、むしろ不快感を覚えてしまうことも。

したがって、何か伝える際は、真っ先にこちらの意見を主張するというよりも、相手の感情に寄り添うのが賢明です。たとえば、「◯◯さんはA案についてどうお考えですか?」など、“あなたの話をぜひ聞きたい” という姿勢を見せて耳を傾けましょう。このとき、否定したり口を挟みすぎたりしないように。相手は、自分でいろいろ考えるなかで意見を整理していきます。素直に聞いていれば、あなたが思いもつかないアドバイスをもらえるかもしれませんよ。

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コミュニケーションの行き違いは「思考タイプの違い」から生じます。相手の思考タイプに合った伝え方をすることで、仕事はもっと円滑に進んでいくはず。ぜひ参考にしてみてください。

(参考)
黒川伊保子(2020),『コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する』, PHP研究所.
読売新聞オンライン|男性の知らない「女性脳」の秘密とは?
五百田達成(2014),『察しない男 説明しない女 男に通じる話し方 女に伝わる話し方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。

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