勉強による「脳の疲れ」5つの症状。当てはまる人は、勉強法をこう変えて!

勉強による「脳の疲れ」5つの症状。当てはまる人は、勉強法をこう変えて!

「思うように勉強がはかどらない……」
「参考書の内容が頭に入ってこない……」

もし、勉強に身が入らず悩んでいるのだとしたら、一度、脳の疲れによる可能性を疑ってみてください。知らず知らずのうちに蓄積された脳の疲労は、集中力や記憶力の低下などを招き、勉強の効率を下げてしまいます。

「勉強による脳の疲れ」の症状リストを用意しました。みなさんにも、当てはまるものはあるでしょうか?

「勉強による脳の疲れ」の症状リスト

各症状を詳しく解説するとともに、勉強による脳の疲れを解消&予防する方法をご紹介します。

勉強による脳の疲れの症状1:勉強に飽きて退屈に感じる

「今日は単語に集中する」「この参考書を3時間かけて復習する」というように、ひとつの勉強に集中的に取り組む習慣がある人もいるかもしれません。しかし、途中で「飽きたな」「退屈だな」と感じることはありませんか? 

じつはそれ、脳が疲れているサインです。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏いわく、ひとつの作業に集中して脳を使い続けると、脳内で活性酸素が発生し、酸化ストレスにさらされて脳が疲弊してしまうのだそう。その結果、脳は「これ以上使わないで」という信号として、「飽きた」という感情を生じさせるのです。

そこで梶本氏は、情報処理能力の低下を防ぐために、「飽きた」と感じたらいったん作業をやめ、別の作業に切り替えることを提案しています。たとえば、1時間暗記系の勉強をしたとすれば、休憩を挟んだあと、問題集を解くなどのアウトプット型の勉強にシフトしてみてもよいでしょう。

1日の学習計画に複数種類の勉強を組み入れ、脳を飽きさせない工夫をしてはいかがでしょうか。

勉強による脳の疲れの症状2:目が疲れて肩が凝り、頭がぼーっとする

目が疲れたり、肩が凝ったり、頭が重くてぼーっとしたり……。長時間勉強に集中すると身体面で疲れを感じることが、誰にでもあるはず。

梶本氏いわく、身体のどの部位が疲れていようとも、実際に疲れているのは「脳」なのだとか。なぜ脳の疲れが身体の疲れとなるのでしょう? その理由は、自律神経のバランスにあります。

自律神経とは、自分の意思とは関係なく体の機能を調節するために働く神経のこと。自律神経と疲れの関係について、梶本氏は次のように説明しています。

デスクワークで作業に集中しているときは、緊張しているので交感神経が優位になっています。(中略)交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、脳の自律神経の中枢での処理が急増します。その結果、脳の細胞がさびて自律神経の機能が十分に果たせなくなり、疲労が生じます

(引用元:マイカラット|「座りっぱなし」に注意!疲労の医学博士が教える、立ち上がるだけで疲労は軽減する)

つまり、休憩をとることもせず、長時間椅子に座ったまま勉強に集中し続けると、自律神経の疲労が高まり、その疲れが身体反応としても表れてしまうのです。

梶本氏によると、勉強の合間に立ち上がるだけで脚まわりの血液やリンパ液の流れが促され、疲労物質の代謝が進み、疲れを軽減させることができるのだとか。休憩時間でも椅子に座っているという人は、ぜひ立ち上がって室内を歩いてみてください。脳も身体もリフレッシュできるはずです。勉強終わりに散歩に出かけるのもいいでしょう。

勉強による脳の疲れの症状2:目が疲れて肩が凝り、頭がぼーっとする

勉強による脳の疲れの症状3:集中力が低下して誘惑に弱くなる

勉強中にスマートフォンの通知をチェックしていたら、いつの間にか30分も経っていた……。こんな経験はないでしょうか? スマートフォンを触ったりテレビを視聴したりしながらの「ながら勉強」は、いわゆるマルチタスク状態。脳を疲労させ、集中力の低下に拍車をかけてしまいます。

マギル大学の心理学および行動神経科学学科教授Daniel J Levitin氏によると、マルチタスクをしているとき、脳は同時に作業を行なっているのではなく、実際には素早いスピードでタスク処理を切り替えているのだそう。そのような状態にあると、脳内ではストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が促され、思考が妨げられてしまうのだとか。それゆえ、マルチタスク下では頭がすっきりと働かない状態となり、集中力や注意力が低下するのです。

マルチタスクの弊害はそれだけに留まりません。マルチタスクからの刺激を絶えず求めるようになってしまうという作用もあるのだそう。たとえば、勉強中に「通知をチェックするだけ」という軽い気持ちでスマートフォンを触っているうち、刺激のある情報を求め、長時間スマートフォンを触り続けてしまう可能性があるのです。

デメリットばかりのマルチタスク状態を招かないために、その元凶となるスマートフォンなどは見えない場所にしまい、誘惑に負けずに落ち着いて勉強に取り組める環境を整えるよう心がけてください。また、SNSやメールのチェックは勉強中にはせず、勉強の前後にまとめて行なうとよいでしょう。

勉強による脳の疲れの症状3:集中力が低下して誘惑に弱くなる

勉強による脳の疲れの症状4:新しい知識を覚えられない

「記憶力」が弱いという悩みにも、じつは脳の疲労が関係している可能性があります。脳の働きに詳しい早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏いわく、「物覚えが悪いのは、ワーキングメモリの働きが鈍っている証拠」なのだとか。

枝川氏によると、疲労によって脳の働きが落ちると、一時的な記憶を保管するワーキングメモリの容量が小さくなるのだそう。これにより、新しい単語を覚えたり、長文を理解したりするなどの記憶力全般に関する弊害が起こり、勉強のパフォーマンスを低下させてしまうのです。

記憶力の維持に大切なのは、最適な睡眠だと枝川氏は述べます。もし、勉強のために睡眠時間を削ってしまう傾向にある人は、自分にとって充分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

また枝川氏は、忙しい人には「10分の昼寝」をとることを提案しています。10分程度目を閉じるだけでも、脳はクリアになり、記憶力が正常化するのだそうですよ。これなら勉強の休憩時間にも行なえますね。

勉強による脳の疲れの症状4:新しい知識を覚えられない

勉強による脳の疲れの症状5:勉強中、不安やいらいらを感じる

試験日までに時間がないことへのプレッシャー、問題を解けないことへのいらだち……。勉強にまじめに取り組む人ほど、ストレスを多く抱えがちですよね。しかし、勉強中にネガティブな感情が持続するようであれば、それも脳疲労のサイン。

精神科医で禅僧の川野泰周氏によると、ネガティブな感情を抱くと、感情をつかさどる偏桃体が過活動の状態になり、それを大脳皮質の前頭葉が必死に抑えようと活動するそう。もともと消耗しやすい前頭葉がさらに働くため、余計にエネルギーをロスし、脳が疲れるのだと言います。

そこで役立つのが、マインドフルネスです。川野氏がすすめるマインドフルネスとは、座っている状態で目を閉じ、呼吸に集中するというシンプルなもの。30秒でも1分でも、自分にちょうどいいと感じる時間で行なえば、疲労軽減に効果があるのだそう。

もし勉強中にネガティブな感情にとらわれたら、短時間でも手を休め、呼吸に集中しながら、空気が出入りするときの身体の動きを観察してみましょう。

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脳の疲れにうまく対処していけば、勉強に向かうときの気分も変わってくるはず。よいパフォーマンスを維持しながら、無理なく勉強に取り組んでいってください……!

(参考)
NIKKEI STYLE|すべての疲れは「脳の疲れ」 脳疲労をためない新習慣
マイカラット|「座りっぱなし」に注意!疲労の医学博士が教える、立ち上がるだけで疲労は軽減する
The Guardian|Why the modern world is bad for your brain
NIKKEI STYLE|物忘れを防ぎ、記憶力を高める10の習慣
STUDY HACKER|“精神科医の禅僧” が教える「脳が疲れる2つの原因」。現代は “脳に悪いこと” が多すぎる。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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